旅レポ

タイ旅行への新たな選択肢。ノックスクートで成田からバンコク・ドンムアン空港まで飛んだ、初便搭乗レポート

ノックスクートは、6月1日に成田国際空港~バンコク・ドンムアン空港線を就航した

 6月1日に成田国際空港~バンコク・ドンムアン空港線を就航させたLCC「ノックスクート」。

 その記念すべき初便に搭乗したので、ここでは、機内の様子を中心にレポートする。

ノックスクートの成田国際空港~バンコク・ドンムアン空港線

XW101便:成田(13時55分)発~バンコク(18時25分)着、毎日運航
XW102便:バンコク(02時20分)発~成田(10時25分)着、毎日運航

6月1日に就航したXW101便の記念すべき初フライト。ボーディングブリッジの前には記念のアーチが設置されていた

 LCCとはいえ、成田からタイ・バンコクまでは約4600kmの長い道のりであり、機体も限られてくる。この路線で使われているのは大型機であるボーイング 777-200型機で、座席数はビジネスクラスのスクートビズが24席、エコノミークラスが391席の計415席が用意されている。ちなみに片道運賃はスクートビズが2万9800円から、エコノミークラスが9800円からとなっている。

XW101便に使われるボーイング 777-200型機。座席数は415
ノックエアと同じく、機首には鳥のくちばしが描かれた斬新なペイントが施されている

 ノックスクートのチェックインカウンターは成田空港第2旅客ターミナルにあり、こちらで搭乗手続きを行なったり、荷物を預けたりする。筆者のように「成田のLCCは第3旅客ターミナルだな!」と思い込んでいると痛い目に会う可能性があるので要注意。この日は取材ということもあって9時30分には成田空港に到着していたので事なきを得たが、ターミナルを間違えるのは冷や汗ものである。

チェックインは第2旅客ターミナルのDカウンターで行なった

 搭乗開始の前には記念式典が行なわれ、副最高経営責任者であるギャン・ミン・トー氏をはじめ、タイ王国大使館 駐日タイ王国特命全権大使 バンサーン・ブンナーク氏や国土交通省 東京航空局 成田空港事務所 成田国際空港長の石井靖男氏があいさつをした(関連記事「ノックスクート、成田~バンコク・ドンムアン線就航記念式典。毎日運航で片道9800円から」)。

 来賓と主催者によって記念すべきテープカットが行なわれたあとは、早速搭乗開始。ゲートを抜けるとスタッフが記念品を配布していた。オリジナルのトートバッグの中には、ボールペンとポーチ、タンブラーが入っていた。

就航を記念して、搭乗者にはオリジナルグッズが配られた
ノックスクートバードが描かれたタンブラーにポーチとボールペン

 機内は前方にビジネスクラスであるビズシートが24席配置され、その後ろには静かに過ごせる「スクートクワイエットゾーン」が51席用意されている。こちらのスクートクワイエットゾーンはエコノミークラスであるが、追加料金を払うことで予約時に指定可能だ。年齢制限があり、12歳以下は利用できないエリアになっている。このスクートクワイエットゾーンから後ろは一般的なエコノミークラスだ。

 エコノミークラスはシートピッチによって「標準」「スーパー」「ストレッチ」と3種類に分かれている。標準シートはシートピッチが31インチの仕様であり、多くの座席に採用されているものだ。スーパーは最大でシートピッチが35インチあり、足元が広くなっている。ちなみに座席番号71~74までの後方窓側座席は2列でこの仕様になっており、カップル用として「ラブ・シート」の名称も付いている。ストレッチは前に座席がなく、もっとも足元が広くなっているシートであり、全部で30席が用意されている。

 運賃は標準が一番安く、スーパー、ストレッチと足元の空間が広くなるにつれ、指定料金が追加される。スーパーとストレッチは黄色で、標準は青色と、色分けされているのも特徴だ。

 筆者が座ったのは22列のE席で、スクートクワイエットゾーンの前から2列目、ストレッチシートの次の列で真ん中の席だ。スーパーシートということもあり、足元の空間にゆとりがあるのは楽でよい。装備はLCCらしく、折り畳み式のテーブルと前カゴ、リクライニングに読書用ライトといたってシンプル。機内エンタテインメントや飛行情報を見れるモニターはないので、6時間30分(復路は6時間5分)のフライトを快適に過ごすためには、本なりスマートデバイスなり各自で前もって準備しておく必要がある。

