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7月開業「IGアリーナ(愛知国際アリーナ)」に行ってみた! 5階建て日本最大級、1~4階のシート構成を徹底紹介
2025年5月19日 16:00
- 2025年7月 開業
愛知国際アリーナは、名古屋城を中心とする名城公園の一角に「IGアリーナ(愛知国際アリーナ)」(愛知県名古屋市北区名城1-2)を7月に開業する。その開業を目前に控える5月16日、報道陣や関係者を対象とした内覧会を開催し、アリーナ内部を公開した。
老朽化した愛知県体育館の置き換えを目的に建設
名古屋城旧二の丸跡に位置する愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)は、大相撲七月場所(名古屋場所)の開催や、B.LEAGUEに所属するプロバスケットボールチーム、名古屋ダイヤモンドドルフィンズのホームアリーナとして親しまれてきた。
ただ、1964年の開業からすでに60年以上が経過し、施設の老朽化に加えて、規模や機能がスポーツの国際大会を開催するための国際基準を満たしていないなどの課題があった。
新たに開業するIGアリーナは、敷地面積約4万6000m2、建築面積約2万7000m2、延床面積約6万3000m2、地上5階建ての日本最大級の多目的アリーナだ。
座席数は約1万5000席、収容人員は最大1万7000人(立席含む)で、愛知県体育館(延床面積約1万6000m2、重要人員7514人)から大幅に規模が拡大。愛知県体育館に代わり、大相撲七月場所や名古屋ダイヤモンドドルフィンズのホームとして利用されることが決まっている。
メインアリーナは、スポーツに適したオーバル形と、コンサートなどの開催に適した馬蹄形を融合したハイブリッドオーバル形で、国内では初採用となる。メインアリーナの広さは約4600m2、高さは30m。メインアリーナ中央には、直径約12m、高さ約5.5mと国内最大級の吊り下げ型8面体センタービジョンを備える。客席には、こちらも日本最大級となる全長約220mのリボンビジョンも備えており、センタービジョンと合わせてさまざまな情報を表示する。
グランドオープンは、7月13日からの令和7年大相撲七月場所だが、5月24日にはプレオープンイベントとして、映画音楽作曲家ハンス・ジマーのツアー「Hans Zimmer Live」を開催。また、5月31日と6月1日には、オープニングイベント「IGアリーナオープニングDAYs」を開催。滝沢秀昭氏演出によるオープニングアクトや、フィギュアスケータープレミアムトークショー、NINJA GAMES showcase&体験会、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ交流イベントなどを行なう。
隈研吾氏がデザインを担当
IGアリーナのデザインは、東京の国立競技場のデザインを手がけていることなどでおなじみの隈研吾氏(隈研吾建築都市設計事務所)が担当。隈氏といえば木材を用いたデザインが特徴だが、IGアリーナも木を用いた王冠のような装飾が外観を覆っており、独特の雰囲気を醸し出している。このデザインは、名城公園の景観に調和するように考案されたものだそうだ。
アリーナの外観だけでなく、内部にも木が多く使われており、2階プレミアムエントランスをはじめ1階から3階のいたるところに、杉などの愛知県産木材を使用した木陰天井を設置。幾何学的ながら、木材独特の柔らかい印象が伝わってくる。
1~4階の4層の座席を詳しく紹介
客席は、1階から4階まで4階層に分かれている。
1階のアリーナ面には可動式の座席を用意。可動式ではあるが、座面はクッション付きの跳ね上げ式で、背もたれにもクッションが備わっており、座り心地は申し分ない。各座席ともドリンクホルダーを備える。納時には、座席自体を倒して引き出し状に収納することになる。この可動式座席によって、興行に合わせてアリーナ面を有効活用し、幅広いさまざまの興行に対応できるようになっている。
2階席は、アリーナを360度囲むようオーバル形に配置。ただし、コンサートなど馬蹄形型で運用する場合を想定し、ステージ側となるアリーナ左側は座席数が少なくなっている。座面はクッション付きの跳ね上げ式で、背もたれにもクッションが備わる。ドリンクホルダーも備える。
