【イベントレポート】ツーリズムEXPOジャパン2015

エジプト、2013年の政権交代から続く治安懸念に対し観光地の安全性をアピール

2015年9月24日~27日 開催

 いわゆる「アラブの春」の1つに数えられる2011年の革命以来の混乱や、2013年の国軍による政変(クーデター)など、昨今は政情が不安定なイメージが強いエジプト。ツーリズムEXPOジャパン2015では、インドのムンバイに事務所を構える同国の政府観光局がブースを出展した。

 ブースには、エジプト観光のツアー商品を販売する旅行会社らが集まり、エジプト旅行を訴求。パピルスでできた紙や、エジプトの手工芸品などを販売するコーナーも設けられた。

エジプトらしいオブジェで飾られたブース
ツアー商品の紹介や手工芸品の販売コーナーなどを設置した
ムンバイにオフィスを構えるエジプト観光局 日本担当 イスマイル・ハミド氏

 また、観光局の日本担当であるイスマイル・ハミド氏も来日。同氏は「ムバラク政権時代の代償をいま払っているところで、政治だけでなく、経済的にも社会的にも変革を進めるため時間がかかっているが、国際的な協調性を持って取り組んでいる。」とコメント。

 特に懸念される治安については「主要な観光地であるルクソール、カイロ、アスワン、ハルガダ、シャルム・エル・シェイクといった土地は、日本の外務省も渡航を止めていない。彼らも責任があるから、本当に危ない場所だったら渡航を止めるよう勧告するはずだ」とする。また、「過去4年間で日本人観光客は減ったが、2014年は1万2000人の日本人がエジプトを訪れた。本当に危ないところなら、この1万2000人が無事に日本へ帰れず、もっとニュースになっているはずだ」と安全性をアピール。

 さらに、「2014年には世界から1000万人が訪れ、2015年の1月~7月は前年比54%の増加となっている。最も多いのはロシア人で、彼らはカイロからバスに乗って(シナイ半島南部の)シャルム・エル・シェイクにも行っている」と、ここでも安全性を強調。観光地周辺や観光地へ至るルートでは警察官による厳重な警備が行なわれているという。

 ちなみに、9月29日現在、日本の外務省が発表している海外安全情報では、ハミド氏が挙げた主要観光地の都市はレベル1(十分注意してください)と案内されているが、その周囲はレベル2(不要不急の渡航は止めてください)であったり、シナイ半島のほとんどやリビア国境地帯はレベル3(渡航中止勧告)であったりと、エジプト全土を見れば渡航中止を勧告しているエリアもある。また、3月にはレベル1に設定されている観光地であるアスワンでも爆弾テロ事件が発生しており、渡航を検討する際には安全情報に十分留意する必要があることに変わりはだろう。

 現在、日本からエジプトへの直行便は運航されていないが、「距離が遠く(航続距離が長い)ため大きな飛行機を使う必要があり、週2回の運航すると、毎週800人の乗客を運ばなくてはならないので、現在は直行便が運航されていない。しかし、エジプトにはさまざまな土地を経由して訪れることができ、直行便があったとしても運賃にはそれほど差はないし、遠いエジプトまでの旅の途中で飛行機を降りて休息できるのはメリットでもあるのではないか」とした。

 観光地については、ハルガダのビーチなどを推奨。「日本人は一般的な場所へ訪れることが多いが、エジプト料理や美しいビーチ、スパやセラピー、ゴルフ場、サファリなど、エジプトには歴史だけではなく、もっといろいろなものがあることを知ってほしい」と呼びかけた。

(編集部:多和田新也)