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普段使いできる車中泊用クルマを探してみた。ヴェルファイア/アルファードなど高級ミニバン向けの後付けキットに注目

ジャパンキャンピングカーショー2026レポ

2026年1月30日~2月2日 開催
幕張メッセで開催されたジャパンキャンピングカーショー2026で乗用車ベースの車中泊向きクルマを探してみた

 1月30日~2月1日の4日間、千葉県にある幕張メッセで「ジャパンキャンピングカーショー2026」が開催された。本イベントはアジア最大級のキャンピングカー展示会で、今年は出展社数が185社、出展車両が452台となっていた。

 展示車両の傾向を見ていると、キャンピングカー市場における時代ごとのニーズが見えてくるもので、近年はソロ、もしくは夫婦など2人旅に向けた軽自動車ベースの軽キャンパーが人気の傾向にある。また、ペットと一緒に旅行をするための手段としてキャンピングカーを選ぶ人もいるので、ペットが快適に過ごせる装備を持った車両も人気がある。

 キャンピングカーが展示されていることからモーターショー的なイメージもあるが、展示車両はそのまま販売車両であることも多いため、商談の場としてもにぎわうのがこのイベントの特徴だ。特に開催初日は来場者数が少なめの平日に設定されているので、本気で購入を検討している方は初日の午前中から来場し、興味のある車両についてしっかりとリサーチしている。

 車両展示や商談のほかにも、旅するクルマとしてキャンピングカーの受け入れを歓迎する観光地や施設の紹介なども行なっているし、キャンピングカー用の用品を販売するコーナーも設けられているなど、キャンピングカー周辺の世界観がすべて揃えられているイベントでもある。

さまざまなタイプのキャンピングカーを見ることができるアジア最大級のキャンピングカーイベント
旅をするための道具であるキャンピングカーだけでなく、旅先であるRVパークや観光地も紹介している
キャンピングカーは自宅の快適さをそのまま外に持ち出すための存在なので、トラックの荷台に「部屋」を乗せたキャブコンバージョンというジャンルもある。最近はこちらの人気が高まっているそうだ

 そんななか、今回注目したのは乗用車ベースのキャンピングカーだ。筆者はトラベル Watchで車中泊用の施設であるRVパークを紹介する連載を担当している。その立場から言うとこれまで行ったRVパークは、オーナーのこだわりや地域の魅力などから、どこもお勧めできるものである。

 しかしトラベル Watchはキャンピングカー専門媒体ではないので、RVパークを利用したくてもその手段がない(キャンピングカーがない)方がかなりいると思う。

 そこで今回は、普段は通勤や買い物など問題なく使えて、それでいて旅へ出るときに快適に寝泊まりできる機能を持つ車両がないかを探してみた。

今回は乗用車ベースのキャンピングカーを中心に紹介していく

アルファード/ヴェルファイアのキャンピングカー

 茨城県のキャンピングカーメーカー「グランドモーター」が出展していたのは、乗用車ミニバンをキャンピングカー仕様にするための「ベッドボード、シンク、テーブル、電源」などを車種専用品としてパックにしたパーツキット。

 キャンピングカーはベッドなどの装備を装着した状態で販売されることが多いが、これは車両の新規購入、もしくは乗り換えが前提となる。それに対してパーツキットなら、すでにクルマを所有している場合でも(そのキットの設定車両なら)対応できる。

 同社の取り組みとしておもしろいのは、「現行車ではなくて1つ前のモデルのパーツキット」を用意しているところだ。具体的には、トヨタの人気ミニバンであるアルファードとヴェルファイア、そして三菱自動車のデリカD:5用のパーツキットである。

 展示車はトヨタのヴェルファイア(2代目)。1つ前のモデルなので中古車市場では買いやすい価格帯だが、高級ミニバンだけに装備は充実しており、車格や静粛性、走りの安定性なども考慮したキャンピングカー選びをする場合は、いい選択肢である。

 デリカD:5は2007年から続くロングセラーモデルなので中古車の台数が豊富だ。もともとタフな設計でありアウトドアのイメージも強いので、釣りや登山などのレジャーを楽しむための拠点的な使い方をされることも多い。快適に過ごせるキャンピングカー装備を追加するのは、クルマの特徴を伸ばすことになり、デリカとパーツキットの相性は特によいかもしれない。

