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10月29日の成田~カイロ直行便復活に関連しエジプト政府観光局がセミナー開催
エジプトの治安、最新施設などを紹介
2017年10月2日 14:03
- 2017年9月28日 開催
エジプト政府観光局は9月28日、都内においてエジプトの治安や最新観光施設などを紹介するセミナーを開催した。
10月29日からカイロまでの直行便が復活する予定であり、日本人のエジプトへの観光需要を盛り上げたい意向だ。同セミナーは9月26日に名古屋、9月27日に大阪でも開催されている。
セミナーではまず、エジプト政府観光局 参事官地域ディレクターのイスマイル・アメール氏がマイクを持ち、「観光局としてこのようなセミナーを開催するのは昨年に引き続き2回目になります。
こうした機会を通じて、日本の観光業の皆さんに旅行素材を提供し、私たちの美しい国を見ていただきたいと思います。そして、このようなイベントをもっと開催できるようになればと思っております」と挨拶した。
続いてエジプト大使館 大使館次席 ハテム・エルーナシャール氏が登壇。「日本とエジプトは両方とも古い歴史があり、そのような流れのなかで深いつながりがあると考えています。このようなイベントを開くことで両国間の関係がより一層深まること、そして新しい旅行商品を発見していただくよい機会だと思っております」と語った。
また、10月から東京~カイロの直行便が再開されることに触れ、「この直行便再開で、両国間の観光、さらには投資がより一層積極的になることを期待しております」と話し、「私ども政府といたしましては、世界中からエジプトへ訪れる方への安全の確保ができる限り確約できるよう、最大限の努力をしていきたいと思います」と、引き続き安全面の向上に積極的に取り組んでいる旨を示した。
最後にJATA(日本旅行業協会)海外旅行推進部・国際センターの飯田祐二氏が壇上に上がった。まず始めに、9月21~24日に行なわれた「ツーリズムEXPOジャパン 2017」に言及し、「関係各所にご協力いただきまして成功裏に終わりました。昨年より来場者数も増え、19万人を超えるお客さまに来ていただきました。厚く御礼申し上げます」と感謝を述べた。
続いて「エジプトの回復、これからの期待については皆さまがよくご存知だと思います。これも現地の方々や皆さま観光業者の努力だと思っております。エジプトが過去の繁栄を取り戻すというのではなく、新しいエジプトを皆さんに紹介していただき、より多くのお客さまに楽しんでもらえるよう、引き続き私どもJATAもエジプトを盛り上げていきたいと考えております」と語った。
治安は回復し、観光客数も増加傾向に
セミナーでイスマイル・アメール氏がまず最初に語ったのは、エジプトの治安について。現在、日本の外務省の発表ではエジプトの主要な観光スポットにおけるセキュリティは「レベル1」となっている。具体的には、カイロ、アレキサンドリア、ハルガダ、アスワン、シャルム・エルシェイクなど。
イスマイル・アメール氏の見解では「政府機関は100%戻った」としており、大統領も選出され議会も機能、憲法も制定されているうえに、以前よりも厳しい訓練を受けた警察官が路上に立っているとのことだ。
各国でテロが起きているように、エジプトでもテロがないわけではないが、政府として旅行者の安全を守るために、空港をはじめとした公共施設におけるセキュリティの厳重化、旅行業者に対してのトレーニングなどに積極的に取り組んでいるとしている。
次に日本からエジプトへの渡航者数を示すスライドを掲示。同氏の説明によると、このような安全面に対する施策が評価されている表われとして、2014年から順調に渡航者数は伸びているそうだ。2014年は渡航者数が約1万2000人ともっとも減少した時期であり、そこからは2015年に約1万6000人、2016年には約1万8000人と回復。2017年はさらに増加しており、1月から6月までの半年間で1万7千人を超え、前年比では27%の伸びを示している。
渡航者数は増加傾向にあるが、平均滞在日数は減っており、以前は6.9日だったのが今では6.07日に落ちているとのこと。このようなセミナーを開催することで新しい旅行素材を提案し、滞在日数の改善につなげていければとも語った。
エジプトの観光地と新しい素材の紹介
エジプトの観光地については3つの地域に分けて解説。ナイル川流域、紅海のあるシナイ半島、西に広がる砂漠地帯だ。ナイル川流域はアレキサンドリアから始まり、カイロ、アスワンなどメジャーな観光都市が揃っている。
アレキサンドリアはナイル川の河口に位置する都市で、日本からの援助を受けて建設された図書館があるそうだ。ナイル川上流のナセル湖のほとりにあるアブ・シンベル神殿も人気観光スポットであり、この神殿が発見されてから今年で200年になる。祀られた神像の1つであるラムセス二世は生前から「自分が神である」と信じており、太陽の光によって自分を崇めてほしいと言い残しているそうだ。
実際に神殿にはそのような仕掛けが施されており、太陽光が神殿の奥まで入り込み、ラムセス二世の神像を照らし出すことが年2回ほどある。誕生日(2月22日)と即位日(10月22日)がそれに当たるそうだ。
シナイ半島や紅海に面した都市はエジプト有数のリゾート地であり、ダイビングスポットとしても人気のエリア。シナイ半島にはタバ、ダハブ、シャルム・エルシェイクがあり、ラス・モハメッド国立公園は世界でも屈指のダイビングスポットとなっている。
アフリカ大陸側にはエルゴナやハルガダといったリゾート地がある。既存の旅行商品は歴史資産を観光して終わりというものが多いが、数日連泊することで紅海に面したハルガダなどのリゾート地の旅も提案していきたいとのことだ。
西に広がる砂漠のエリアも見どころは多い。イスマイル・アメール氏によると「皆さん砂漠というと平坦なイメージがあるかと思いますが、実際には風によって作られたユニークな景色を見ることができます。
地域によって白い砂漠、黒い砂漠、クリスタルの砂漠といったようにバリエーションに富んでいます」とのことで、現地ではキャンプをして星空を眺めながら過ごすこともできますと語った。
新しい提案として、日本の旅行商品にあまりないものも紹介された。
エジプト航空の直行便が就航することで、ヨーロッパやほかの地域への乗り継ぎ地点にもなるので、カイロで1泊といったプランもできる。その際、カイロに1泊予定で昼間に到着するのであれば世界遺産のピラミッド観光、夜に到着するならピラミッドのライトショーがお勧めであり、もう1泊可能であれば、ギザではなくサッカラのピラミッド、それからファラオ王朝について展示されている博物館の観光を提案したいと語った。
趣向を変えるなら、旧市街に足を向けて楽しむプランもあるとのこと。レリジョンコンプレックスと呼ばれる複数の宗教の建造物、イスラム教のモスク、キリスト教の教会、ユダヤ教のシナゴーグを見て回ることができ、要塞の遺跡やバザールエリアも観光スポットとして面白いと話した。
また「モダン的なプラン」として、1万点以上のアートを展示した現代博物館の見学もお勧めとのことだ。オペラハウスでコンサートや観劇を楽しむこともできるので、エジプトには考古学的コンテンツ以外の楽しみ方もあるとPRした。
10月29日から成田~カイロの直行便が復活
10月29日からはエジプト航空の成田国際空港~カイロ国際空港の直行便が週1便で就航する。スケジュールは成田を日曜の夜に出発、カイロを土曜の夜に出発する。機材はボーイング 777-300ER型機で、ビジネスクラスが49席、エコノミークラスが297席となっている。「アラブの春」以前は週6便だったことから、順次便数を増やしていきたいとのことだ。