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北海道から本州への玄関口、北海道新幹線 奥津軽いまべつ駅の開業式典

2016年3月26日 開業

夜明けを迎え、開業式典および出発式に向けて関係者が集い始めた奥津軽いまべつ駅

 JR北海道(北海道旅客鉄道)は3月26日、北海道新幹線 新青森駅~新函館北斗駅間(148.8km)を開業した。この区間に奥津軽いまべつ駅(青森県東津軽郡今別町)と木古内駅(北海道上磯郡木古内町)の2駅が新たに開業を迎え、両駅で開業式典が開催された。奥津軽いまべつ駅の開業式典は、開業日となった3月26日午前6時より、奥津軽いまべつ駅改札内の橋上スペースで、盛大にテープカットとくす玉割りが執り行なわれた。

 開業式典は、JR北海道 取締役開発事業本部長 平川俊彦氏による主催者挨拶に始まり、これに続いて来賓挨拶として、国土交通大臣政務官 津島淳氏、青森県 副知事 佐々木郁夫氏、今別町 町長 阿部義治氏、鉄道建設・運輸施設整備支援機構 理事 服部修一氏が順に祝辞を述べた。

駅舎は5時30分に扉が開けられ、開業式典は6時から挙行
国土交通大臣政務官 津島淳氏 祝辞要旨
国土交通大臣政務官 津島淳氏

「国土交通省を代表してお祝いを申し上げます。このたび北海道新幹線が開業できましたことは、ご列席の皆さまをはじめ、北海道新幹線の整備促進に関わってこられた関係各位の絶大なるご尽力の賜物です。1961年に青函トンネルの建設が開始されてから50年以上が経過し、1973年の北海道新幹線整備計画が決定されて以来40年以上にわたり紆余曲折を経てきましたが、本日長年の悲願が達成されることになりました。ここに至るまでの地元の皆さまの熱意と真剣な取り組みに対し深く敬意を表するとともに、心よりお祝いを申し上げます。

 東京~津軽今別(旧名称)間は、従来4時間25分も要していましたが、今後は3時間26分で結ばれることになります。これにより津軽半島を含む青函エリアと関東地方は大きく近づくこととなり、沿線地域での企業活動や企業立地の活発化、生活圏の拡大など地域の振興や経済の活性化に大きな効果がもたらされることが期待されます。

 特にこの奥津軽いまべつ駅を含む、青森県内には白神山地、竜飛岬といった名所やねぶた祭といった多彩な観光資源があります。今回の開業を機に、訪日外国人旅行者を含めたより多くの観光客がこの地域を訪れ、さらにはこの奥津軽いまべつ駅を拠点として、開業効果が広く青森県全域に波及することを期待します。結びに、北海道新幹線が安全に運行され、利便性の高い路線となるとともに、長く利用者や沿線の皆さまに愛される存在となることを記念申し上げます。本日は誠におめでとうございます」。

青森県 副知事 佐々木郁夫氏 祝辞要旨
青森県 副知事 佐々木郁夫氏

「青森県 三村申吾知事に代わりまして、お祝いのご挨拶をさせていただきます。いよいよ北海道新幹線の開業です。本日ご列席の来賓の皆さまをはじめ関係者の皆さまに対しまして、県民を代表しまして心から深く感謝の意を表します。

 北海道新幹線、そしてこの奥津軽いまべつ駅の今回の開業により、はるか縄文のいにしえより大変歴史的にも文化的にもゆかりの深い青森県と道南地区の時間・距離が大幅に縮小されます。これによって観光やビジネスといった面のみならず、医療、教育、文化などさまざまな分野において新たな可能性が生まれてきます。さらに北海道新幹線に加え青森県が有する陸、海、空の交通ネットワークを効果的かつ機能的に活用することで交流人口のさらなる拡大、そしてまた本県に訪れる皆さまの滞在時間、あるいは量的拡大など大きな効果が期待されます。

