旅レポ

DMVが走る徳島県の最南端・海陽町ってこんな町! マリンレジャーに藍染体験、天然温泉も楽しめちゃうからちょっと遠いけど行ってみて!

サンゴや熱帯魚を海中窓から観ることができる海中観光船ブルーマリン

 前回は線路も道路も走れる次世代の乗り物「DMV(デュアル・モード・ビークル)」をご紹介しました。

 そのDMVの地元・徳島県海陽町にはファミリーでも1人旅でも楽しめるバラエティに富んだ観光スポットがいろいろあります。DMVに乗るだけで帰るのはもったいない! 徳島阿波おどり空港からたっぷり2時間かかっちゃうけど、オーシャンビューのホテルもあるのでぜひ泊りがけで徳島県最南端への旅を計画してみては?

サンゴや熱帯魚を間近で観察、海中散歩が楽しい海洋観光船ブルーマリン

観光船の受付がある海洋自然博物館マリンジャム。なかには「島の小さな水族館」も

 太平洋に面する美しい海景色が魅力の海陽町には、マリンレジャーが楽しめるスポットが点在しています。なかでも竹ヶ島海域公園内にある「海中自然博物館マリンジャム」は、気軽に海の体験が満喫できる家族連れに人気の施設。まずは「海中観光船ブルーマリン」に乗船して海中散歩を楽しみました。船底が展望室となっていて、ガイドさんの案内で竹ヶ島湾を約40分かけて1周します。

SUPボードやシーカヤックも楽しめる透明度の高い海
まずは船上から景色を堪能。朝の澄んだ空気は気持ちがいいですわ~

 橋でつながっているので陸続き感覚で行くことができる竹ヶ島。周囲は約4km、周辺には20種類以上のサンゴが生息し、なかでも「エダミドリイシサンゴ」の群生地としても知られています。そのエダミドリイシサンゴをまずは船の上から観察。ポイントに到着したら船内後方の階段を下りて海中展望室のある船底へ。座ったまま目の前の窓から眺められる海中の景色は非日常感たっぷりですよ。

船底に海中展望室が備わっている海中観光船ブルーマリン
目の前のサンゴを見ながら海中散歩
透明度はこの日で約10mほど。1年のなかでは12月が一番透明度がよく、20~30mのときもあるそう

 海中観光船ブルーマリンに乗車すると「島の小さな水族館」の入館券が付いてくるので、海中で見たサンゴの生態をさらに深く知ることができます。また海中自然博物館マリンジャムでは、SUP(スノーケリング付き)やシーカヤック体験の予約受け付けも。美しい小島が点在する竹ヶ島周辺でのマリンアクティビティをたっぷり楽しめるスポットです。

海洋自然博物館内の「島の小さな水族館」を見てみました
貝殻などで作ったお土産なども
秘密基地っぽい手作り感ある水族館。子供たちは喜びそう
ブルーマリンから見たエダミドリイシサンゴ。これは生まれて1~3年のものだそう
クマノミなどの熱帯魚が泳ぐ水槽やタッチプールなども

青の世界に身を置いて徳島伝統の藍染め体験、海を望むロケーションも最高の「in Between Blues」

大判ハンカチを染めてきました。イメージは海陽町の美しい海のグラデーションです

 東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムに採用され「JAPAN BLUE」として世界から注目を集める藍色は、日本の美しい伝統色。徳島は藍染めの原材料「すくも」の産地として知られています。

 そのすくもから作られる「阿波藍」は高品質で知られ、全国シェアの大半を占めるほど。そんなわけで徳島には藍染め体験ができる施設が各地にあるのですが、今回は海陽町の「in Between Blues」で、目の前の美しい海を眺めながら大判ハンカチを染めてきました。

白い建物にブルーが映える「in Between Blues」
オリジナル藍染めプロダクトの展示販売もするオシャレな店内
地元の陶芸作家さんの作品も販売していました
店内のいたるところに藍染めを施したアイテムが。素敵♪
in Between Blues代表の永原レキさんは地元海陽町生まれ。藍に関してのお話を聞きました

 最初に、オーナーであり阿波藍プロデューサーの永原レキさんから藍染めについてのレクチャーを受けます。こちらでは貴重な徳島県産のすくも(阿波藍)をもとに、天然灰汁発酵建てした染料での藍染を体験できるとのこと。さっそくエプロンをして手袋をはめて、藍甕(あいがめ)のある隣のスタジオへ。

スタジオ「OCEAN VIEW INDIGO STUDIO」。この日はちょっと曇っていましたが、晴れていれば真っ青な空と海がのぞめます。目の前の海を見ながらこれから染まる青を想像してみて

 生地の絞り方によって、むらくも染めや段染め、絞り染めなどがありますが、私は濃い色から薄い色へとグラデーションを付ける段染めに挑戦。藍液に浸ける位置を変えながら時間差で回数を分けて染めていきます。染めが終わると丁寧に水洗い。するとさらに深く染まった鮮やかな青が現われました。ところどころムラがあるのも手作業ならでは。外のテラスで海風に当てながら乾かします。

