旅レポ
世界一美しいコンビニに豪華舟盛り、鯛塩ラーメン! 徳島の魅力再発見する旅
2022年4月4日 07:00
“四国のチベット”と呼ばれる限界集落に出現した世界一美しいコンビニ「未来コンビニ」
まずは山間エリアの限界集落にある超スタイリッシュなコンビニ「未来コンビニ」から! オープンは2020年4月。その斬新で洗練されたデザインと地域に根ざしたコンセプトによって、世界三大デザイン賞とも言われるレッド・ドット・デザイン・アワードのリテールデザイン部門「ベスト・オブ・ザ・ベスト」など、数々の国際デザインアワードで10冠を達成した話題のコンビニです。場所は徳島阿波おどり空港からクルマで約2時間半の那賀郡那賀町木頭地区。曲りくねる山道を延々と進み、あと70kmほどで高知県という国道沿いに突如として現われます。
この場所は人口約1000人のうち65歳以上が過半数を占める限界集落で、自然がいっぱいの、というより“自然しかない”といった場所。四国のチベットとも呼ばれているのだとか。地区の特産品に香りの豊かさが特徴の木頭ゆずがあります。
そんな地域の買い物難民を救うために作られたのが「未来コンビニ」。運営しているのは木頭地区の地方創生のためさまざまな事業に取り組むKITO DESIGN HOLDINGSです。
名前の由来は、漫画家の手塚治虫さんの言葉からヒントを得た「子供は未来から来た未来人」というコンセプトから来ているそう。この地域の未来を担う子供たちが文化的な刺激を受けて創造性を養える場所になるように、という願いが優れたデザインに込められています。店内奥にはカフェスペースを作り、地元の人々の交流の場として利用されています。
2年前のオープン以降、1日の最大利用人数は約400人、利用客数はのべ5.7万人超え。なかにはクルマで4~5時間かけて訪れる人もいるのだとか。
ちなみに未来コンビニの客単価は大手チェーン店の約2倍の1050円ほどで、ここ木頭でしか買えないお土産品などの需要があるためだと言われています。私もご多分に漏れず、木頭ゆずを使った寒さば缶詰やお菓子などいろいろと購入してきました。
できる前は「ただの通り道」だったのが、今では「目的地」へと変わった木頭地区。この日は定休日の取材だったためかないませんでしたが、旅行者と地元の人との交流もこの未来コンビニの大きな魅力かもしれませんね。この限界集落の未来コンビニへ“わざわざ”立ち寄る旅行プランを立ててみてはいかが?
里山の風景に溶け込んだかのような焙煎工房、カモ谷製作舎
阿南市加茂町の静かな里山エリアにある「カモ谷(だに)製作舎」は、自家焙煎のコーヒー豆専門店&衣料のお店です。2人とも徳島出身という岡崎夫妻が2020年に移住し、同年11月にオープンしました。店名のカモ谷は、ここがかつて加茂谷村だったから。今でも那賀川の中流地域は加茂谷地区と呼ばれているそうです。
コーヒー豆の担当は、焙煎機器メーカーやコーヒー豆の仕入れ問屋で10数年働いてきたご主人。奥様はワンピースやトートバッグなどの衣料担当です。この洋服、仕入れてきて販売しているのかと思ったら、なんとご自分で仕立てていらっしゃるというからびっくり! ワンピースやパンツを作って出たハギレで、キッチンクロスやヘアターバンを作っていらっしゃるそう。リネンやコットンの天然素材で作られたアイテムがお店の雰囲気とぴったり合っていましたよ。
カモ谷製作舎では、全世界で5%に満たないという高品質の豆だけを揃えていて、8種類すべてが試飲可能。そしてコーヒー豆に付けられた個性的なネーミングが特徴です。例えば私が今回購入した「グァテマラ オヘンロ」は、もちろん四国のお遍路から。グァテマラ コーヒー豆のサプライヤが生産者と日本をつなぐ仕事をしていることと、お遍路さんが八十八か所を巡って各お寺をつないでいることがクロスしてネーミングしたのだといいます。
