旅レポ
運行開始した城崎温泉~久美浜を結ぶ「くみはまライナー」の初便に乗ってみた
JRと丹鉄の2つの観光拠点が乗り換えなし、9月まで運行
2016年7月5日 00:00
- 2016年7月2日 運行開始
JR西日本(西日本旅客鉄道)と、丹鉄(京都丹後鉄道)を運行するWILLER TRAINSは7月2日、JR山陰本線 城崎温泉駅から京都丹後鉄道 久美浜駅を乗り換えなしで結ぶ「くみはまライナー」の運行を開始した。夏の観光シーズンに合わせ、北近畿の両観光拠点を乗り換えなしで結ぶ期間限定の臨時快速列車で、7月と8月の土休日、9月17~19日に1日3往復運行する。
運行初日となる7月2日に城崎温泉駅で出発式を開催し、初便に乗車する機会を得たのでその模様をレポートする。
JR西日本と京都丹後鉄道で北近畿エリアの観光を盛り上げる「くみはまライナー」
城崎温泉は「外湯めぐり」発祥の地とも呼ばれる温泉街であるが、昔から数多くの著名な文人たちが訪れた街で、志賀直哉は滞在中の体験をもとに小説「城の崎にて」を執筆したことでも知られている。温泉だけでなく、由緒ある古い社寺や、文豪や歌人の足跡を散策できるなど、北近畿の観光地としては有名な街である。
また、久美浜は京都府の北西に位置する京丹後市にあり、日本海に面した山陰海岸国立公園一帯は山陰ジオパークに認定され、山陰随一の白砂青松のロングビーチが有名な海岸線が広がっている。夏は海水浴客が多く訪れるだけでなく、冬は松葉蟹や久美浜湾の牡蠣など、新鮮な海の幸を満喫できる食の街でもある。
この北近畿エリアの両人気観光拠点を、乗り換えなしで結ぶのが「くみはまライナー」。久美浜で海水浴を楽しんだあと、城崎温泉でゆっくりと湯に浸かって過ごすなどの観光プランに適した列車であり、特典のある企画乗車券「久美浜観光きっぷ」のJR城崎温泉駅~丹鉄 久美浜駅の往復タイプは大人1100円(小児750円)。
また城崎温泉から久美浜を通り過ぎて天橋立を観光する旅行者向けに、JR城崎温泉駅~丹鉄 天橋立駅間の片道タイプ 大人1500円(小児950円)も用意されている。乗車券の購入はもちろん、久美浜の観光ガイドも掲載されているので、気になった方は丹鉄のWebサイトを参照してほしい。
この「くみはまライナー」の運行初日に行なわれた出発式には約20人の関係者が出席。挨拶に立ったJR西日本 執行役員で福知山支社長である前田洋明氏は「WILLER TRAINSとJR西日本が連携して、兵庫を代表する温泉地である城崎温泉と、丹後を代表する観光地の久美浜を直接結ぶ列車を作らさせていただきました。竹田城跡号のように外装を綺麗に化粧した列車ではないですが、JRとWILLERのスタッフもみんなが、お客さまに楽しんでいただければと思っています。昨今、城崎温泉には海外からのお客さまが増えていますが、そのお客さまにも久美浜の魅力を堪能していただけるきっかけになればと考えています」と、くみはまライナー運行開始の理由について語った。
「くみはまライナー」の運行車両はキハ40/41形を使用
実際に「くみはまライナー2号」で城崎温泉駅~久美浜駅を移動してみたが、乗り換えなしで移動できるのはなにかと荷物の多くなりがちな観光客にはうれしいことだろう。城崎温泉駅を出発したあとの、途中の停車駅は豊岡駅のみ。JR山陰本線で豊岡駅まで来ると、駅のホームでスイッチバックして丹鉄に乗り入れるので、列車の進行方向が逆になる。そこから久美浜駅までは緑豊かなエリアなので、のんびりとした雰囲気で列車移動ができる。
運行車両はキハ40形、または41形が使用され、ヘッドマークが取り付けられている以外は通常利用されているものであり、料金表やワンマン運行時の料金箱も設置されたままである。
久美浜駅での到着イベントには、京丹後 宿 おかみさんの会の皆さんが出迎え
久美浜駅での到着イベントには、ご当地キャラの「まゆまろ」と「コッペちゃん」に加え、「京丹後 宿 おかみさんの会」の皆さんがホームで出迎えてくれた。これは市内の女将さんが集まり、京丹後市を多くの方に知ってもらい、訪れた方々に満足してもらうための活動などに取り組んでいるもので、毎月第1土曜日に丹鉄に乗車し、京丹後市の観光の見どころなどの案内も行なっているとのことだ。
海の幸で有名な観光地なので、参加されていた女将さんにいまのオススメを聞くと「この時期は、あご(トビウオ)。お刺身でも、すり身で作った団子汁にしても美味しいです」と教えてくれた。旬の食材なども「京丹後 宿 おかみさんの会」のWebサイトに掲載されているので久美浜を訪問する際にはぜひ、チェックしておいてほしい。
「くみはまライナー」運行日には、「旬のフルーツプレゼント」や「久美浜ガイドツアー」など、久美浜駅で地元の方による特別イベントの開催を予定しているとのこと。丹鉄では、沿線住民のさらなる利用促進はもちろん、国内だけでなく国外から丹後エリアを訪問する観光客誘致を目指しているので、これからの計画にも期待したい。