旅レポ

カツオソムリエが手掛ける絶品の藁焼きをいただく! JR四国の観光列車で高知を旅してみた

高知県民も食べに来るという藁焼きの鰹のたたきを堪能

 JR四国が主催した高知県を旅するプレスツアーに参加してきた。2023年春放送予定のNHK連続テレビ小説「らんまん」のモデルとなった植物分類学者の牧野富太郎ゆかりの地を巡りながら、JR四国の観光列車「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり 煌海の抄(きらめきのしょう)」に乗車する豪華旅だ。

 東京からの参加だったので、空路で高知空港(高知龍馬空港)入りして、貸切バスでまず向かったのはカツオで有名な「久礼大正町市場」。JR四国の土佐久礼駅からは徒歩圏内だ。「高知県民がわざわざここにカツオを食べに来る」と言い、連日観光客も含めてとてもにぎわっている。

 久礼大正町市場のある中土佐町・久礼は400年以上前から続く「カツオの一本釣り漁」の町で、現在にも脈々と受け継がれている。久礼のカツオ一本釣り沿岸船は、季節や漁場によりまちまちだが、夜に久礼の港を出発、夜明けとともに釣り始めるという。2時間釣っては2時間休憩ということもあれば、釣れるときには休まず釣り続けることも。そして夜に帰港。1本ずつ丁寧に手作業で水揚げされ、氷がよく効いたタンクに入れて鮮度を保ち、翌朝の競りにかけられる。

「久礼大正町市場」のカツオを扱う飲食店には、競りで鮮度を見きわめて、素早くさばいて身の風合いを見て、触って「弾力があるけど硬くない」理想の感触を判断するプロフェッショナルがいる。仕入れたカツオを常に冷やす、かつできるだけ短時間にさばいて客に届ける。久礼のカツオが美味しい理由がここにある。

 さて、一行はカツオを知りつくしたカツオソムリエが作った絶品の藁焼きのカツオのたたきをいただきに「田中鮮魚店」へ。ここではカツオの藁焼き体験も行なった。藁独特の香ばしさのある炎で二度ほど外側を焼いた。そしていよいよ実食。

 カツオの刺身とたたきの2種類を堪能。「藁入れ8年、焼き3年」といわれるそうだが、久礼ではカツオの鮮度が重視されるため焼き過ぎは厳禁! 外は1~2mm程度に薄く焼き、なかは鮮度抜群の身をそのままキープするのが理想とされている。まさに焼き赤身の鮮やかなコントラストを視覚的にも楽しみつつ、舌鼓を打った。

 そのほか、西村菓子店の「カツオもなか」や竹林呉服店の「かつ尾ヨージ」などいろいろなカツオ関連の商品も楽しむことができる。

県民もカツオを食べに来るという「久礼大正町市場」。約40mのアーケードはにぎわっていた
田中鮮魚店で藁焼きを体験。鮮度のよいカツオを活かすために表面を1~2割程度薄く焼くのが久礼大正町市場流
カツオの刺身とたたきの両方を味わう。鮮度抜群のカツオの旨さは想像以上だった
西村菓子店には手作りの菓子がたくさん。カツオもなかはつぶあんとこしあん、ゆずあんの3種類がある
市場に行ったら地面にも要注目! マンホールにもカツオがデザインされている
久礼八幡宮にもカツオ絵馬とカツオのたたき絵馬が奉納されている
ふるさと海岸にある石碑は、カツオに敬意と感謝の気持ちを込めて建てられた鰹供養の碑。左の銅像は漫画「土佐の一本釣り」で久礼の名を広めた漫画家の青柳祐介の功績を讃えている

日本の植物分類学の基礎を築いた牧野富太郎の故郷・佐川町を散策

 土佐で有名な人物といえば、言わずと知れた幕末の志士・坂本龍馬だが、もう1人日本中に、いや世界にも誇れる人物がいた。「日本植物分類学の父」と呼ばれる植物分類学者の牧野富太郎だ。

 佐川(さかわ)町は牧野富太郎生誕の地でもある。牧野富太郎ふるさと館は生誕の地に建っており、牧野富太郎の遺品や直筆の手紙などが展示されている。また、水がきれいなことから400余年の伝統ある酒造・司牡丹が有名で、試飲もできる「酒ギャラリーほてい」もぜひ立ち寄りたい。ほかに竹村家住宅や旧竹村呉服店、青山文庫や青源寺、名教館、佐川文庫庫舎など歴史を感じる味わい深い街並みは、散策にもってこいの場所だ。小高い山にある牧野公園から街並みを見下ろすと、JR四国の列車を見ることもできた。鉄道写真のスポットしてもよさそうだ。

 さて、この日の宿泊はJR四国の高知駅から徒歩2分の場所に位置する「JRクレメントイン高知」へ。2020年11月28日にオープンしたきれいなホテルで、観光にもビジネスにも最適なロケーション。朝食には特に力を入れており、和食と洋食メニューの充実ぶりは要チェックだ。

「日本の植物分類学の父」と呼ばれる牧野富太郎生誕の地。生家を復元したふるさと館の展示室には富太郎の遺品や直筆の手紙などが展示されている
酒蔵の道を歩く。400余年の伝統ある酒造、司牡丹。佐川は高知で最初にできた酒蔵の町だ
司牡丹のショールームになっている酒ギャラリーほてい。試飲もできる
江戸時代から造り酒屋として栄えた竹村家。武家住宅に匹敵する格式高い造りになっている。国指定重要文化財に指定されている
街歩きを意識したまちづくりがなされており、じっくり散策するにもってこいの場所
うえまち駅にはJR四国が2021年3月に佐川町へ無償譲渡した明治の客車「口481号」(準鉄道記念物)が展示されている
高知県初の私設図書館、青山文庫(せいざんぶんこ)。田中光顕(明治時代の高知の政治家)による寄贈品を中心に貴重な手紙や資料などが展示されている
高知県名勝の青源寺。臨済宗妙心寺派の寺院で、庭園は土佐三名園の一つに数えられる
佐川城跡に広がる牧野公園。牧野富太郎が愛した植物などが多く植えられている
偶然とはいえ佐川の町並みをゆく「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」を撮影することができた
宿泊はJR四国の高知駅から徒歩2分という立地の「JRクレメントイン高知」。開業して2年ほどなので部屋もきれい
高知駅名物の大屋根を見にきた。迫力あるダイナミックな構造だ。明日ホームから見上げるのが楽しみになってきた
深澤 明