旅レポ

2年4か月ぶりに再開したJALのハワイ・コナ線に乗ってみた! 新しくなった空港施設を体験

機内は南国リゾートを楽しみにしている家族連れで大にぎわい

2年4か月ぶりにコナ国際空港にJAL便が到着!

 本誌でも既報のとおり、JALは8月に成田~ハワイ・コナ線の運航を再開した。新型コロナウイルス感染症の影響で2020年3月24日から運休していたJL770/779便を復活させたもので、8月~9月に週3便で運航する。その復活初のフライトが8月2日のJL770便で、筆者も搭乗する機会を得た。

 今回のフライトは搭乗率が8割超で、家族連れ、夫婦、女性グループなど、リゾート地に向かう客層といえる構成だった。使用機材はボーイング 767-300ER型機(座席数199)で、ビジネスクラス24席は満席、エコノミークラスの座席配列は2-3-2となっており、窓側はほぼ埋まっている状態だった。目的地のコナ国際空港(正式名称は、エリソン・オニヅカ・コナ国際空港)までは成田からは約6400km、7時間30分ほどのフライトだ。ちなみにビジネスクラスはフルフラットシートの「JAL SKY SUITE II」、エコノミークラスは足元広めの「JAL SKY WIDER」になっている。

ハワイ島までは約6400km。オアフ島よりさらに先だ

 離陸してから1時間半ほどすると、おしぼりサービスや機内食のサービスが始まる。現在、ハワイ線では「ミシュランガイド東京2021」で三つ星を獲得した、L’Effervescenceの生江史伸シェフが監修した機内食を提供している。今回のメニューは「イカとカリフラワー、柚子ドレッシングマリネ」「牛バラ肉と栗のラザニア」「フレッシュサラダ」「キャラメルバニラムース くるみ入り」だった。希望者にはみそ汁も提供される。メインのラザニアは、モチモチ食感の平打ちパスタの下にソースたっぷりの牛バラ肉が入っており、濃厚な牛肉の旨味とパスタは相性がよく、ペロリと平らげてしまった。

三つ星レストランの生江史伸シェフが監修した機内食。メインは牛バラ肉と栗のラザニア
配布されたメニュー
食事後はミネラルウォーターと総菜パンも提供された

 機内では今回初めてコナ線に搭乗したというCA(客室乗務員)の2人に話を聞いてみた。子供が多く搭乗していることもあり、通常とは異なるスペシャルミールの提供数が多いため(この日は25食)、間違えないよう細心の注意を払いながら作業を行なったそうだ。そして、全体においても提供のスピードが遅れがちになるので、効率よく提供できるよう心掛けたと話してくれた。また、機内では快適性にも心掛け、明るさや音に対しても配慮しているとのことだ。とにかく、ハワイ島への渡航を楽しみにしている利用客が多くいるので、その期待感を裏切らないようにするのが務めであると話してくれた。

コナ線に初めて搭乗した3年目の菊地さん(左)と4年目の松本さん(右)
機内の様子

 その後、JL770便は11時07分(ハワイ時間)にコナ国際空港に到着。話では聞いていたが、スロープ式のタラップで降機し、エプロンを歩いて入国審査や手荷物受取の建物に向かうのはなかなか体験できないシチュエーションだ。機体を間近に見れるため、多くの人が記念撮影を楽しんでいた。そして新しくできた建物のなかは空調が完備されており、最新の顔認証システムを導入した入国審査場やバゲージクレームによってスムーズに入国できるようになっている。筆者は初めて訪れたので過去との比較はできないが、再訪した人によると、オープンエアーの建物でないことにとにかく驚いたそうだ。

雲の隙間から見えるのはオアフ島
着陸直前にはハワイ島らしい黒い溶岩原野も見えた
空港スタッフが出迎えてくれるなか、スロープ式のタラップで降機
再訪した誰もが驚く、新しいターミナル施設

 建物の外では、成田からハワイ島までの直行便が再開したことを記念してセレモニーが開かれていた。ハワイ州のデービッド・イゲ州知事をはじめ、HTA(ハワイ州観光局)の局長兼CEOのジョン・デ・フリーズ氏、JAL ハワイ支店長の黒田浩氏らが祝辞を述べた。また、日本の姉妹都市訪問のためにハワイ島代表団を率いていたハワイ郡長のミッチ・ロス氏も同便に搭乗していたそうで、同便の再開を喜んだ。セレモニー会場では、地元産のアワビ、コーヒー、スパムむすび、ミネラルウォーターもふるまわれた。

 黒田氏に現在のハワイ島の状況を聞いてみると、アメリカ本土からの直行便も増えており、かなりの観光客が訪れているそうだ。そのなかにおいて、「日本人が来ることが、やはりハワイ島の経済を活性化するということで、こちら側のコナもそうですが、反対側のヒロの方もですね、我々に対してぜひとも便数をぜひ増やしてほしいと要望されます」と話し、ハワイ島の人がJALの直行便に対して昔から期待している様子がうかがえた。

イゲ州知事夫妻とコナ・コーヒークイーンのキンドラ・ナカモトさんがJALスタッフと一緒に記念撮影
HTA(ハワイ州観光局)局長兼CEO ジョン・デ・フリーズ氏
JAL ハワイ支店長 黒田浩氏
ハワイ郡長 ミッチ・ロス氏
国際線到着ゲートの外はコナ空港らしいオープンエアーのロビー
コナで養殖しているエゾアワビは「コナ・アバロニ」のブランド名で高級レストランに卸している。写真はバターで焼いたシンプルなものだが、柔らかくて非常に美味

 最後に今回の記念すべき再開フライトを担当した機長の船木幸緩氏と青山哲也氏にも話を聞かせてもらった。船木氏は2020年2月にフライトを担当したのを最後に2年半ぶりとなり、「昨年末からホノルル線には乗っているのですが、やはりコナが復活していないのは寂しいと思っていました。今回担当させてもらい、やっと普通に近づいたなという感じで、とてもうれしく思っています」と感慨深げに話してくれた。青山氏もオアフ島の上空を通過している際に前方にマウナ・ケアとマウナ・ロアの姿が見えてきたときに「ハワイ島に帰ってきた感じがして、とてもうれしかったですね」と、船木氏同様、ハワイ島へのフライトを待ちわびていたと話した。

 今回のコナ線を担当するにあたり、ゲート前に小さい子供が数多くいたことから、とにかく揺らさないようにと、月齢4~5歳の月明かりがほとんどないなか、雲を避けることに集中して飛ばしたそうだ。コナ線を運航するうえでの違いとしては、ホノルルまでは同じルートを多くの飛行機が飛ぶので先行機からの揺れ情報も入手できるが、そこから先は情報がほとんどないので、事前に入手した天候情報や経験をもとに飛ばしているそうだ。

 現在予定されている成田~コナ線は9月30日までの期間限定だが、JALではスペシャル運賃も設定しているので、気になる方はぜひともJALのWebサイトをチェックしてもらいたい。

今回のJL770便に携わったスタッフ一同。写真手前の機長が船木幸緩氏で、写真奥の機長が青山哲也氏
野村シンヤ

IT系出版社で雑誌や書籍編集に携わった後、現在はフリーのライター・エディターとして活動中。PCやスマートフォン、デジタルカメラを中心に雑誌やWeb媒体での執筆や編集を行なっている。気ままにバイク旅をしたいなと思う今日この頃。