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ブリヂストン、タイに新たな航空機用タイヤ工場建設

2019年2月より新品・リトレッド製品を生産開始。アジア・オセアニア地域に供給

2019年2月 生産開始

市場の現況と将来について解説した株式会社ブリヂストン 執行役副社長 石橋秀一氏

 ブリヂストンは12月22日、航空機用タイヤの製造拠点となる新たな工場をタイに建設し、2019年2月より生産を開始することを明らかにした。

 航空機用タイヤの製造を手がける同社の工場は、現在、新品タイヤ製造拠点として日本国内に2カ所、ビジネス拠点およびリトレッドタイヤ製造拠点として米国、中国、香港、ベルギーの各地に1カ所ずつ存在する。2019年2月にはこれにタイ工場が加わり、航空機用の新品タイヤとリトレッドタイヤ両方の生産を行なう計画だ。

 製造したタイヤは主に東南アジア、オセアニア、中近東に出荷される。既設タイヤ工場の敷地およびリソースを活かす形で新工場を建設することから、投資額は通常より抑えた約150億円規模と算定。現地で必要な認可が得られ次第、建設に着手する。

2035年に向け、航空機タイヤ市場は中国・アジア地域が中心に

 ブリヂストンは現在、大型・中型・単通路機、およびリージョナル機を中心とした旅客・貨物機向けに、機体メーカー各社と国内外の航空会社に対して航空機用タイヤを納入している。同社の調査によると、小型機を除く同分野の航空機は、2015年時点で全世界に約2万機あり、およそ90万本以上のタイヤ需要があるとしている。

今後はなかでも単通路機の機体数増加が見込まれ、2035年には単通路機2万5000機を含む3万8000機に達すると予測する。

大型機、中型機、単通路機、リージョナル機向けのタイヤ製造にフォーカス。市場全体の79%を占める
今後も航空機の数は増え続けるが、ラジアルタイヤを装着する単通路機が顕著に拡大するという

 今後、製造される新型機の多くには、従来型のバイアスタイヤではなく、軽量、高耐久で安全性の高いラジアルタイヤの採用が進む。同社が持つ既存のラジアルタイヤ製造技術と、さらなる高性能を達成する新世代の「RRR(Revolutionarily Reinforced Radial)」技術によるラジアルタイヤが、その流れのなかで他社にはない強みとして発揮できるとしている。

高い走行速度、風などの外力、大きな温度差など、航空機タイヤは自動車タイヤとは比較にならない高負荷にさらされる
RRR技術採用のラジアルタイヤで市場に攻勢をかける
RRR技術採用のラジアルタイヤは、バイアスタイヤと比べてリトレッド(中古タイヤにトレッドを張り直す作業)の回数は半分で済む

 2015年時点では、最大の航空機タイヤ市場は米国。しかし2035年には、中国・(東南)アジアが現在の3倍近い機体を保有し、世界をリードする市場に成長すると見込んでいる。タイに新たな製造工場を建設するのは、そうしたアジア地域の市場拡大を見据えたもので、付近一帯の物流拠点として利便性が高い地域であることも理由の1つとしている。

2019年にタイに新たな製造工場を建設する
ラジアル技術(ハード面)とリトレッド技術(ソフト面)を強みとして活かし、顧客への高い価値提供を図っていく