旅レポ

夏の高原リゾートのように快適な環境で過ごせるタイ・チェンライへの旅(その1)

ラオス、ミャンマーを望むタイ最北端に位置する国境の街へチェックイン

チェンライ国際空港

 荘厳かつ華やかな仏教寺院や古代の文化を今に伝える遺跡群、現地の生活に気軽に触れられるナイトマーケットなど、その多彩な魅力で東南アジアのなかでも高い人気を誇る観光地タイ。首都バンコクまでは日本各地の空港から多くの便が就航しているのでスケジュールの自由度も高く、6~7時間のフライトと海外旅行としては特別長くなく、わずか2時間の時差は体に優しいのも人気の一因だろう。

 今回は、首都バンコクをはじめタイの第2の都市と言われるチェンマイ、世界遺産の街アユタヤ、南部のビーチリゾート プーケットなどさまざまな顔を持つタイの政府観光庁が実施する「チェンライ メディアツアー2016」に参加し、タイ最北部の街チェンライを満喫してきたのでその模様をお伝えする。

 なお、タイ観光で人気も高く名前も似ているチェンマイの北東部に位置するチェンライは、隣国ラオス、ミャンマーとも国境を接し首都バンコクとは少々異なる風情が魅力的で、日本からの直行便こそないものの、多くの日本発の便が到着するバンコク・スワンナプーム国際空港から乗り継ぎができ、その飛行時間も1時間20分程度と実は気軽にアクセスできる街だ。

チェンライ国際空港。両替所やタクシーの手配など旅の始まりに必要なものはおおむねここで揃う
今回バンコク~チェンライで利用したタイスマイル航空
1時間20分程度のフライトであったが軽食が提供された

東南アジアでありながら実は日本の高原リゾートのように快適なチェンライの気候

 ツアーは12月中旬に開催されたが、この時期のチェンライの気候は最高気温は約27℃、最低気温は約13℃、平均気温は22℃程度と夏の北海道(札幌)に近く、むしろ最低気温は札幌より低い。避暑地としても名高い長野県軽井沢の8月とも近く、やはり最低気温はチェンライの方が若干低い。この季節のチェンライは実に快適だ。

 加えて乾季にあたるこの時期はほぼ雨が降らないので実に気持ちよく、天気が安定していることはそれだけでも旅行先として魅力的だ。実際筆者は6日間のツアーの大半を半袖シャツで過ごし夕方から長袖のジャンパーを羽織る程度で十分だった(同行者のなかにはもう少し厚着して過ごす人もいた)。

 ちなみに夜にはかなり気温が下がるが、この地のホテルにはほぼ暖房設備がないことを考慮した部屋着やパジャマなどを用意すれば何ら問題はない(筆者は結局部屋でも薄着で過ごしてしまったが、室内とはいえ実は少々寒かった)。そんなわけで東南アジアというと多くの人がイメージするであろう高温多湿な世界とは無縁のリゾート地が今回訪ねた冬のチェンライなのだ。

3国の国境が接する人気スポット「ゴールデン・トライアングル」

 ツアー一行が宿泊したのは3カ国の国境が接する人気スポット「ゴールデン・トライアングル」にほど近いインペリアル ゴールデントライアングルリゾート。チェンライの市街地からは70kmと離れているものの、毎朝大河メコン川の対岸ラオスの朝焼けを眺めながらの起床、そしてラオス、ミャンマーを眺めながらの朝食はその日1日の旅の気分を盛り上げてくれる至福の時間だ。

 近くに小さな商店やコンビニなどもあるようだが、基本的に夜は真っ暗、すべて閉まってしまうようなのでホテル周辺でのにぎやかな夜遊びは期待できないかもしれない。静かな夜を部屋でゆったり過ごすためのリゾートホテルという雰囲気だ。

