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太秦映画村が大人の没入体験パークにリニューアル! 「江戸時代の京」の楽しみ方をまとめてみた

2026年3月28日 リニューアル

 東映太秦映画村は、今年で50周年を迎えた「太秦映画村」(京都府京都市右京区太秦東蜂岡町10)において施設全体のリニューアルを進めていたが、このたび第1期の準備が完了し2026年3月28日にリニューアルオープンを迎えた。

 江戸時代の京の街並みが再現され、その町全体を舞台にストーリーが進行する、映画村史上最大のショー「360°リアルタイムドラマ」をはじめ、役者と来場者が一緒に楽しめる「侍修練場」などの演目のほか、新たに江戸時代の夜を楽しめるR-18の大人向けコンテンツも誕生。「江戸時代の京へ、迷い込む」のコンセプトで用意されたラインアップの一部を体験したので、その魅力をお伝えする。

太秦映画村 料金(※2027年春の第2期オープンまで)

1DAY(10時~21時): 大人2800円、子供(3歳~小学生)1600円
ナイトタイム(17時~21時): 大人2000円、子供(3歳~小学生)1300円

江戸時代の情緒にこだわった街並みを散策してみた

 リニューアルオープンしたエリアは、全体が「江戸時代の京の街」としてまとめられている。通りを中心にその左右に町家が並び、飲食や物販の店舗はもちろん、文化体験もそれら建物のなかで行なわれる。

 街には現在の射的場にあたる矢場や武家屋敷、稲荷神社といった情緒のある建物などもあり、着物姿の町人や町娘、瓦版売りも見かける。貸衣装や本格時代劇扮装の店もあるので、着替えてこの大きな舞台のなかに没入するのも楽しそうだ。

太秦映画村のメイン通り「烏通り」。江戸時代の街並みが再現され、両脇には飲食店9店舗と物販2店舗が並ぶ
烏通りと交差する「お池通り」。華道体験の「御池町家」のほか、トイレも一見してそれと分からないように配置されている
景観を最優先にし、飲食店も店頭に看板や食品サンプルを置かず暖簾でのみ識別できる。写真は鰻と牛肉の料理、スイーツを提供する「う乃屋」
烏通り(写真)とうずわく通りに10店舗の飲食店がある。多くの店舗が夜間も営業しているので、ランチや休憩はもちろん夕食にもオススメ
映画村内で見かけた案内図
瓦版売りが踏み台に乗って映画村内のイベントに連動したニュースを伝える。トップニュースは「西町奉行滝川家姫君お輿入れ」。実はこれは、360°リアルタイムドラマ「花嫁道中 桜の宴」(後述)の最初の1シーン。ドラマは観客のいる街のなかで進行していく
お池通りの突き当たり、夢幻池にかかる橋から。フォトスポットにもなりそうだ
沿道に銭湯を発見、江戸情緒の際限に一役買っていた。営業していたら、古い銭湯が大好物な筆者は絶対に立ち寄ってしまうだろう
町娘とすれ違った。このような町人や町娘もときおり待ちを歩いているという
散策中にふと目に留まったお稲荷さん
夢幻池のほとりに矢場があった。こちらも随時体験可能で、矢が的に当たると矢場女が「あたぁ~りぃ~」と声を張り上げてくれる
お武家通りで見かけた手水鉢のようなもの。鮮やかな赤がとても美しい
烏通りの夕景。照明も明るくなく、喧騒の一日が終わって静かな夜が迫りつつある雰囲気が漂う
街の夕景と町娘。映画村は貸衣裳を着てのコスプレ撮影にも最高のロケーション(写真提供:太秦映画村)
夜の街並み
夜の矢場。蛇足だが、「ヤバい」の語源であるという説がある

観客は事件の目撃者!? 街のなかで「360°リアルタイムドラマ」が進行

 今回のリニューアルによって新しくさまざまな演目がはじまるが、そのなかでもユニークな試みの1つが、映画村全体を舞台にリアルタイムで役者がドラマを演じる「360°リアルタイムドラマ」。観客の眼の前でストーリーが進行し、観客は役者を追いかけるように次のシーンを見られるというもの。映画村史上最大のスケールと銘打つもので、春の演目として「花嫁道中 桜の宴」が演じられる。

