【イベントレポート】パリ航空ショー2015
パリ航空ショーの会場で見かけた気になるもの
(2015/6/24 16:52)
- 2015年6月15日~6月21日(現地時間) 開催
フランス パリ郊外のル・ブルジェ空港で開催された「パリ航空ショー2015」。航空機の実機の展示に目が留まりがちだが、会場に6カ所設けられたホール内では、旅客機の内装やタイヤ、エンジンの部品、そしてソリューションに至るまでさまざまなものが展示されている。
COMACは「ARJ21」「C919」の模型を展示
中国の中国商飛(中国商用飛機、COMAC)が計画を進めている70~90席級のリージョナルジェット「ARJ21」、150~180席級の小型旅客機「C919」は、実機の展示はなく、ブースで模型の展示のみを行なっていた。
ともに運航開始には至っていないが、ARJ21は2014年12月に中国内での型式証明を取得。飛行試験が進められている。会場ではエコノミークラスのみで90席、プレミアムエコノミーを配置して78席というシートレイアウトのほか、ビジネスジェットとしての利用を想定した客室イメージも展示していた。
C919はエアバス A320シリーズやボーイング 737シリーズの市場に近い150~180席級のジェット旅客機で、2015年内の初飛行を目指して開発が進めているという。
エコノミーでも大画面スクリーンを実現できる「AIR CINEMA」
機内インターネットサービスやエンターテインメントサービスなどを提供するAircom Pacificは、パリ航空ショーの期間中に、香港航空が同社の機内インターネットサービスを導入する契約を締結。併せて、「AIR CINEMA」と呼ばれる、新しい機内設備のコンセプトを紹介した。
このAIR CINEMAは、簡単にいえばシートごとに短焦点のプロジェクタを搭載するというもので、利点は液晶ディスプレイよりも軽い重量で大画面を実現できること。特にエコノミークラスで、全席に大画面を搭載できることをモックアップ展示で示した。
プロジェクタと言われると明るいところではコントラストの低下が気になるものの、明るい会場内でも視認できる程度の投影ができていた。今回はあくまでコンセプト展示で、興味を示してくれるパートナーを探している段階とのことだ。
キャビンイメージをタブレットで作り上げて発注を自動化
ダッソー・システムズは、設計ソフトや製品管理などの製造業向けアプリケーションプラットフォーム「3Dエクスペリエンス」で提供される新ソリューションとして「パッセンジャー・エクスペリエンス」を展示した。
これは、3D表示されたイメージを見ながら客室を設計できるもので、パーツの交換などもリアルタイムに反映される。この3D表示は非常に高精細で、拡大するとシートの布の質感まで把握できるほど。シートの種類や表面素材、照明など、あらゆるパーツをカスタマイズ可能。ここで設計した内容で、そのまま発注プロセスへ移行することも可能だという。
航空機の内装品などを販売するSTAGグループのブースでも、同様にiPad上でシートを設計し、そのまま発注できるアプリをデモンストレーションしていた。シートのみの設計で、ダッソー・システムズほどリアルな3D表示ではないが、色や素材、シートの装備などを柔軟にカスタマイズ可能できる。
Parrotは屋外パビリオンでドローンの編隊飛行展示
個人向けの低価格なドローンを発売することで国内でも知られているParrotは、パリ航空ショーに屋外パビリオンを開設。ここでドローン6機を使った編隊飛行を披露し、観客の注目を集めていた。
さらに、未発表の小型ドローン「Minidrone」シリーズを展示。従来の「Rolling Spider」をベースに、LEDによるライトを内蔵した「Airborne Night」(129ドル)、レゴブロックを積載することができる「Airborne Cargo」(99ドル)、さらに船とドローンを組み合わせて水上走行を可能にした「Hydrofoil」(179ドル)を発売する。
いずれもカメラはVGA(640×480ドット)相当と本格的な撮影には向かないが、スマホからの操作にも対応し、おもちゃの1種として楽しめるドローンとして提供するものとなる。