1つ前の型のトヨタヴェルファイアをキャンピングカーに仕立てるキット「JEWEL」。高級ミニバンをベースにしたキャンピングカーはめずらしい。
静粛性や装備の充実度なども、このモデルの魅力。現地での居心地だけでなく、行き帰りの道中の快適性も追求したい場合はよい選択だ
パーツキットを装飾したインテリア。ベッドサイズは縦が234cmで横幅が143.5cm
センターのベッドマットを外すことでリビングモードにもなる。サブバッテリーを積み、350Wインバーターを装備する。100Vコンセントもある
趣味のためのトランスポーターとして活躍しそうな初期フェイスのデリカD:5
キャンピングカー専用パーツであるREVOシートを装備。乗車定員は2名になるが、ベッドとして展開したときの広さは長さが222cm、幅が最大で124cm。また、ベッドを起こすことによりリビングシート的にも使える

手ごろなサイズで使いやすいフリードのキャンピングカー

 普段は乗用車として、旅や趣味を楽しみに行くときには車内で就寝できる車中泊車にもなるベース車として人気が高いのが、ホンダのコンパクトミニバン「フリード」だ。ジャパンキャンピングカーショー2026の会場でも何台かのフリードが展示されていたが、ここではそのうちの2台を紹介しよう。

 まずは、茨城県水戸市のキャンピングカーメーカー「ルートシックス」が展示していた「リエラ」というフリード クロスターをベースにモデル。ベッドマット、LED照明、テーブル、12Vルーフクーラー、AC/DCコンバーター、外部電源取り込み、天井断熱などを標準装備している。

 フリードはフロア高を低く設定しているクルマなので乗り降りがしやすく、床が低い分、天井までのスペースが広いという特徴がある。そのためリビングのベンチ部分に座ったときの足の置き場に自由度があるし、ベンチに座った状態でも頭の上に十分なスペースができるので、窮屈さを感じにくい。

 肝心の就寝スペースも十分なもので、ベッドの長さは190cmを確保している。ただ、コンパクトミニバンなので横幅はそれほど広くなく、大人2名で並んで寝ると窮屈に感じそうだ。

 しかし小さな子供と使う、もしくはソロでの利用であればその心配もない。ソロで使う場合はテーブルを展開したままでも就寝スペースが取れるので、テーブルで動画を見たり食事をしたあとに、片付けることなくそのまま寝る体制に入ることができる。ちょっとしたことかもしれないが、車中泊経験者から言うと、この使い方は言葉で説明する以上に「いい」と感じられるものだ。

ルートシックスのリエラ。ベースはホンダのフリード クロスター。夏場の車中泊では心強い天井断熱とルーフクーラーを装備している
ベッドモードで展開した状態。フロアが低いのでベッド下の収納が広く取れる
テーブルを出した状態。ソロでの利用ならこの展開のままでも就寝できる

 次にホワイトハウスが展示していた「Style_iD」シリーズから「Nature Lover」を紹介する。ベース車はホンダのフリード クロスターで、エアヒーター、サブバッテリー、走行充電システム、DC車内ソケット、車内LED照明などが標準装備となる。これにオプションとしてベッドキットなど、居住空間を作るための各種装備を設定している。

 こちらの車両はノーマルシートを残すので、乗車定員が変わらないところが特徴だ。つまりベッドキットを取り外しておけば、普通のフリード クロスターとして使用できる。日常使いが8~9割で、クルマ旅や趣味のサポートカーとしての役割が残りの割合であれば、こんな使い方ができるモデルの方が相性はよいかもしれない。ちなみに就寝定員は2名となっている。

「Style_iD」シリーズから「Nature Lover」。ベースはフリード クロスター
オプションのベッドキットを追加した状態。標準仕様はキャンピングカーとして装備しておきたいエアヒーターやサブバッテリー、走行充電システムがついた状態となっている

フルフラットシートを完璧なベッドスペースにすることができるマット

 そしてもう1つ、ホワイトハウスの取り扱い製品でおもしろいのが「Wahaha(ワハハ)」とネーミングされたエアマットだ。このマットの特徴はサポート性の高さにある。

 一般的なエアマットは風船のようなクッション性がある半面、全体の剛性が弱く、寝ている姿勢や位置によって空気が偏ってしまうことがある。それが寝心地に大きく影響するケースも少なくない。

 それに対してワハハは、1m2あたり数千本の繊維で支える「高強度繊維構造」を採用しているので、マットのどこに体重をかけても型崩れが起きにくい。そのため、エアマットのふわっとした寝心地をキープしたまま体圧をきれいに分散してくれる。寝る位置を限定しないのもポイントだ。また、寝返りを打ったときもエアマット特有の不自然な反発が起きづらく、寝転んだ感覚は一般的なクッションとほとんど変わらない。

