イベントレポート

【ファンボロー航空ショー 2018】MRJ飛行展示成功で三菱とANAが会見。納入に向け「カウントダウンの始まり」と三菱重工 宮永社長

2018年7月16日~22日(現地時間)開催

MRJの飛行展示後に三菱航空機が会見を開いた

 イギリス・ファンボロー空港で7月16日から22日(現地時間)、世界最大規模の航空ショー「ファンボロー国際航空ショー(Farnborough International Airshow)2018」が開催されている。会期前半の16日から20日は航空業界向けのトレードショー、後半21日と22日は一般向け公開日となっている。会場では、民間向け/軍用の航空機の静的展示や飛行展示、カンファレンス、航空機購入についてのアナウンスなどが行なわれる。

 会期初日の16日には、三菱航空機が開発を進める国産リージョナルジェット「MRJ」が、航空ショーで初めて飛行展示を成功させた(関連記事「【ファンボロー航空ショー 2018】三菱航空機、ANA塗装のMRJを航空ショーで初の飛行展示」)。直後に行なった記者会見では、三菱重工業 社長兼CEOの宮永俊一氏、三菱航空機 代表取締役社長の水谷久和氏、そしてローンチカスタマーのANA(全日本空輸)から取締役 常務執行役員の伊東裕氏が臨席、宮永氏は「MRJの開発プログラムにとって重要な瞬間」と述べ、2020年半ばのANAへの納入に変わりはないとして、「今回の飛行展示でMRJの進捗を象徴的に示すことができた。今回はデリバリーではないが、製造に向けて新しい時代に入る。カウントダウンの始まり」と静かに喜びを語った。

 水谷氏は「飛行展示の成功でMRJ 90型機の素質を見せることができた」、伊東氏も「ANAロゴが描かれた機体のデモンストレーションの成功を見ることができて非常に興奮した。MRJは非常に洗練された航空機だ。ANAはこれからもローンチカスタマーとしてMRJの開発を支援していく」とそれぞれ述べて、飛行展示の成功に対して喜びを表現した。

 会見後の質疑応答で、ボーイングとエンブラエル、エアバスとボンバルディアなど、小型機の再編が続く現状について問われた宮永氏は、「空力性能から制御性能まで、ここ数十年でまったく新しく設計された機体であり、非常に競争力は高い。ボーイングとエンブラエルの合弁会社は成立までにもう少し時間がかかるうえ、エンブラエルとボンバルディアの機体は我々が考えている市場よりもっと旅客(座席)数が多い。MRJは特に70席前後で強いシェアを得ていきたいと考えている。まずよい製品と、お客さまの評価を得ることに全力を尽くしたい」と回答。

 MRJ初号機のデリバリーが2020年半ばになっている現状についてANAの伊東氏は、「MRJの納期の遅れは誠に残念。しかし、小型機の退役延長やリースによって事業計画には支障ない。2020年半ばに初号機導入できたあとは、地方都市を結ぶ主力として大いに活用したい」と改めてMRJへの期待を語った。

会見に応じる3者。左から、全日本空輸株式会社 取締役 常務執行役 伊東裕氏、三菱重工業株式会社 社長兼CEO 宮永俊一氏、三菱航空機株式会社 代表取締役社長 水谷久和氏