旅レポ
時差のない西洋、オーストラリア・ブリスベンで体も心もリラックス(その1)
カンタス航空直行便で起きたら目的地、中心部のクイーンストリートモールを散策
2016年7月4日 00:00
オーストラリアといえば、その名前を見聞きするだけでオーストラリアが浮かぶような屈指の観光ネタがたくさんある。観光地だけでなく、「コアラ」「カンガルー」なんて言葉でもオーストラリアが真っ先に思い浮かぶ。そのオーストラリアの人口第3位の都市が「ブリスベン」。
正直ちょっと地味? 日本からの直行便の行き先だけど、そこから有名な場所へ移動するときの経由地。そんなイメージがある。クイーンズランド州政府観光局が主催したプレスツアーで、このブリスベンを訪れる機会を得たのだが、一言でまとめると、とても過ごしやすい街だった。今回よりお伝えするブリスベン旅のレポートで、そんな感想を持った理由が伝わればと思う。
日本からは直行便あり、往路は夜に飛ぶ
旅行先としてのオーストラリアの特徴としてよく言われるのは「時差がない」こと。実際にはオーストラリア東海岸では1時間、中部地域など時差が少ないところで30分の時差があるが、アメリカ大陸やヨーロッパに比べれば圧倒的に少ない。もちろん時差の少なさはアジア圏も同様なのだが、オーストラリアは時差が少ない地域でありながら、西洋の文化が色濃いところがポイント。
日本からの航空便は、カンタス航空が成田~ブリスベン線を2015年8月に開設。デイリーで運航している。この夏期スケジュールのダイヤは下記のとおりで、往路は日本を夜に出発して、ブリスベンに早朝に到着する。日本からは約8時間と移動距離は長めだが、夜寝て、起きたら次の日の朝という日常的な生活パターンを崩すことなく旅行ができる。
QF62便:成田(20時40分)発~ブリスベン(06時45分/翌日)着
QF61便:ブリスベン(10時45分)発~成田(19時00分)着
(2016年10月29日までのスケジュール。予告なく変更になることがある)
カンタス航空の成田~ブリスベン線で使われているエアバス A330-300型機は客室内を改修したばかり。利用したのはエコノミークラスだが、シートピッチは31インチと国際線の飛行機では標準的な数字だ。実際に座ってみるとシートピッチはよくもわるくも数字どおりの印象だが、シートのクッションが硬すぎず柔らかすぎない適度さで、座り心地がとてもよかった。
また、機内エンタテイメントシステムが充実しており、映画や音楽の選択肢が多く、往路は寝て過ごすのがもったいないほど(熟睡したけど)。タッチ操作に対応した11.1インチのシートモニターを各席に備え、脇にはUSBポートがある。さらにそのすぐ下に小物入れもあり、スマホなどを充電したままおいて置けるのは便利。足下にはユニバーサルACコンセントも備えており、機内環境は充実している。
ちなみに、この上部の小物入れには500mlクラスのペットボトルを置いておくこともできる。下部のシートポケットにペットボトルを入れるとどうしても足下が狭くなりがちだが、これを防げるのはありがたい。
と、軽くカンタス航空のエコノミークラスを楽しみつつ、ほとんど寝て過ごした往路の機内。気が付いたら空が白み始め、眼下には陸地が見えてきた。オーストラリア大陸の東海岸だ。
そして、ブリスベン空港に到着。そこがもう、ほぼ目的地。直行便就航地への旅は本当にラクだ。市内へはバスやタクシーなどのほか、国際線ターミナルの目の前に鉄道駅が乗り入れており、そのまま市内のセントラル駅まで行ける。さらに同行の観光局の担当者に聞くと、ゴールドコースト行きの列車もあるそう。今回は行程に含まれていないが、この鉄道旅も楽しそうだ。
ブリスベンの中心地、クイーンストリートモールを散策
今回のツアーでは、ブリスベンのセントラル駅から徒歩10~15分ほどの場所にあるホテルに滞在した。まずは、そのホテルからほど近いクイーンストリートモール近辺を散策した模様をお伝えしたい。
クイーンストリートモールは、ブリスベンの高層ビル街、ダウンタウンのなかにあるショッピング街で、ブランドショップから気軽なフードスタンドまでさまざまな店があって華やいでいる。ぶらぶらしているだけでも楽しい。
そのなかでも、ぜひ立ち寄ってほしいのがツーリストインフォメーションセンター。ここで観光情報を収集して……というわけではない。ここは1920年代に建てられた映画館の跡地を利用しており、当時の内装の一部が残されている。そこが見どころだ。
その映画館が「Regent Theater」。なかは中世ヨーロッパを思わせるような豪華な内装で、こんな贅沢なツーリズムインフォメーションセンターが世の中にあってよいのかと思ってしまうが、逆に取り壊して高層ビルを建てる計画に対する反対運動などが起こった結果こうなったとのこと。開発派、保護派双方いるのだろうが、一観光客の感想としては、入場料金を取ってもよさそうな素晴らしい建物に無料で出入りできるのは単純におトクだと思うので、繰り返しになるがぜひ立ち寄ってみてほしい。
