イベントレポート

【ツーリズムEXPO 2018】ジャルパックが熊本県・立野ダムへのインフラツアー発売。企画した跡見女子大生がJALブースでプレゼン

インフラ、ジオサイト、被災地を巡る「地元の方の熱い思いを感じる旅」がコンセプト

2018年9月20日~23日 開催

JALブースでジャルパック、跡見学園女子大学、国土交通省の連携で造成し、9月20日に発売した「南阿蘇観光未来プロジェクトモニターツアー」のプレゼンが行なわれた

 ツーリズムEXPOジャパン2018のJAL(日本航空)ブースでは、ステージでさまざまなイベントが行なわれている。9月21日には、ジャルパックと跡見女子大(跡見学園女子大学)、国土交通省の産官学連携のプロジェクト「南阿蘇観光未来プロジェクト」が造成し、9月20日に販売がスタートした「南阿蘇観光未来プロジェクトモニターツアー」のプレゼンテーションが行なわれ、跡見女子大生がツアーのこだわりなどを紹介した。同様のプレゼンは9月22日の14時からも行なわれる。

 2018年度に本体工事が本格化する熊本県の立野ダムを活用し、南阿蘇村の地域資源を組み合わせたツアーとして、国交省 九州地方整備局 立野ダム工事事務所、ジャルパック、跡見女子大が協力。観光DMO設立も視野に入れて着地型旅行の受け入れ体制整備に取り組む南阿蘇村の地域関係者とも協議を重ねて、今回のモニターツアー販売、実施が実現した。その協議の様子(関連記事「跡見女子大とジャルパックが企画する立野ダムのインフラツアー。熊本県南阿蘇村で国交省や地元関係者らと企画会議)」)や、視察ツアーの様子は(関連記事「跡見女子大とジャルパック、立野ダムインフラツアー造成のため熊本県南阿蘇村を視察」)は本誌でもお伝えしたとおりだ。

 JALブースで行なわれたプレゼンテーションでは、ジャルパックで本プロジェクトを担当する 国内企画商品第2事業部 西日本グループ アシスタントマネージャー 本間准氏が司会を務め、「熊本の震災からの復興を観光の力で支援するもの」とその目的を紹介。

 続いて、跡見学園女子大学 准教授の篠原靖氏があいさつ。2030年に6000万人のインバウンド受け入れという国の政策目標を実現するための課題へのチャレンジの一つであるとし、「各地方の都市も着地型商品や、日本版観光DMOが定番になっているが、産業界はJALをはじめとする航空会社、旅行会社も大きく地域と関わって、新しい産業形態を作るようになっている。これを今回は大学が入って、一緒に今の課題を解決していこうというのが今回の取り組み」とその背景を説明した。

株式会社ジャルパック 国内企画商品第2事業部 西日本グループ アシスタントマネージャー 本間准氏(左)と、跡見学園女子大学 准教授 篠原靖氏(右)
跡見学園女子大学 観光コミュニティ学部 観光デザイン学科 篠原ゼミの「南阿蘇観光応援隊」。左から武田さん、髙濱さん、森さん、西村さん、太田さん
さまざまなアクションを交えて、ツアーのこだわりポイントをプレゼン

 そして、今回発売された「南阿蘇観光未来プロジェクトモニターツアー」の企画に携わった跡見女子大(跡見学園女子大学) 観光コミュニティ学部 観光デザイン学科 篠原ゼミ「南阿蘇観光応援隊」の女子大生5名が登場。

 冒頭ではリーダーの髙濱さんが「皆さんは2年前の熊本地震を覚えていますか? 私は生まれも育ちも熊本県で、地元熊本がたいへん悲惨な状態になっていることに心を痛めていましたが、ここ東京から、ただただ心配することしかできませんでした。しかし4年生になり、私たちにもできることがありました。それが今回の『南阿蘇観光未来プロジェクト』です」とあいさつした。

 完成したツアーは、「地元の方の熱い思いを感じる旅」をコンセプトに、新しい旅の楽しみ方を届けるものであるとし、そのこだわりのポイントを紹介した。

 内容は、建設中の立野ダムの工事現場や第一白河橋梁を見学するインフラツーリズムや、カルデラのなかで人間が生活を営むという世界的にも珍しい場所を「ブラタモリ風」に紹介するジオツーリズムを融合。

 さらに、熊本地震の被害からの復旧に取り組む地獄温泉・清風荘での足湯体験や、南阿蘇鉄道 トロッコ列車での特別なランチ、地元の被災者からの生の声も聞ける被災地見学などを盛り込んだ。震災によって架け替えが決まっている第一白川橋梁については、Eボートに乗って川から渓谷に架かる橋を望めるようにしたという。

 ツアーは東京発11月3日、1泊2日で5万5000円。30日前までに予約を完了すると「早決30」が適用され5000円引きとなる。担当の本間氏は「がんばる観光地を、観光を学ぶ学生と旅行会社が支援し、未来の旅行を作る。モニターツアーに来て、見て、応援して一緒にイノベーションを起こしましょう」と呼びかけた。

ツアーの紹介と行程(ジャルパックのニュースリリースより)

 また、会場には、みなみあそ村観光協会 事務局長の久保尭之氏と、国交省 九州地方整備局 立野ダム工事事務所長の鵜木和博氏も南阿蘇村から駆けつけた。

 久保氏は「“頑張る観光地”と書いてあるとおり、我々も頑張っているが、頑張るだけではなかなか楽しくならないのも地域側の苦労。女子大生ならでは視点で、いろいろな気配りをしながらツアーを造成して、我々としても斬新で面白い企画になっているのではないかと感じている」とコメント。

 鵜木氏は「跡見女子大の学生の皆さんが実際に地元に入って、南阿蘇村の豊かな自然を体感して、地域の方と協力して提供する地産地消のメニューなどもやっていただいた。これまでになかった新しいスタイルの観光商品」としたほか、ジャルパックの参画によって航空機での送客が実現したことについて「事業者からすると、東京発のインフラツアー商品という夢のようなプラン」とコメントした。

 また、「南阿蘇の自然を体感しながらメニューの掘り起こしをしていただいた。地域の方たちと膝をつき合わせて話をしていくなかで、地元の方も『東京の女子大生がこんなに頑張っている』と共感して、地産地消のメニュー開発などに協力していただいた」と、立野ダムを活用したインフラツアーの実現に感謝の言葉を述べた。

 鵜木氏は防災服に身を包んでのあいさつだったが、最後に上着を脱ぐと、立野ダム展望所に設置している「マイダムカードフォトフレーム」が背中にプリントされたポロシャツが登場(手作りしたそうだ)。「マイダムカードフォトフレームはダムの展望所に設置している。フォトフレームがお待ちしているので、ぜひご参加を」と来場者に呼びかけた。

一般社団法人みなみあそ村観光協会 事務局長 久保尭之氏
国土交通省 九州地方整備局 立野ダム工事事務所 所長 鵜木和博氏
防災服の下から「立野ダムマイフォトカードフレーム」をプリントしたシャツが登場