THE IMPERIAL GOLDEN TRIANGLE RESORT

所在地:222 Golden Triangle Chiang Saen, Chiang Rai 57150 Thailand

インペリアル ゴールデントライアングルリゾート
タオルで作ったスワンと散りばめられた生花が迎えてくれた
滞在中はメコン川を挟んだ向こう岸、ラオスの山々越しに見える夜明けを毎朝楽しめた
朝食は“THE BORDER VIEW”というレストランでいただく。文字どおり国境を眺めながら食事ができるレストランだ
朝食はお粥など自分でタイ風に味付けできるものもあるが、全体的には癖のない洋食が中心だ
テラスから国境が見える。右側のラオスまで0.3km、左側のミャンマーまでは0.1kmの表示がこの地の特徴を物語っている
まだ薄暗い時間に出発するときは車窓から日の出が楽しめた。見ているのはラオス側の空だ
国境を見渡せる高台に看板やお土産物屋が並んでいるが朝早すぎてまだ開店前だった
この日の早朝は残念ながら霧が出てしまったが右側にうっすら見えるのがラオス、左奥から突き出している尖ったところがミャンマーだ
日中に行くことは叶わなかった高台の足元、船着き場付近の夜の様子

歴史あるチェンライを象徴する寺院ワット・プラ・ケオ

 かつてタイ北部を統治していたランナー王朝の最初の都があったチェンライはその歴史も古く、市内には美しい寺院も多い。寺院巡りだけでも十分楽しめるほどの充実ぶり、で今回紹介するのは我々が訪ねた数々の寺院のなかで最も歴史があり有名なワット・プラ・ケオだ。「ワット・プラ・ケオ」と調べると首都バンコクにあり翡翠でつくられたエメラルド仏が安置されている通称エメラルド寺院が有名だが、そのエメラルド仏が発見された寺院がここチェンライにある同じ名前のここ「ワット・プラ・ケオ」だ。

 元々はスリランカからやってきたとされるエメラルド仏は1391年から1436年の45年間、ここチェンライに安置されていたとのこと。そのあと、タイのラムパーンで32年間、そしてチェンマイで85年間の時を経て一度はラオスに渡るものの1778年にバンコクに渡り現在にいたっている。

 14世紀終盤にここで発見されたエメラルド仏は今バンコクでその姿を見ることができるが、その発見の地がチェンライなのだ。なお現在チェンライで見られるエメラルド仏は1991年に奉納された新しいものだ。

WAT PHRA KAEW

所在地:Wieng Muang Chiang Rai, Chiang Rai 57000
拝観料:無料

チェンライの人気スポットだけに人はそれなりにいるが、ゆっくりと見ることができる
看板は上からランナー王朝の文字、タイ語、英語の順で書かれていた
エメラルド仏の歴史が記されている看板
チェンライのエメラルド仏は誰でも参拝できる
14世紀のここで見つかったそのものではないとはいえ翡翠の質感まで分かるほど至近距離で見られるのは貴重
かつて落雷で破壊されたという仏塔も美しく復元されている
タイでは曜日ごとの仏さまがいるので自分の生まれた曜日の仏像にお祈りする人も多いとのことだ
日曜日の仏像(左)と月曜日の仏像(右)
横になっているのが火曜日の仏像で右は水曜日の午前中の仏像
水曜日の午後の仏像(左)と木曜日の仏像(右)
金曜日の仏像(左)と土曜日の仏像(右)
敷地内にはさまざまな仏像が並んでいる
エメラルド仏がいないこちらが本堂
黄金に輝く仏塔と仏像

 チェンライの街には、このワット・プラ・ケオのような歴史のある寺院をはじめ新進気鋭の芸術家が建設した純白の寺院までさまざまな時代のいろいろな寺院が数多く点在しているので、爽やかな気候のなかでの寺院巡りはなかなか楽しかった。

 次回はそんな寺院巡りを中心にお届けする予定だ。

高橋 学

1966年 北海道生まれ。仕事柄、国内外へ出かける機会が多く、滞在先では空いた時間に街を散歩するのが楽しみ。国内の温泉地から東南アジアの山岳地帯やジャングルまで様々なフィールドで目にした感動をお届けしたいと思っています。