そのツーリストインフォメーションセンターの前にある、「ブリスベン・アーケード」もお勧め。同じく20世紀前半に作られたアーケード街で、当時の雰囲気を色濃く残している。現代的なファッションアイテムなども売っているが、ジュエリーショップやアンティークショップ、カフェなど、20世紀前半の雰囲気に浸れる空間が魅力だ。
デザインと機能性が両立したホテル「ibis Styles Brisbane Elizabeth Street」
さて、ここで宿泊したホテルの紹介をしておきたい。今回宿泊したのは、「ibis Styles Brisbane Elizabeth Street(イビス スタイルズ ブリスベン エリザベス ストリート」。「ibis」の名で分かるとおり、フランスを本拠地にしてグローバル展開するアコーホテルズの系列ホテルだ。
アコーホテルズのブランドの一つである「ibis Styles」は、カラフルで、ともすればファンキーとも表現できそうな派手めの内装に仕立てた、いわゆるブティックホテルやデザイナーズホテルと呼ばれるインテリアデザインを重視したホテルだ。一方でibisブランドらしい泊まりやすい価格帯であることが特徴。同ホテルは「オーストラリアのフラッグシップホテル」として、2016年3月にオープンしたばかり。
部屋数は368室で、「スタンダード」「スーペリア」「コーナーデラックス」「キング/ツインルーム」「クイーンルーム」の5タイプを用意。さらに、屋外の景観別に「シティービュー」「リバービュー」などに分けられている。7月の料金を調べてみると、もっとも安価なシティビュースタンダードルーム(ツイン)が1泊114オーストラリアドル(約8900円、1オーストラリアドル=78円換算)から。これには朝食も含まれている。
同ホテルが重視するデザインについては、エントランスに一歩入るどころか、入り口手前の天井からもユニークさがうかがえる。もちろんエントランスもオレンジを基調にポリゴンを使って立体感を生み出した不思議なデザインで、入った瞬間に10歳ぐらい若返ったような気分。
各階もフロアごとにテーマカラーも分けていて、カーペットにはブリスベンを流れる川をイメージした独自のデザインを施している。この色分けはおしゃれさだけでなく、宿泊客が自分の部屋の階を間違えにくいようにという配慮もある。
こうしたデザインを重視したホテルは、その気持ちが強すぎると滞在する部屋としての使い勝手に不満が残ることもあるが、このホテルは部屋の使い勝手もよかった。
中心部に近いのでビジネストリップでの宿泊も少なくないと思うが、まずワーキングデスクはちゃんとある。奥行きは狭めだが幅は十分にある。椅子がクッションのないシンプルなものだったのは惜しかったが、夕方以降にホテルに戻って一作業……ぐらいのデスクワークなら実用十分な装備だ。
また、ベッドサイドにはACコンセントがあるほか、Bluetooth&USB接続に対応した目覚まし機能付きスピーカーが設置されており、USB充電ならこちらのポートも利用できる。枕元のライトもフレキシブルに動くので調整しやすく、いずれもが機能的で不便に思うこともなく、おしゃれなビジネスホテルとして見ても使いやすいホテルに感じられた。
さらに、記者がこのホテルで気に入ったポイントを2つ挙げておく。
1つは、徒歩圏内にセブン-イレブンやスーパーがあるので、ちょっとした飲み物などをすぐに補給できること。
もう1つはリバービューの部屋からの景色。特に早朝は、ibis Styles Brisbane Elizabeth Street自体の影がすっと伸び、その奥にはブリスベンのサウスバンクと呼ばれるエリアが広がる。周囲には石造りの歴史を感じる建物あり、おしゃれな高層建築物ありと、新旧入り交じったブリスベンの町並みがある。朝起きてカーテンを開ければ、このような素晴らしい風景のおかげで、とても気持ちよく一日のスタートを切れるのだ。
ibis Styles Brisbane Elizabeth Street
所在地:40 Elizabeth Street 4000, Brisbane
TEL:(+61)7-33379000
FAX:(+61)7-32114954
チェックイン時刻:14時
チェックアウト時刻:11時
Webサイト:ibis Styles Brisbane Elizabeth Street(英文)
さて、このようにブリスベンのセントラルエリアを拠点に進んでいくブリスベンの観光。次回はクイーンモールストリート付近の見どころをもう少し詳細に紹介する予定だ。