旅レポ

韓国の「ご当地シャトル」でカフェと市場巡り。日本語ガイド付きのお得なバスツアー

韓国観光公社のバスツアー「ご当地シャトル」に参加してみた

 韓国観光公社が日本人観光客向けとして実施しているバスツアー「ご当地シャトル」のソウル発ツアー。

 前回は、仁川広域市の「江華(カンファ)」を巡るツアーに参加して、昼食をいただいたところまでを紹介しました。今回は、昼食後のツアーの様子を紹介します。

地元で人気沸騰中、旧紡織工場をリノベーションしたカフェ

 お昼にチャムケジャンをいただいたあとは、カフェへと向かいました。このカフェは、ここ数年地元韓国の人たちの間で人気沸騰中と聞いていましたので、どういったところか、行く前から興味津々の場所でした。

 そのカフェは、「朝陽紡織」という名前のお店です。カフェなのに紡織という名前が付いているのにはわけがあります。それは、もともと紡織工場だった跡地をカフェにリノベーションして営業しているからです。

 朝陽紡織は、1933年に韓国資本で設立された紡織工場だったそうです。江華地区で初めてとなるレーヨン工場だったとのことで、設立後はかなりの盛況だったようですが、その後江華の繊維産業は衰退し、朝陽紡織の建物も廃墟と化していたそうです。その廃墟を現在のオーナーが買い取って、カフェへと変貌させたのです。

 カフェの建物は工場として使われていたものですが、明かり取りの窓が付いたノコギリ形の屋根など、建物の外観はまさに工場といった雰囲気となっています。また、カフェとしてはかなり巨大な建物と感じます。実際に、この建物を含めたカフェの敷地は300坪ほどあるそうで、当時の雰囲気を活かしつつ、カフェとして運営しているそうです。

現地の人々の間で人気沸騰中のカフェ「朝陽紡織」
1933年に設立された紡織工場の跡地をリノベーションしてカフェを運営しています。外観は当時の面影をそのまま残しています

 カフェの敷地に入ると、カフェとはちょっと思えないような風景が目の前に広がります。カフェの建物前には広場がありますが、その広場はアートギャラリーとのことで、さまざまなオブジェが置かれているのです。そのオブジェも、女神の石像や彫刻にはじまり、イギリスの赤い公衆電話ボックス、大型のトラクターなど、多種多様です。その雑多とした雰囲気が、逆に写真映えする光景となっていて、実際にスマートフォンなどを掲げて写真撮影する姿が多く見られました。

敷地内の広場には、さまざまなオブジェが飾られていて、アートギャラリーとして活用されています
変わったオブジェが置かれているのがおもしろいです
現在のオーナーが集めた彫刻などもところ狭しと並べられています
トラクターも置かれていて、かなり雑多とした印象もありますが、おもしろい写真が撮れそうです

 肝心のカフェは、紡織工場の建物をそのまま使っていることもあって、数百人が入れるような、非常に広々とした空間となっています。建物自体は紡織工場として使われていた当時のままですし、客が使うテーブルは工場で使われていた作業台をそのまま活かしているそうで、工場として使われていた当時の雰囲気もしっかり残されています。

 その建物のなかにも、トラクターが置かれたり、彫刻が散りばめられていたりと、凝った装飾が施されていますが、奇抜というほどではありませんので、外の広場同様になかなか楽しい雰囲気の空間となっています。こういった雰囲気のカフェはなかなかないと感じさせるもので、現地で人気になっているのも納得です。

 外観ばかりに目を奪われる感じではありますが、カフェでいただけるメニューは非常に本格的です。エスプレッソやカフェラテ、フレーバーティなど、ドリンク類は豊富に用意されていますし、ケーキ類もあります。今回は、カフェラテとティラミスをいただきましたが、どちらも本格的な美味しさで、十分に満足できました。施設ありきのカフェは、ドリンクやイートインのメニューがおざなりになっている場合も少なくありませんが、こちらではそういった心配はないと言えますし、ここを目指して現地の人たちが集まるのも納得です。

カフェは本格的で、ドリンク類も豊富に用意しています
ケーキ類ももちろんあります。一番人気はティラミスだそうです
カフェの店内は、紡織工場の建物をそのまま活用しています。とても広々とした空間でのんびりと楽しめます
室内にもトラクターを設置
いたるところに置物が置かれていて、装飾もかなり凝っています
建物はもちろん、客席のテーブルも工場で作業台として使われていたものを活用しているそうで、当時の雰囲気が残されています
カフェラテとティラミスをいただきましたが、どちらも本格的な味わいで、大満足でした