なお、カモ谷製作舎の営業は金曜と土曜のみで、時間は11時~17時までとなっています。行かれる際は営業日にご注意を。
機会があれば泊まりたい民宿しらきや。豪華舟盛りにびっくり仰天
徳島県海部郡牟岐町にある「民宿しらきや」は、夕食に立ち寄った海賊料理が自慢のお店。民宿を営んでいますが食事のみの利用も可能です。海のすぐ近くというロケーションが魅力で、徳島市方面からの所要時間は約1時間半ほど。JR牟岐駅からはクルマで5分ほどの場所です(送迎あり)。
牟岐漁港から仕入れてくる新鮮な魚貝は、名物「しらきや特選海賊料理」でいただけます。自分で焼くのではなく、3代目となるご主人が焼き具合をしっかり見計らって裏返したり切ったり剥いたりしてくれるので楽ちん。そして名物はもう1つ、旬の魚のお造り! 8名以上だと超豪華な舟盛りとなって登場します。何枚も写真を撮ってしまったほど、その大きさに感激しました。
もう1年分くらいの魚貝を食べたのではないかと思うくらいお腹いっぱいだったのですが、かんぱちの煮付けと一緒に出てきたご飯がこれまた美味しくて完食。聞いてみると「あわみのり」という徳島産のお米だそう。もち米みたいにもっちりしていて甘みがある、忘れられないお米との出会いでした。
廃ビルを素敵にリノベーション。旅行者も気軽に立ち寄れる阿南市の「CAFE&BAR NuuN」
元薬局店の廃ビルをリノベーションしたという「CAFE&BAR NuuN」はJR阿南駅から徒歩5分の富岡商店街の一画にあります。元気のない商店街の未来を作る拠点にと、地元・阿南市で保育事業を営む団体「Miraicle(みらいくる)」が2020年10月にオープンしました。
建物は3階建てで、1階にカフェ&バー、2階にコワーキングスペースがあります。そして今年は3階にゲストハウスがオープン予定。外国人や旅行者など、たくさんの人々が集まれる場所を目指して準備中だそうですよ。1階奥には子育て支援スペースも。地元の方々の子育て情報交換の場として重宝されているようです。
店内は広~いスペースを使ってソファやテーブルが置かれていて、グループや家族で来てもゆったりくつろげる雰囲気でした。カフェメニューにはパフェやケーキ、ランチメニューには週替わりNuuNプレートや自家製彩鶏からあげプレート、オリジナルマサラチキンカレーなど。
夜はバーとしても営業しているのでビールをはじめ各種カクテルも充実。すだちビールやすだち酎ハイ、すだちハイボールなどがあるのはさすが徳島ですね。そうそう、カフェで提供しているオリジナルコーヒーは、先ほどご紹介した「カモ谷製作舎」にお願いしているそうです。
絶品! 「麺STATION 鯛太郎」の鯛塩ラーメンはライスを注文すべし!
海陽町から始まって、牟岐町、那賀町、阿南市と徳島県各地のスポットをご紹介してきましたが、ラストは県庁所在地の徳島市に戻って、鳴門鯛を使った鯛塩ラーメンのお店でシメとなります。ご紹介するのは徳島阿波おどり空港からクルマで30分ほどの距離にある「麺STATION 鯛太郎」です。
この日いただいたのは、人気No.1の鯛塩そば(830円)に煮玉子(100円)をトッピングして、さらにごはん(150円)。なぜって店内の壁に「鯛塩そば 究極の食べ方」として、お好みで鯛出汁をかけて鯛茶漬けとして食べるのがオススメと書かれていたから!
スープに地元の「鳴門鯛」を使い、くさみが出ないように丁寧に下処理をしているという鯛塩そば、もう美味しくないわけがありません。添えられた柚子胡椒とスダチでの味変もよかったし、煮玉子の味の染み具合も最高でした。そして楽しみにしていたシメの鯛茶漬けは、シメたくな~いと思うほど美味しかった! 最近私はお腹がすくと(あー、またあのときの鯛茶漬けが食べたい)と思い出しています。