ビジネスクラスに位置付けられているスクートビズ。シートは革張りで、シートピッチは38インチ。ほか、電源やフットレストも備わっている。配置は横に2-4-2の1列当たり8人のレイアウト
エコノミークラスは標準シートが青色で、スーパーとストレッチは黄色と色分けされている。配置は横に3-4-3の1列当たり10人のレイアウト(後方は一部が2-4-2)。機内に持ち込めるのは手荷物1個とハンドバッグかラップトップバッグで、合計10㎏までとなっている
スーパーシートはシートピッチが35インチあり、前席からの圧迫感が少なく、足元にも余裕がある
前席がリクライニングを利用していなければノートPCで作業することも可能だが、倒されているとこのように窮屈で厳しい
CA(客室乗務員)は黄色のユニフォームを着用。往路、復路とも日本語で会話できるスタッフが最低1名は就業しているようで、機内アナウンスも英語、タイ語、日本語で行なわれていた

 この日は離陸してからすぐに気流のわるいところがあったことから、機内販売は1時間30分ほど経ってから開始された。予約時に食事を注文していると、このタイミングで提供される。筆者がいただいたのは「照り焼きチキン御飯」で、アツアツのタイ米に照り焼き風に甘辛く味付けされた鶏肉が食欲をそそる一品だ。早速いただいてみると、味付けがかなり濃い目なのと、タイ米の組み合わせなので、好き嫌いがはっきり分かれそうだなと思った。筆者的にはタイ米のパラパラ感は全然OKであるが、鶏肉の甘さと缶詰を思わせる焼き加減が気になったので、その辺りがあっさりパリッとなっていればよかったかなと思う。

 機内販売のメニューは英語に加え、中国語がメインだったので(ノックスクートはすでにバンコクから中国各地に就航している)、そちらをターゲットにした味付けになっているのかもしれない。ほかでは、ビールやソフトドリンク、カップ麺などがよく売れていた。

機内の飲食物は有料なので、食事や飲み物が欲しい場合はメニューを見て注文する。日本語で書かれたメニューも用意されている
中国に就航している便が多いので、メニューは基本的に中国語で記載されている。価格はタイバーツで表記されている
こちらは日本語メニューの表面と裏面
現金の支払いは、タイバーツ、人民元、台湾ドル、シンガポールドル、日本円が使える。お釣りはタイバーツで戻される
価格も手ごろで温かく、腹持ちもよいのでカップ麺が人気。ビールは、ハイネケン、シンハー、タイガーといった外国銘柄とアサヒが用意されていた
「照り焼きチキン御飯」は中国語では「日式照焼鶏肉飯」。濃いめの味付けはついついビールに手を伸ばしたい誘惑にかられたが、取材中ということもありガマンいたしました(苦笑)

 取材や撮影、休憩を取っている間もXW101便は順調に飛行を続け、18時24分にバンコクの北にあるドンムアン空港に到着。当日は機長と副操縦士のパイロット2名、CA(客室乗務員)9名による11人のスタッフによる運航だった。LCCとはいえ、CAはホスピタリティ精神にあふれており、嫌な印象を受けることもなかった。2017年は日本からタイに訪れる人は150万人に達し、タイから日本に訪れる人も100万人に迫る勢いであることから、今後も成田~バンコク路線がますます重要になることは間違いない。そのなかで最安9800円から搭乗できるノックスクートは、新たな選択肢の一つとして歓迎したい。

ドンムアン空港に到着後、「コップンカー(タイ語で“ありがとう”)」と声をかけながら乗客を見送るCAの皆さん
記念すべき初便の運航に携わったパイロットとCAの皆さん
ドンムアン空港はLCCの一大拠点となっており、多くの会社が国際線・国内線を就航させている

野村シンヤ

IT系出版社で雑誌や書籍編集に携わった後、現在はフリーのライター・エディターとして活動中。PCやスマートフォン、デジタルカメラを中心に雑誌やWeb媒体での執筆や編集を行なっている。気ままにバイク旅をしたいなと思う今日この頃。