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JR北海道、北海道新幹線の試乗会を実施。新函館北斗駅~木古内駅間に乗ってみた
3月26日開業
(2016/1/28 16:00)
- 2016年1月28日 実施
JR北海道(北海道旅客鉄道)は1月28日、3月26日に開業する北海道新幹線の報道機関向け試乗会を新函館北斗駅~木古内駅間で実施した。本試乗会参加の機会を得たので、レポートする。
北海道新幹線の新函館北斗駅~木古内駅間(35.5km)は、一般的な新幹線で採用されている高架線構造で建設されており、途中に万太郎トンネル、新茂辺地トンネル、渡島当別トンネル、泉沢トンネル、幸蓮トンネル、札苅トンネルと6つのトンネルがある。また、新函館北斗駅の新青森駅側から約2kmの場所に、北海道新幹線の車両基地と整備拠点を兼ねた「函館総合車両基地」が設置されている。開業時には、JR北海道のH5系車両が4編成(10両)が配備される。
H5系車両は、JR東日本(東日本旅客鉄道)のE5系車両をベースに製作されたもので、“H”は「Hokkaido Railway Company」の頭文字から来ている。車両性能や設備に関してはE5系とほぼ共通となっており、最高速は320km/h。なお、北海道新幹線の区間は最高速260km/h、在来線との併走区間となる青函トンネルとその前後の区間の当面の最高速は140km/hとなる。外観はE5系とほぼ同じだが、車両中央部の帯がE5系の赤色とは異なり紫色となっており、ロゴマークもH5系独自のものとなっている。
編成は、新函館北斗駅方の10号車にグランクラス(定員18名)、9号車はグリーン車(定員55名)、8号車~1号車は普通車指定席(定員658名)となっている。なお、グランクラスのサービスに関しては、1月27日にJR北海道とJR東日本、NRE(日本レストランエンタプライズ)が発表を行なっているため、そちらのレポート記事「JR北海道とJR東日本、NRE、北海道新幹線のグランクラスのサービスを発表」ご覧いただきたい。今回の試乗会では、普通車のみが公開された。
E5系の登場時、普通車のコンセントは窓側の足下に1つしかなかったが、H5系では全席でコンセントを使用できるようになっている。E5系でも増備される編成から同様の装備となっており、既存の編成もこの仕様に改造される予定。
お手洗いは1、3、5、7、9号車に設置されており、1、3、7号車には、男女共用の個室トイレと、男性用小便器、女性専用トイレと女性用の洗面台が設置されている。5号車と9号車には車椅子対応の大型トイレが設置されており、車両の出入り口の幅も車椅子が通過しやすいよう広くとられている。
試乗列車は、10時00分に新函館北斗駅11番線を出発。10時13分に木古内駅11番線に到着した。そして、復路として木古内駅を10時45分に出発し10時58分に新函館北斗駅に到着。試乗会は終了となった。天候がよい場合は260km/h走行が行なわれる区間だが、今回は降雪のため210km/hとなった。
H5系もE5系と同じく先頭車の前頭形状を長くしているため、トンネルに入る際の空気圧「トンネル微気圧波」を低減できるようになっている。そのため、トンネルに入る際も独特の音や横揺れ、気圧の変化による耳がツンとする現象なども感じることなく静かな走行を実感できた。
新函館北斗駅~木古内駅間の車窓は、新函館駅を出発すると、すぐに函館総合車両基地が東京への進行方向に対して左(海側)に見えてくる。そして、平野と函館山をしばらく望んだあとは、トンネルが連続する区間となる。木古内駅の到着直前に津軽海峡を一瞬だけ望むことができた。
JR北海道では、一般向けの試乗会も新函館北斗駅~木古内駅間で2月13日~14日に5往復実施する。募集は2015年12月21日~28日に行なわれ、定員3000名に対して2万8302名の応募があったとのこと。
開業までの状況と試乗会について、JR北海道 広報部長 山田浩司氏は「短い時間でしたが、北海道らしい景色をご覧いただけたかと思います。また車両の乗り心地に関してもご体験いただけたと思います。残念ながら、降雪のため最高時速は210kmとなりましたが、よい試乗会になったと思います。2月には一般向けの試乗会を実施いたします。試乗会には多数応募をいただき、改めて北海道新幹線への期待が高まっていると感じました。非常時の訓練など、最終的な準備もこれから進めて3月26日にしっかり開業できるようにいたします」と語った。