 北海道新幹線の開業は本県のさらなる飛躍にむけた大きな坂道となるものであり、本日はまさに新たなスタートとして津軽海峡を挟んで隣になる道南地域を一つの圏域とする「津軽海峡交流圏」の形成につなげる力強い一歩を踏み出していきたいと思います。北海道新幹線には青森県民、そして北海道民の夢と希望をのせ未来に向け力強く疾走することを祈念し、そして今別地区の皆さまに心からお祝いを申し上げ、ご挨拶とさせていただきます」。

今別町 町長 阿部義治氏 祝辞要旨
今別町 町長 阿部義治氏

「今別町民を代表しご挨拶させていただきます。本日めでたく、北海道新幹線、新青森~新函館北斗間が開業することになりました。関係者の皆さまにはこれまでのご努力に対し、深く感謝を申し上げます。本日の開業により北は北海道から南は九州・鹿児島まで新幹線で結ばれることになりました。これまで以上に全国各地区間の交流がますます活発になることを大いに期待しているところです。

 ここ奥津軽いまべつ駅は東京駅から最速3時間26分、新函館北斗駅に関しては約4時間で結ばれます。奥津軽いまべつ駅は本州最北端の駅であるとともに、北海道側からの本州の玄関口にもなります。津軽半島は海の幸や山の幸、そして景勝地、祭りなど他の地域に勝るとも劣らない魅力がたくさんあります。これまで開業に向けて一人でも多くの方々に、奥津軽いまべつ駅をご利用いただけるよう、今別町はもちろん、県をはじめ周辺市町村と連携を図りながら地域の磨き上げや二次交通の整備など、受け入れ態勢の整備に取り組んできたところです。

 私たちは開業を一過性のものとせず、関係者の皆さまと知恵を出し合い不断の努力を続けていくことが何よりも重要だと考えています。そうした取り組みを通して、新たな人の流れを創することで北海道新幹線が地域活性化の大きな契機になることを期待しています。平成42年度(2030年度)に予定されている北海道新幹線札幌開業に向けまして、その利用促進と、関係される皆さま方のますますのご発展を祈念し、祝辞とさせていただきます」。

鉄道建設・運輸施設整備支援機構 理事 服部修一氏 祝辞要旨
鉄道建設・運輸施設整備支援機構 理事 服部修一氏

「鉄道建設・運輸施設整備支援機構が北海道新幹線の建設を担当しました。本日開業を迎えました新青森~新函館北斗間、約149kmは約54kmの青函トンネルを含み、新幹線と在来線が共用走行する区間約82kmが含まれています。着工以来、当機構が培ってきた各種技術の総力を挙げて建設に取り組み竣工させることができました。これもご列席の皆さま方をはじめ国、沿線地方自治体、貴重な用地をお譲りいただいた約1000名にも及ぶ地権者の方々をはじめとする地域の皆さま方、そしてJR北海道の多大なるご支援とご協力の賜物であり、改めて深く感謝申し上げます。私どもが精魂を込めて建設した北海道新幹線が利用者と沿線の方々に末長く愛され、北海道および東北地方の一層の発展に寄与することを念願いたしますとともに、ご列席の皆さま方のますますのご健勝を祈念します」。

そのほかの来賓者とともにテープカットとくす玉割りが行なわれた
一番列車の到着を心待ちにする地域の人々

 開業式典後は来賓や関係者、マスコミ、さらに多数の地域の人々が新幹線ホームに入場し、一番列車となる新青森発新函館北斗行き「はやて91号」の入線を盛大に迎えた。地域の人々はJR北海道の用意した小旗を振り、入線して一番列車とその乗客を心から歓迎していた。

「はやて91号」は奥津軽いまべつ駅長 石沢透氏の出発合図とともに定刻の6時48分に同駅をゆっくりと走り出し、次の停車駅である木古内駅に向かった。同日は、地域の関係者や自治体関係者、地域の大学生などが奥津軽いまべつ駅に集い、観光客を歓迎する模擬店やイベントなどを用意。夕方まで賑わった。

入線してきた一番列車「はやて91号」

(木暮祐一)