旅レポ

長崎フィランドグルメ、お勧め4選。旬な寒びらめにジビエまで、この冬食べたい“平戸メシ”

前回の南蛮菓子巡りに続き、今回は旬のヒラメに酒造まで、平戸グルメをたっぷりお届け!

 長崎観光といえば、出島に軍艦島、ランタンフェスに温泉など魅力的なコンテンツが盛りだくさん。新たな長崎の一面を知ってみたいなら平戸がお勧め。長崎空港からクルマで約2時間。静かな港町は実は日本初の海外との貿易港だった歴史も。そんな平戸の魅力を前回の南蛮菓子巡りに引き続き、今回は旬&ご当地グルメを中心にお届けします。

まずは平戸の歴史をさくっとおさらい。平戸ってどんな場所?

 最西端に位置する長崎・平戸は、海外交易の中心地として出島以前にポルトガルやオランダとの貿易拠点として栄えていた場所。当時の世界地図にフィランド(Firando)と記されており、出島へと拠点が移るまでの約33年間貿易の中心地として、その役割を担っていました。

朱塗りのシンボル「平戸大橋」を渡ると平戸島。手前まで松浦鉄道で行けます
Firandoと記されるほど貿易港として栄えました

 さまざまな文化が海外から渡ってきた平戸を治めていたのが平戸藩主松浦家。お菓子好きのお殿様としても有名で100ものお菓子を記録した菓子図鑑「百菓之図」が現存するほど。領地は平戸島から現在のハウステンボス・佐世保エリアと広域に渡り、南蛮菓子に、平戸焼(三川内焼)をはじめ当時から地続きの文化が根付いています。

 また日本ではじめてキリスト教が認められた地でもあり「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界遺産に登録。巡礼の地としても根強い人気を誇っているんです。

寒びらめがまさに旬! 季節の美味しいが頬張れる「平戸ひらめまつり」はマストでチェック

 平戸グルメの代表格といえば、やっぱり日本有数の漁獲量を誇る“天然びらめ”。大きいもので座布団サイズと、豊かな海で育ったゆえの大きさと美味しさは九州随一。そんな産卵前の脂の乗った最高の寒びらめが味わえるのが3月31日まで開催中の「平戸ひらめまつり」。

街のあちこちに「平戸ひらめまつり」ののぼりがはためいていました
平戸の地で創業30年の「いけす居食家 大徳利」へ

 今回訪れたのは「いけす居食家 大徳利」。居酒屋スタイルで気軽にお酒と一緒に寒びらめが味わえます。握りと刺身をそれぞれ味わいましたが、しっかりと脂が乗り旨みがあふれ、産地だからこその美味しさ。ほんのりピンク色で透明度も高く、鮮度も抜群!

お刺身や握りなどをオーダー
わさびが透けるほどの透明度。美味しいが凝縮!
1切れでも旨みが溢れ、大満足です
もう1つの名物・平戸牛は、柔らか食感と旨みがギュー!

海を見ながら平戸グルメ三昧。高台の市場併設の「海の見えるごはん屋」に注目

 寒びらめはもちろん、地元産食材を堪能するなら「海の見えるごはん屋」がベスト。「ひらど新鮮市場」を併設し、お店で気に入った食材を購入できるシステムがポイント。

「海の見えるごはん屋」は地元産の食材を使ったお食事処
併設する「ひらど新鮮市場」でメニューに使った食材をその場で購入できます

 例えば「“平戸海千山千”彩り御膳」(1900円)は、すべてが平戸産。天ぷらの椎茸ならば「平戸ロマン」、フルーツは「スイートスプリング」に「ゆめのか」などスタッフに聞けば品種も教えてもらえるんです。もちろんツヤツヤに羽釜で炊き上がったお米も地元産「夢つくし」ですよ。

「“平戸海千山千”彩り御膳」は平戸の地元産食材がてんこ盛り
+200~350円で羽釜炊きに。この日のお米は「夢つくし」
肉厚ジューシーな「平戸ロマン」は天ぷらやバター醤油も◎
どれも甘くてうっとりなフルーツも販売中。旅の合間の小腹対策にも

 また、目にも鮮やかなダイナミックメニューも同店ならでは。とことん平戸の地魚を味わいたいなら「“平戸地魚”刺身定食」(1600円)や「平戸海鮮丼」(1500円)がベスト。どどんと焼き魚がメインの「“平戸の塩”の焼き魚定食」(1300円)など、お皿から溢れるほどのボリュームです。

「“平戸地魚”刺身定食」は旬の寒びらめ入り!
お皿から出るほどのダイナミックさ。「“平戸の塩”の焼き魚定食」(当日の仕入れで魚は変わる)
旬の自野菜たっぷりの「“季節野菜と豚ロース”のせいろ蒸し定食」(1200円)も人気
定番「平戸海鮮丼」もこのボリューム! お腹をしっかり空かせて訪れるべし

 ほかにも平戸名物としては「川内かまぼこ」が有名などの情報も入手。宿泊したホテルの朝食にもさりげなくラインアップされていて、「これだったのね!」と気づきもありました。

ホテルの朝食で出会った「川内かまぼこ」は周囲にストローが巻いてあります
お土産品として各商店にて販売中

魚と一緒に「お肉も食べた~い!」。そんなアナタには新ご当地グルメ・平戸ジビエがお勧めです

 お魚のあとはお肉も味わいたいところ。前述の平戸牛はもちろん、新たな平戸のご当地グルメとして平戸産猪のジビエ料理がじわじわと来ているんです。訪れたのは平戸城下町の「創作和食 dining 椿」。こちらでは「平戸ジビエ南蛮カレー」(1200円)をいただきました。