3階席と4階席は、コンサート時のステージ側になる部分が切り取られた馬蹄形型に配置。
3階席はVIP座席となっており、座席とつながる全40室の部屋が設けられている。
4階席は、上層からアリーナ全体を見渡せる座席となっている。高さがあるとともに、ほかの階層より角度がきつくなっているため、ほかの階層の座席よりも背もたれがかなり高い。これは、移動時に手すりだけでなく背もたれも掴みやすくすることで、安全性を高めているためだ。4階席の座面もクッション付きの跳ね上げ式で、もちろん全座席ドリンクホルダー付き。背もたれにクッションはないが、高さがあるためか、座り心地はわるくない印象だ。
3階席と4階席が設置されない部分には、コンサートなどで利用する場合に音の反響を低減するために、吸音材を含む壁板が張られている。
2階のプレミアムラウンジ「d CARD LOUNGE」
2階には、プレミアムラウンジ「d CARD LOUNGE」を設置。こちらは、ラウンジ利用権付きチケットを購入した来場者のみが入場できるラウンジとなっており、ラウンジ内で飲食を楽しみながらイベントに参加できる。ラウンジの収容人員は、立席込で430名。
ラウンジは、入場してすぐの中央部分がスタンディングエリアとなり、その左右に尾張地域、三河地域をイメージした2つの異なる装飾の空間を用意。ソファに座って飲食しながら、またアリーナを望めるカウンターでドリンク片手にイベントを楽しむことが可能だ。
ラウンジ内には、ジャパニーズウイスキーやプレミアムジンなどを中心に提供する「六 ROKU SUNTORY PREMIUM BAR」と、ザ・プレミアムモルツをメインに提供する「The PREMIUM MALT'S 神泡。Bar」の2つのバーを設置。また、職人がその場で握って提供する握り寿司や愛知らしさを意識した創作料理を提供する料理店舗も設置する。
プレミアムラウンジ利用権付きチケットは、一般販売に先駈け、dカードプラチナ、dカードゴールドユーザー向けの先行優先販売を実施する予定。
飲食店は全20店舗、館内は完全キャッシュレス決済
飲食店は、1階に3店舗、2階に11店舗、4階に6店舗の計20店舗を用意。このほか、4階コンコースには12の仮設店舗スペースも確保し、さまざまな物販に対応可能。
飲食店は、軽食、スナック、お弁当、名古屋めし、スイーツなどのバリエーションを用意。そして、そのいずれもが完全キャッシュレス決済となる。各店舗前にキオスク端末が設置され、そちらで注文および決済を行なう。また、IGアリーナのアプリを利用したアプリオーダーも可能で、店に並ばず注文できる。アプリオーダーはグランドオープンから利用可能になる。
現金しか持ち合わせていない来場者については、プリペイドカードなどを購入してもらうなどして対応するという。
館内にWi-Fi 7アクセスポイントと5Gミリ波アンテナを設置
IGアリーナでは、館内にWi-Fi 7ベースの無線LANアクセスポイントを設置。携帯通信は5Gミリ波のアンテナも設置している。IGアリーナの運営にはNTTドコモが関わっているが、館内の携帯通信はJTOWERのインフラシェアリングによって、キャリアを問わず安定した通信が可能という。
このWi-Fiとモバイル双方の通信インフラを整備することで、IGアリーナの収容人員である1万7000人が一斉に通信を行なったとしても問題なく耐えられる通信品質を実現しているとのことだ。
内覧会冒頭、愛知県知事の大村秀章氏が来場し、「NTTドコモが誇る世界最高の通信技術を備える、世界のどこに出しても負けることのない最先端のアリーナが完成したということで、非常に喜ばしい限り。このIGアリーナ、名古屋から日本最高水準のエンタテイメントを日本、そして世界に発信していくので、ぜひ楽しんでいただきたい」とあいさつ。
また、IGアリーナの運営会社である愛知国際アリーナ 社長の寛司久人氏は、「アリーナを越える体験をしていただきたいという想いで作った。世界的なアーティストの興行や、子供たちの未来に種を蒔くような興行、名古屋独自の興行なども作っていきたい。そして、このIGアリーナをスポーツやエンタテイメントの体験をアップデートしていくように管理し、心躍る場になっていけばいいと思っている」と抱負を述べた。