360°リアルタイムドラマ「花嫁道中 桜の宴」の1シーン

 参考までに、このストーリーの序盤のシナリオを説明しよう。

 元治元年、春。京都市西町奉行、滝川具挙の娘の嫁入りというハレの日。その花嫁道中は瓦版でも予告され、街をあげて祝おうという雰囲気のなか、長州の不逞浪士が花嫁を襲うという噂が広まる。京の治安を預かる新選組の土方歳三、沖田総司の両名は、その噂を追う。その正体は、虚無僧姿の浪人、与七。一味は市中に潜伏し、変装して追跡を撹乱、花嫁道中を狙っていた……。

 映画村の観客は、京都の町人や見物客としてドラマを見学し、場合によっては新選組に情報を提供する協力者となってドラマに参加する。ドラマは「瓦版売り」から町中のどこかで発生する計7つのシーンを経て、やがてクライマックスへ。時代劇のなかに入り込んだような非日常のミステリー体験が楽しめる。

リアルタイムドラマは大手門広場からスタート。まずは「花嫁支度」。白無垢の意味、懐剣など花嫁が身につける小物の意味を解説し、花嫁の身につけていく
町内を一周する花嫁道中。瓦版売りがネタにしていたイベントである
「元治元年の春。京都西町奉行、滝川具挙の娘が輿入れするハレの日」のドラマが大きく動き出す
花嫁道中は街をあげてのお祝い。観客は、京都の町人や道中の見物人はもちろん、花嫁道中の参列者として列に加わって歩いてもOK
花嫁道中は、事件の目撃者となる大勢の観客を引き連れて大手門広場へ
ステージ上で待つ新郎のもとへ、花嫁が到着。と、そこへ……
不逞浪士、与七の一味が現われ花嫁に襲いかかろうとする
間一髪、観客から情報を得て与七を追っていた新選組の土方歳三と沖田総司が登場
ステージ上で与七一味と新撰組が激突。太秦映画村といえば誰もが見たいと思う殺陣がはじまった
この場面は全7シーンの最後のショーで、ほかのシーンにも殺陣はある。例えばシーン3「土方とお藤と忍者」やシーン6「土方と沖田と不逞浪士」だ。これらは町内のどこかで行なわれる
最後はオールキャストでごあいさつ。物語の展開と結末は見てのお楽しみ

夜はR-18。「武家屋敷」で役者とともに4種類の演目を体験!

武家屋敷 壱之間 の夜の演目「大人しか入れない拷問屋敷」。その名のとおり18禁である

 時代劇の東映らしく、江戸時代の武士などに扮した役者と観客が触れ合って楽しめる演目を用意している。それが武家屋敷の敷地内にある壱之間、弐之間の2か所だ。昼には武士に弟子入して剣術指南を受ける「侍修練場」と、和風ルーレットを使った「京花占い」をそれぞれ行なう。また夜間はそれぞれ別の演目を行なうが、これはどちらもR-18指定。壱之間は「大人しか入れない拷問屋敷」、弐之間は「半丁博打」で、なるほど確かにお子様には刺激が強そうだ。

 観客は4つの演目すべてに参加可能。役者のアドリブはさすがで、侍修練場では「気分はどうじゃ?」「ハッピーです」「……はっぴぃとは、なんじゃ?」など外来語が通じなかったり、写真を撮ろうとすると「魂が抜かれる」と嫌がられたりするし、半丁博打でもいい感じに参加者をいじってくれる。時間が許せばぜひすべての演目を体験してみよう。