丸めたハンカチを片手でぎゅっと持って漬けたり、時間差で浸してグラデーションにしたり。染まり具合をときどきチェック

「in Between Blues」は藍染めのほかに、食藍が体験できるショップでもあります。食藍? そうなのです、藍って染料だけではなく、実や葉を食用としても使われていて、昔から「藍職人は病知らず」と言われるほどスーパーフード。店内のカフェスペースでは海陽町産のオーガニック天然藍「海部藍」を使ったお茶やスイーツも楽しむことができます。この日は藍が練り込まれた絶品マフィンをいただきました。

永原さんにレクチャーしてもらいながらワイワイ楽しく藍染め体験
海部藍を使ったマフィンをいただきました

 大判ハンカチのほかにも手ぬぐいやTシャツの藍染め体験や、染めたい素材の持ち込みもできる「in Between Blues」。店名を直訳すると“青のはざま”。海を眺めているだけでも幸せ気分になれる藍染めスタジオで、自分だけの青を染める体験をぜひ!

乾くとさらにはっきりした藍色に。使うたびに徳島を思い出すハンカチ、大切にします

阿波海南文化村内の「三幸館」では名物のご当地カレー「DMVカレー」が食べられる

2021年9月にリニューアルしたばかりの阿波海南文化村

 DMVの始発停留所でもある「阿波海南文化村」は、文化館、博物館、工芸館などテーマ別の全6施設が併設する複合施設です。お土産販売とイートインスペースのある「三幸館」には、DMV関連のグッズがずらりと並んでいましたよ。

ノートやトートバッグ、Tシャツ、ボトルなどいろいろなDMVグッズが揃っています
3色のDMVクッキーに、前回の記事でご紹介した組み立てモナカ。私はここで買いました

 飲食コーナーでは、徳島県の特産品である「半田そうめん」を使用した数種類のアレンジそうめんや各種カレー、おつまみ系のサイドメニュー、デザートなどいろいろ。ユニークなのはお土産コーナーにあるレトルトカレーをごはんと一緒にお皿に盛り付けてくれるサービスです。

 DMVのモードチェンジをイメージして考案されたDMVカレーは、2つの味が楽しめる2パック入り。もちろんこのDMVレトルトカレーもその場で食べることができちゃいます。お値段は普通に買うと959円、イートインだとご飯付きで1000円! 味のモードチェンジをぜひその場で味わってみてください。

DMVのモードチェンジをイメージしたDMVカレー
ごはん付きでお皿に盛り付けてくれるサービスが人気
特産品の「半田そうめん」を使ったアレンジ麺メニューも。東京の半田そうめん専門店「阿波や壱兆」が監修しています
博物館エリアでは美術刀としても知られる海部刀や、昭和54年に個人宅建設中に偶然発見されたという大里出土銭などの展示があります。この甕の大きさにびっくりでした
さまざまなワークショップ体験ができる工芸館

太平洋が目の前、オーシャンビューの部屋から見えた朝日に感動

DMVが目の前を走る「HOTEL RIVIERA ししくい」。洋風の建物が目を引きます(提供:HOTEL RIVIERA ししくい)

 今回の旅で宿泊した海陽町の「HOTEL RIVIERA ししくい」を最後にご紹介します。“ししくい”はDMVの鉄道駅にもある宍喰駅のししくいですね。ホテルのお隣は「道の駅 宍喰温泉」で、海陽町産品直売所や観光案内所、情報コーナーが揃っています。

吹き抜け天井で開放的なフロント・ロビー
館内は南国らしい明るい雰囲気

 こちらのホテルの自慢はなんといっても太平洋を臨むオーシャンビューの客室。チェックイン時は夜だったので海は見えなかったのですが、翌朝バルコニーで見た日の出の美しさにひとり感動していました。今回私が泊まった洋室のほかにも、和洋室や和室があります。

今回泊まった洋室ツインのお部屋
入り口すぐ横にバス・トイレ付き
5時55分、窓の外の美しいグラデーションに気づいて思わずバルコニーへ
6時22分、目の前の水平線から昇る朝日にうっとり
7時2分、太陽の道がくっきりと。お部屋から海が見られるってやっぱりいいですね

 2階は展望大浴場となっていて、びっくりするくらいお風呂が広い! 太平洋の超深層1000mから湧き出る天然温泉とのことで、湯ざわりとろとろでポカポカ温まります。サウナやジャグジーなども備わっていて地元の人にも人気というのも納得。お風呂からも海が見えるので、朝湯もオススメですよ。

天然温泉「美肌の湯」がとろとろの良泉で最高です(提供:HOTEL RIVIERA ししくい)

 次回は海陽町を離れて、さらに徳島の魅力を再発見できるほかのエリアのお勧めスポットをご紹介します。お楽しみに!

DMV乗車の起点としても便利な「HOTEL RIVIERA ししくい」。穏やかで美しい太平洋の絶景が待っています
ゆきぴゅー

長野生まれの長野育ち。2001年に上京し、デジカメライター兼カメラマンのお弟子さんとして怒涛の日々を送るかたわら、絵日記でポンチ絵を描き始める。独立後はイラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”として、雑誌やWeb連載のほか、企業広告などのイメージキャラクター制作なども手がける。