展開時のサイズは110×180×10cm(幅×奥行き×高さ)
空気を抜くとこれぐらいコンパクトになる。横に置いてあるパンフレットのサイズはA4

 ワハハの縦横サイズは、シートをフルフラットに倒した軽ハイトワゴンではシンデレラフィットとなる一方で、ヴォクシー、ノア、ステップワゴン、セレナ、デリカD:5では縦横ともに室内サイズに対してやや足りないが、ベッドとしては十分に機能する。それ以上にシートをフルフラットにした際にできる「段差」がほとんど気にならなくなるメリットは非常に大きい。

 フルフラットシートと言いながら、実際にはベッドとして使えないケースが多いだけに、このマットがあれば「フルフラットシート=ベッド」と考えて問題ないので、ミニバンに限らず、シートがフルフラットになる車種であれば幅広く活用できそうなアイテムだ。これから車中泊をはじめるのであれば、まずはこのエアマットを用意してみるのもよいだろう。

N-BOXの室内にワハハを展開した状態(過去の開催時に撮影)。サイズはぴったりである。シートを倒したときにできる段差が気にならないので、マットさえ敷けば寝心地のよいベッドができる。あとは窓の目隠しアイテムだけ揃えれば車中泊の準備はOK
埼玉県にあるメティオが制作した日産セレナベースの「ラクネルステイ」。特徴は純正のサードシートをそのまま使っているところ、純正のサードシートは跳ね上げて壁面に収納する機能を持っているので普段はラゲッジを広く使うことができる
セカンドシートを取り外してベンチをセット。ベッドのフレームはアルミパイプを使用することで軽量で組み立てやすくなっている。サイドボードはコンセントなど電源のアウトプットとしても利用している
サードシートをたたんでアルミフレームを一部取り外すことで、パンフレットの写真のようにロードバイクをまっすぐ積むこともできる。ロードバイク以外でもいろいろなスポーツや趣味のサポートカーとして便利に使えそうだ

「快適に過ごす」と「楽しく過ごす」

 ここからは使い勝手という点で個性的な車両を紹介する。まずは西尾三菱自動車販売という三菱自動車の正規ディーラーが販売するアウトランダーPHEVをベースとした「イーポップ」から。

 外観の特徴はポップアップルーフを装備している点だが、オプションのベッドキットを使用することで車内にも就寝スペースを作ることができる。そのため乗車定員5名のSUVながら、最大4名が就寝可能となっている。

 ボディタイプのわりに就寝できる人数が多いところも特徴だが、大容量バッテリーを搭載するPHEVであるため、宿泊地でエンジンを停止したままエアコンが使用できる点も大きなポイントだ。三菱自動車の公式発表ではないが、約8時間程度は使用できるという声もある。

 ただし、バッテリー残量が少なくなると充電のためにエンジンが自動的に始動するため、エンジン停止がルールとなっているキャンプ場やRVパークでは使い方に注意が必要だ。それでも近年の夏の暑さを考えると、クルマのエアコンが使えるメリットはとても大きいと思う。

西尾三菱自動車販売が使うアウトランダーPHEVベースの「イーポップ」。車外にテーブルやチェアを展開できるようなオートキャンプ場やRVパークとの相性は特によさそうだ
オプションのベッドキットを展開した状態。ポップアップルーフに2名、室内2名の計4名が就寝できる
新型デリカミニのポップアップルーフ仕様の試作車も展示していた。こちらはまだ販売のめどが立っていないそうだ

 最後に紹介するのがルーフテントだ。海外製品で取り扱いはコイズミ。同社にはいくつかのタイプのルーフテントがあるが、ジムニーに合わせているのは「貝」のように開くタイプで、ルーフキャリアを使ってクルマのルーフに装着する。

 ルーフテントの重量は種類にもよるが約60kg前後。この重量であればクルマ側のルーフ耐荷重内に収まることが多く、市販のルーフキャリアの耐荷重としても十分に余裕がある。

 メリットとしては、車体側に改造が不要なこと、不要になれば取り外せること、そしてクルマを乗り換えても引き続き使用できる点が挙げられる。

 メーカーに話を聞いたところ、ルーフテントはテント泊キャンプをしていたユーザーが新たな選択肢として選ぶケースが多いそうだ。人とは少し違う車中泊スタイルを楽しみたいのであれば、ルーフテントを選ぶのも1つの方法だろう。

 筆者はルーフテントに泊まったことはないが、高い位置にテントがあることによる安心感や開放感にはかなり興味があるので、いつか試してみたいと思う。

ジムニーとルーフテントはよく似合う組み合わせ
テントの位置が高いので、そこまで登るためのアイテムも必要
テントの幕は防水機能もあるので、雨の日でも使用できるとのこと。またメッシュの状態で使用すると、風通しがいい。マットのクッションも就寝に適したものとなっている