地元の人たちが集まる市場で現地の生活を垣間見る

 カフェで一息ついたあとは、地元の人たちが集う市場へと向かいました。その市場は、「江華風物(プンムル)市場」です。ソウル中心部には、「東大門市場」や「南大門市場」など、有名な市場がありますが、それら市場は地元の人たちだけでなく、観光客もターゲットとした市場となっています。それに対して今回訪れた江華風物市場は、純粋に地元の人たちをターゲットとした市場です。ご当地シャトルの江華ツアーでこの江華風物市場が組み込まれているのは、現地の人たちの普段の生活を知ってもらいたいためとのことです。

江華島やソウルなど地元の人たちが集う市場「江華風物市場」

 市場で売られている物は、食料品が中心となっています。江華地方で採れた農産物や水産物、果物などがところ狭しと並んでいますが、やはりその中心は海産物です。なかでも、江華地区で広く親しまれているサッパ(日本ではママカリとも呼ばれています)が特に多く見られます。また、鰻もよく食べられているそうで、市場には鰻を白焼きにして提供する店もありました。香ばしい鰻の香りが食欲をそそります。

 このほかにも、江華で採れるヨモギを使ったお餅や、韓国と言えば外せないキムチを扱うお店もあります。また、食事ができるお店も多くあります。ツアーですので、ゆっくり食事するのは難しいかもしれませんが、お店のメニューや、実際に現地の人が食べているものを見だけでも、現地の食生活に触れられる貴重な機会と感じました。

江華風物市場では、江華で採れた農産物や水産物などが売られています
扱われている食材の中心となるのが、江華で採れた水産物です
こちらは、地元で親しまれているサッパ。さまざまな調理法でよく食べられている魚だそうです
市場内の食堂でも、サッパの料理がたくさん並べられていました
活きたエビやカニもたくさんいます
地元で人気の鰻の白焼きも売られています。香ばしい鰻の香りが食欲をそそります
韓国と言えばキムチ。試食もできますが、どれもとても美味しかったです
日本にお土産で買って帰りたいぐらいですが、滞在期間が長いなら、ホテルで食べる量を買って帰るのもよいでしょう

 建物の2階には、現地の伝統工芸品を扱うお店もあります。なかでも注目なのが、江華の伝統工芸品となっている「花紋席(ファムンソッ)」です。い草のような植物を編んで作られたござで、今では非常に高級な工芸品となっているそうです。生鮮食料品はお土産にするのは難しいですが、こちらならお土産としてもかなり魅力的と言えます。

市場の2階には、江華の伝統工芸品「花紋席」が売られています
い草に似た植物を編んで作った花ござが特産品です。非常に高級な工芸品とのことで、お土産にも最適でしょう

 さらに、江華風物市場のすぐ隣には、高麗人参を専門に扱う市場「江華人参センター」もあります。高麗人参は高級な滋養食材として有名ですが、江華は高麗人参の産地なのだそうです。それも、特に高級な高麗人参が栽培されているとのことで、江華人参センターは韓国でも有数の高麗人参専門市場なのだそうです。

 江華人参センターでは、生の高麗人参から加工品までさまざまな品が扱われています。なかに入ると、朝鮮人参独特の香りが漂っていて、いかにも元気になりそうな印象です。朝鮮人参の加工品はお土産としても人気ですが、こちらなら品揃えも豊富ですので、お土産として高麗人参の加工品を買おうと思っているなら外せないスポットと言えるでしょう。

江華風物市場の隣にある、高麗人参専門の市場「江華人参センター」では、生の高麗人参や加工品が扱われています
豊富な品数で、高麗人参のお土産を買うのにも最適です

ご当地シャトルは、韓国の人気観光地を気楽に楽しめる魅力的なツアー

 今回のツアーでは、帰国便の関係もあって、江華風物市場が最後の訪問地となりました。実際のツアーではこのあとに、高句麗の時代に創建されたお寺とされる「伝燈寺」も巡ることになっていますので、江華島の歴史にも触れられるようになっています。

 実際にご当地シャトルのツアーに参加して、とても楽に、また効率よく観光地を楽しめると感じました。個人でこれだけの場所を巡るのはかなり難しいでしょう。また、前回紹介しているように、ご当地シャトルには日本語の堪能なガイドさんが動向しますので、言葉の心配が不要ですし、現地の歴史なども詳しく解説してもらえるという点でも魅力と感じます。しかも、ツアー料金もかなりお手頃です。今回の江華ツアーの料金は7万ウォンまたは7000円です。クルマやガイドさんの手配はもちろん、昼食代金も含んでの金額ですから、かなりおトクと言えます。