壱の間 昼の演目「侍修練場」。師範に弟子入し剣術を磨くというもの
師範とその一番弟子が指南してくれる
役者との会話が楽しめるのも映画村の演目の魅力だ
弐之間 昼の演目「京花占い」のセット
和風ルーレットを使った金運占い。複数人で同時に楽しめる
座敷に花札が広げられている。こちらはフォトスポットとして解放しているもの
花札を使った恋愛占い。「よけいな一言」は身に覚えがあり過ぎる……
京のいけず占い。こちらは見慣れたおみくじだ
ちゃんと結び所もあった。おみくじは持ち帰ってもよし、もちろん後日御礼参りに来て結んでもよしだ
壱之間 夜の演目「大人しか入れない拷問屋敷」。竹を割った箒尻(ほうきじり)と呼ばれる道具で責問をする様子
こちらは石抱。実際の石は約45kgあったそうで、これを4枚程度まで重ねたとか。
三角形の木材での正座は「本当に痛いですよ」とのこと。記念写真にも応じてくれるそうだ
役者とのふれあいも楽しさの1つ。あんたも体験してみては?(写真提供:太秦映画村)
弐之間 夜の演目「半丁博打」。壺振りと合力に向かい合わせに座りゲームに参加する
ルールはシンプル。2つのサイコロの出目の合計が半(奇数)か丁(偶数)かを賭ける
客が「半!」「丁!」と声に出して勢いよく賭札を置く。一瞬ですべての賭札をスッてしまう人も!?

和文化体験の催しやアトラクション体験施設はほかにも

 報道公開では時間の制約もあり、すべてのイベントや新規にできたアトラクションを回ることはできなかった。そこで配布資料をもとに、オススメのものを紹介したい。

1. 扮装屋

 時代劇の扮装や和装のレンタル店。戸時代の装束に身を包んで江戸時代の街並みを歩いてみたいという人にはぴったり。映画村内のさまざまな場所でコスプレ撮影も楽しめそうだ(本格時代劇扮装5800円~、着物レンタル2500円)。

「扮装屋」では時代劇の扮装や和装体験ができる(写真提供:太秦映画村)

2. NINJA BATTLE -太秦大決戦-

 見習い忍者となって、異世界「SHINOBI」から来た精鋭忍者NINNINとともに敵と対峙。心・技・体3つの「珠」を手にしてミッションをクリアし、忍者村の平和を取り戻せ!

アトラクション広場の「NINJA BATTLE -太秦大決戦-」(800円)(写真提供:太秦映画村)

3. うわづく町家

 浮世絵のなかに入り込む没入体験「浮世絵世界」と、役者と遊びながら京文化や時代劇の所作、言葉づかいが学べる「浮世の京あそび」。2つの体験を通して江戸時代の京に触れることができる。

浮世絵の世界に入り込む「浮世絵世界」(写真提供:太秦映画村)

4. 文化体験

 日本の伝統文化である、「華道」「茶道」「能」「狂言」「お囃子」「京舞」「三味線」がそれぞれ体験できる(各2700円)。今後は「琴」「香道」「書道」などの体験も予定しているとのこと。

文化体験の1つ「華道」では、先生の説明を聞きながら花材をつかって実際に生けることができる(2700円、約35分)
太秦撮影所創設記念「太秦時代劇100年」~撮影バックストーリー~(写真提供:太秦映画村)

地元の名店など飲食店が10店舗オープン!

 京の食をテーマに、老舗から新進気鋭の有名店まで和の味覚が一堂に会した。今回のリニューアルによって映画村は夜も楽しめる施設に生まれ変わったが、観客の長時間滞在を支えるのもこうした飲食店だ。個性豊かな味わいを、店内はもちろんテイクアウトでも楽しみたい。

新店舗で提供される料理の例。テイクアウトして江戸の街並みで食べ歩きができるものも(写真提供:太秦映画村)
「味隠」は、鼻を抜ける爽やかな辛さが特徴のスパイスカレーと地元京都のクラフトビールを提供する。写真は「あいがけスパイスカレー」と「映画村限定ビール-助太刀-」
「澤井醤油 with Key Stone」の店内と、みたらし団子。京都の老舗醤油屋による、醤油を活かした和のフードやスイーツが楽しめる
「味味香」は京都木屋町で長く愛されるカレーうどん店。出汁にこだわったカレーうどんなどがいただける
「鳥せゑ」は京都初の焼き鳥専門店として1966年に創業。「映画村焼き鳥重」などを提供
「朱色まぐろ」は焼津港直送のまぐろ創作料理を提供。味はもちろん、見た目にもこだわった逸品だ。写真は「南マグロ漬け丼セット」「マグロのパフェセット」
村内を食べ歩きできる「まぐろ竜田揚げ/まぐろ風味ポテトフライ」(写真左)もオススメ
「zarame -gourmet cotton candy-」では、左写真の「綿だんご」をはじめ、独自配合のザラメをつかった京綿菓子がいただける

