旅レポ
山形県・庄内の癒やし旅へ。豊かな食文化と歴史にふれて、底抜けパワーを体感
2022年8月17日 06:00
山形県の庄内空港利用振興協議会が主催する「エアー&レール型ソロトリップ向けメディアツアー」に参加してきた。1日目(前回の記事)は、出羽三山神社を参拝したり、山形の地酒を味わったり、クラゲの展示種類数世界一を誇るクラゲドリーム館で癒やされたりと盛りだくさんの旅。
2日目は、湯田川温泉の「つかさや旅館」で気持ちのいい朝を迎えた。昨晩女将から「すぐ隣の公共温泉、正面湯も朝から爽快ですよ」とオススメされていたので、朝6時にさっそく向かうことに。女将と一緒に行き、鍵を開けてもらう方式だ。なかにはすでに地元の方々が朝風呂を満喫されている。「おはようございます!」と声を掛け合い、清々しい気分になった。正真正銘の天然かけ流し。朝から極上の癒やしだ。
お風呂でさっぱりしたあとは、つかさや旅館に戻り朝ご飯をいただいた。地元の食材の恵みを朝からしっかり身体に取り込んで、元気がみなぎる。廊下にあるハーブティーやコーヒーの心遣いも嬉しい。
出発前に近くの「九兵衛旅館」にも立ち寄ってみた。九兵衛旅館の女将は、山形県鶴岡市出身の作家・藤沢周平の教え子ということで、よく藤沢周平が訪れたという。
ツアー2日目はまず荘内神社へ。「鶴ヶ岡城」というお城の本丸御殿があったところに鎮座している。かつて庄内藩は酒井家を藩主とした250年にわたる善政が行なわれていた。その歴代藩主から初代酒井忠次公、2代酒井家次公、3代酒井忠勝公、9代酒井忠徳公の4人がここの荘内神社に御祭神として祀られている。
最初に目を引くのは花手水だ。この時期は紫陽花の花で埋め尽くされていた。手水とは神様にお参りする際に手などを洗って清める場所だが、コロナ禍でひしゃくなどが多くの参拝客で共有となってしまう。そこでより安心して参拝してもらおうと「綺麗な花を見ることで心を清めてもらう」という意味が込められている。SNS映えすること間違いなし。多くの人がカメラやスマホで撮影をしていた。
ここで明るく元気な仲間がこのツアーに合流してくれた。山形県の庄内に移住して、ANAの客室乗務員として乗務を続けながら庄内(酒田市)のよさを開拓、そして発信し続けている「ANA SHONAI BLUE Ambassador」の2人だ。「ANA SHONAI BLUE Ambassador」としては5名で活躍している。日々精力的に発信している公式Webサイトも、ぜひチェックしていただきたい。
取材した日はちょうど七夕で、荘内神社も七夕飾りで彩られていた。BLUE Ambassadorの2人も願いごとを書いた短冊をかけてとても嬉しそう。
続いて向かったのは、鶴岡駅前にある「つるおか食文化市場 FOODEVER(フーデェヴァー)」。ここは日本で初めて「ユネスコ食文化創造都市」に認定された鶴岡の食文化情報発信拠点だ。「ユネスコ食文化創造都市・鶴岡」の食を体感できる専門店やフードコート「鶴岡バル」の飲食店が併設されているほか、厳選された旬の食材や土産品が並ぶ「つるおか駅前マルシェ」も人気という。
お次は「フルーツショップ青森屋」へ。山形県なのに青森屋?と不思議に思ったが、初代社長が青森県からりんごを山形県鶴岡市の地に持ってきたのがはじまりだとか。現在は3代目の社長自ら産地に赴き、厳選したフルーツを提供するとあって地元で大人気。「フルーツカフェ」も併設しているので立ち寄らない選択肢は、ない(笑)。
季節の旬のフルーツを使った名物のフルーツジュース。こちらも季節感あふれるフルーツタルトとセットでいただけば、一気に幸せな気持ちへ昇天できること間違いなし。しかも超フォトジェニックで、食べるのがもったいないくらいSNS映えする。見て、撮って、発信して、そして食べて、飲んでと何段階も楽しめる贅沢なときが流れた。BLUE Ambassadorの2人もテンションが高い。
続いては、庄内の暮らしや食文化を体感できる「知憩軒(ちけいけん)」へ。庄内における農家民宿レストランの先駆けといわれる店で、自家栽培の野菜や地元で採れた食材、お米を中心に素材のよさを活かしたシンプルな味付けの「いのちを繋ぐ1汁3菜と保存食」を味わえる。
女主人の長南光(ちょうなんみつ)さんのあたたかいお話が聞けるのも魅力の1つで、どこか懐かしい、心のふるさとに帰ってきた感覚になる。窓際で猫がまったりしている姿も、さらに心を和ませてくれた。
次に立ち寄ったのは、採れたて新鮮野菜や旬のフルーツなど豊富な食材を取りそろえる「産直あぐり」。生産者の名前と栽培履歴が分かる仕組みで販売しているという。野菜やフルーツのほかにも、生花やお米、惣菜や漬物などが並び、眺めているだけでも楽しくなってくる。ふと見ると、BLUE Ambassadorの2人の手にはアイスクリームが! まさに庄内を満喫中。
続いては、ブルーベリーの収穫体験や食べ放題が楽しめる「鈴木農園」へ。出羽三山に囲まれた自然豊かな羽黒町にあり、広大な敷地に約1万本におよぶさまざまな品種のブルーベリーがたわわに実っている。しかも食べてビックリ。甘くてコクがあって、お世辞抜きにして超うんめ~ブルーベリーなのだ。濃厚なブルーベリージュースも身体に沁みわたった。
さて、庄内において忘れてならないのは「松ヶ岡開墾場」だ。明治維新後、旧庄内藩士3000人によって開墾され、桑園を作りあげたのち大蚕室を10棟を建設。その後、鶴岡に製糸工場と絹織物工場が創設され、庄内の、いや日本の繊維文化向上に多大なる貢献をした地である。
この蚕による製糸産業がなくなると、桑畑も不要になる。その桑畑にブドウを植えて栽培をはじめたことが起源となり、現在松ヶ岡ではワインの生産が行なわれている。刀から鍬に、鍬からブドウに。
2020年には「エルサンワイナリー松ヶ岡」が手掛ける「ピノ・コッリーナガーデン&ワイナリー松ヶ岡」が誕生。2017年にブドウ畑を作り、2020に初めてワインを醸造し販売を開始した。そしてこの「エルサンワイナリー松ヶ岡」と「鶴岡シルク」、「ANA SHONAI BLUE Ambassador」が連携し、歴史の新たな1ページになるようなワインを制作する「松ヶ岡ワインプロジェクト」が進行している。そのワインの名は「VestitoCielo(ベスティートシエロ)」。
夕食は地元・庄内浜で水揚げされた新鮮な旬の魚や野菜を使った日本料理の店「庄内ざっこ」でいただいた。おまかせコースは、海や山からの季節の贈り物といったところ。その時期に、庄内でしか味わえない逸品の数々が味わえ思わず笑顔になる。
お腹が満たされたところで、この夜は“田んぼに浮かぶホテル”こと「SUIDEN TERRASSE(スイデンテラス)」に宿泊した。とても魅力的な“食泊施設”なのでしっかりとお伝えしたいのだが、詳細は次回に委ねよう。それにしても庄内の魅力恐るべし。語り尽くせぬ感動と癒やしを与えてくれ、大満足の2日目が終了したのであった。