 このご当地シャトルは、ソウル発の4コースと釜山発の1コースの計5コースが用意されています。もし韓国を訪れる機会があって、やや離れた場所の観光地を巡りたいと考えているなら、このご当地シャトルはかなりオススメです。

ロッテホテルのエグゼクティブタワーに宿泊

 さて、今回のツアーは1泊2日の日程でしたが、宿泊ホテルについても紹介したいと思います。

 今回宿泊したホテルは、日本でも有名なロッテホテルソウルでした。ソウル中心部に位置する、韓国を代表する高級ホテルです。しかも今回は、ロッテホテルソウルのなかでも特に高級な、新館のエグゼクティブタワーでの宿泊でした。

 ロッテホテルソウルのエグゼクティブタワーは、一般の宿泊フロアとは異なる専用エレベーターでロビーフロアへと向かいます。

 ロビーは一般的なホテルのロビーとは異なり、とても落ち着いた雰囲気です。宿泊客を個別に案内するデスクが用意されていて、チェックインの段階から特別な待遇を受けていると感じさせてくれます。もちろんロビーのスタッフは日本語が堪能ですので、韓国語や英語ができなくても問題なくチェックインが可能です。

今回のツアーで宿泊した、ロッテホテルソウル。韓国を代表する高級ホテルです
今回は、新館のエグゼクティブタワーに宿泊しました
専用のエレベーターでロビーフロアへと移動します。ロビーはとても落ち着いた雰囲気です
宿泊客は、個別のデスクでチェックインを行ないます

 そして、実際に宿泊した部屋はエグゼクティブタワーの客室のなかで標準的なグランドデラックスルームです。標準的な客室とはいえ、室内は広々としています。ツインまたはダブルベッドが置かれ、窓際には大きなソファがありますので、リラックスして滞在できます。

 バスルームも広々としています。大きな洗面台に、独立したシャワーブースとトイレブース、そして、深々としたバスタブがあります。バスタブには、バスソルトや垢すりなども用意されていますので、疲れた身体をゆっくりほぐせるでしょう。そして、日本人的には、トイレがシャワートイレとなっている点もうれしい部分と言えます。

 このほかにも、バスローブやふかふかのスリッパなど、アメニティも充実しています。また、個人的に特に気に入ったのが、スマートフォンの充電用ケーブルが豊富に用意されている点です。近年のホテルでは、ベッドサイドにスマートフォンなどを充電するためのUSBポートを用意することが増えています。エグゼクティブタワーの客室でも、ベッドサイドにUSBポートが用意されていますが、それだけでなく、ベッドサイドのシェルフ内にMicro USB、USB Type-C、Lightningと3種類のコネクタに対応するケーブルが用意されているのです。これなら、ケーブルを忘れた場合でも安心です。こういった細かな部分までの気配りは、さすが高級ホテルと感じました。

 ロッテホテルソウルは5つ星ホテルですので、通常の客室でも十分快適に滞在できると思います。ソウルの繁華街である明洞にも徒歩でアクセスできる立地のよさも大きな魅力です。しかし、せっかくの旅なのでホテルも贅沢したいというときには、ロッテホテルソウルのエグゼクティブタワーを選択してみては。旅の魅力が大きく高まることは間違いないでしょう。

実際に宿泊した、グランドデラックスルーム。エグゼクティブタワーでは標準的な客室ですが、ゆったりとしてて気分よくくつろげます
窓際には大きなソファがあります。窓からはソウル市内の夜景が一望できます
ミニバーにはアルコールやコーヒーが用意されて、ちょっとした仕事にも使えるデスクもあります
こちらはバスルーム。清潔で広々としています
大きな洗面台は、女性にもうれしいところでしょう
深いバスタブでゆっくりお湯に浸かって身体を癒やせます
アメニティとして、バスソルトや垢すりなども用意されます
独立したシャワーブースを用意
トイレも独立したブースとなっています。シャワートイレとなっている点もうれしい部分です
ベッドサイドには、照明やカーテンの集中コントロールとともに充電用のUSBポートを用意。USBポートの出力が弱いのはちょっと残念ですが、寝ている間にスマホの充電を行なうことは可能でしょう
ベッドサイドのシェルフにMicro USB、USB Type-C、Lightningと3種類の充電ケーブルを用意しています

平澤寿康

うどん県生まれ。僚誌PC Watchなど、IT系の執筆を中心に活動。旅&乗りもの&おいしいもの好きで、特に旅先でおいしいものを食べるのに目がない。ただし、うどんにはかなりうるさい。