・京都仁王門でござる
 京都仁王門鎌倉別庭で人気の湯葉どんぶりをはじめ、茶そばや焙煎きな粉と宇治抹茶のわらび餅といった甘味も味わえる。

・SASAYAIORI+太秦映画村
 1716年創業の京菓子司「笹屋伊織」が、創業当時の街並みを思わせる映画村に和カフェをオープン。時代を超えて受け継がれる甘味ともてなしが楽しめる。

・う乃屋
 香ばしく焼き上げた鰻、旨味あふれる牛肉をいちどに楽しめてスタミナ満点の「贅沢御膳」や彩り豊かな「三色団子」を提供する。

・うず茶や
 門前の水茶屋の遊び心を加えた、映画村オリジナル茶屋。これからの季節にぴったりのスイーツも用意。

和の新提案のグッズや、映画村オリジナルのアイテムが揃うショップは3店舗

「東堂 AZUMA-DO」は美濃焼に現代の息吹を吹き込んだ和食器とキッチンアイテムを豊富に揃える
インバウンドや若者向けに、美しい和を感じさせる品やアクセサリー類も充実
「SOU・SOU 宣屋」では、伝統的な素材や技法と現代に寄り添うデザインが融合したアイテムを展開する。和装レンタル(2500円)もできる
退場口の手前にある「お土産処」は、太秦映画村が直営するコンセプトショップ
京都の逸品、映画村オリジナルのアイテムを展開する

鎌田裕也社長「これからは昼と夜の二毛作で運営」

 取材時、東映太秦映画村 代表取締役社長の鎌田裕也氏の囲み取材が行なわれた。その内容を抜粋、要約してお伝えする。

 映画村は昨年50周年を迎え、建物が老朽化していました。もっとお客さまにとって居心地のいい施設にしようという計画は10年以上前からあり、これに基づいてリニューアルを進めてきました。映画村全体を休止してリニューアルすることも考えられましたが、1期と2期に分けて半分ずつ工事を行なうことで映画村自体の営業を継続し、お客さまにはこれまでの映画村を楽しんでいただきながらリニューアルを行ないました。

 ここ京都撮影所には美術部があります。もちろん映画の美術ではあるのですが、今回は歴史的な検証も行なって建物を建てるなど、美術部の得意技がすべて発揮できたと思います。我ながら、よくできているなと(笑)。「江戸時代の京へ、迷い込む」というコンセプトどおりに、京都撮影所の力が発揮できたと思います。

 また、今回jのリニューアルにあたっては、ナイトタイムも楽しめることを盛り込みました。これは(京都のオーバーツーリズムを分散させる目的で)行政からも要請がありましたし、昨今は夏の期間が長く日中で歩くことが厳しくなり、夕方から行動するという人も増えてきたこと、また夜の映画村を見ていただくという企画を行なったところ好評だったこともあります。これまでの映画村は年中無休でしたが、これからは週1日の休み(2026年5月12日以降、毎週火曜)をいただきつつ、昼と夜の二毛作で運営してまいります。

 リニューアル後のターゲット層としては、これまではファミリーでしたが、今後はファッションに敏感な20代30代の女性に来ていただいて、ここで日本文化にもっと触れていただきたいですし、またインバウンドにももっと来ていただきたいと思います。インバウンド向けには、ポケトークといったツールの貸し出しのほか、語学ができるスタッフの募集も継続して進めています。現在インバウンドは全体の20%程度ですが、これを将来的に30%程度まで伸ばしたいと考えております。

 第1期のリニューアルが完了し、これから第2期の工事がはじまります。エリアが半分になっていることなどから現在のキャパシティとしてはそれほど大きくないですが、近い将来には年間100万人の方に来ていただけるよう取り組んでまいります。

株式会社東映太秦映画村 代表取締役社長 鎌田裕也氏