平戸城下町の「創作和食 dining 椿」はローストビーフから日本酒まで取り揃えます

 使われるのは平戸の山々で生け取りにされた猪たち。平戸の猪は豊かな森の恵み(主にどんぐり)でお肉は脂が乗り、お肉には甘味もプラスとイイコト尽くしだとか。17世紀には同エリアで食されていた猪肉の記録や史実をモチーフに平戸に寄港していたイギリス船から「猪肉のスコッチエッグ」とイギリス風カレーをイメージ。猪ベーコンとポテトも添えられています。

「平戸ジビエ南蛮カレー」は「猪肉のスコッチエッグ」にカレーととろ~りかけて味わいます

再びの城下町さんぽで、ジビエカレーのお皿に描かれた“あの風景”を発見!

 ご当地グルメを味わったあとは、再び城下町さんぽ。ジビエカレーのお皿に描かれていた平戸ならではの風景を探しに出発。お店から徒歩15分ほど歩いたところで「寺院と教会の見える風景」を発見!?

「平戸ザビエル記念教会」の十字架と「正宗寺」「光明寺」「瑞雲寺」の屋根が同じ風景に佇む長崎ならではの風景と出会うことができました。

「寺院と教会の見える道」の看板を発見
お皿に描かれていた長崎・平戸ならではの景色と出会えました

 そのまま「平戸ザビエル記念教会」へ向かうことに。1931年に建てられたゴシック建築の教会は、淡いグリーンとホワイトのコントラストが印象的で、左右がアシンメトリー。実は平戸、教科書でおなじみの宣教師フランシスコ・ザビエルが訪れて宣教した歴史があるんです。しかも、ザビエルは平戸を気に入り短い滞在期間のうちにたびたび訪問したそう。

「平戸ザビエル記念教会」は左右アシンメトリーな建築がポイント

 敷地内には建堂40周年として「ザビエル像」が、南フランスの奇跡の洞窟「ルルド」も祈りの場としてザビエル誕生500周年に合わせて建てられています。

教科書でおなじみのザビエル像も
奇跡を起こすと伝わる南フランスの「ルルドの泉」も祈りの場として再現

 さんぽの途中には築200年の豪商の蔵を改装したお土産屋「婆娑羅」によりみち。「丸ボーロ」や切って焼くと美味しい「甘古呂餅」をチェック。

お土産屋「婆娑羅」で名物探し
「丸ボーロ」は神戸屋が一番とのこと

1日の終わりは美味しいお酒で乾杯! 1688年創業・平戸藩の御用酒屋を訪問

 旬の脂が乗った寒びらめに、新名物・平戸産猪ジビエとグルメを堪能、とくればやっぱり気になるのが地元のお酒。少し足を伸ばして平戸藩の御用酒屋「福田酒造」へと向かうことにしました。

平戸藩の御用酒屋「福田酒造」へ
酒造内を見学、築400年の蔵も現存しています

 長崎県産の山田錦を使った「長崎美人大吟醸」や、春じゃが生まれの「じゃがたらお春」が有名ですが、注目したいのは大麦焼酎を熟成させた「35°かぴたん5年/10年」。10年ものはシリアルナンバー入りの秘酒ながら、一度飲んだら忘れられない一杯に仕上がっています。

「35°かぴたん5年/10年」は樫樽の香りが染み込んだまろやかな味わいの焼酎
教会が描かれた「お春 ステンドグラス」もラインアップ

 また、今の時期は冬限定・微発泡にごり酒「福鶴特別純米活性うすにごり」も人気。「福鶴 本みりん 長期熟成」はプロの味に仕上がると話題沸騰中。もちろん筆者も即購入しましたよ。

長崎の人々が口を揃えてお勧め!と教えてくれた「福鶴 本みりん 長期熟成」

平戸ステイは海近がベスト。平戸温泉も楽しめる「ホテル彩陽WAKIGAWA」へ

 平戸のグルメと歴史をたっぷり楽しんだら、やっぱり温泉で疲れを癒したいもの。ということで、大浴場でほっこりできる「ホテル彩陽WAKIGAWA」をチョイス。こちら、足が伸ばせる畳とベッドがうれしい和洋折衷な客室や、大浴場から港を見渡せ開放感も抜群な立地。

今回滞在した「ホテル彩陽WAKIGAWA」
客室は畳とベッドと和洋折衷。かなりくつろげます

 もちろん前述のように、朝食には平戸名物もさりげなく選べる小鉢と一緒に楽しめ、朝からご当地グルメを満喫! 各観光エリアにも近いので、お勧めです。

漁港が目の前なので早朝さんぽに出かけることもできますよ
朝ごはんの小鉢は自分で選べるので、その日の気分でプラスして

 平戸グルメを堪能した今回。次回は平戸藩の領地であった佐世保エリアへ移動。平戸焼(三川内焼)の窯元から、佐世保観光にお勧め道の駅まで、滞在中使えるとっておきの情報をお届けします。

空室・料金チェック
相川真由美

ライフスタイル系雑誌の編集アシスタントを経て、IT系週刊誌・月刊誌で10年以上編集者として刊行にたずさわる。現在は、フリーの編集記者として国内外のテーマパークやエンタメ、ならびに観光、ファッション関連を中心に執筆中。