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首都高、女性の力を道路に活かす首都高女子50人会「横浜環状北線現場見学会」

2015年12月13日 実施

「首都高女子50人会プロジェクト『横浜環状北線現場見学会』」、午前の部・B班の参加メンバー

 首都高速道路は12月13日、「首都高女子50人会プロジェクト『横浜環状北線現場見学会』」を開催した。

 首都高女子50人会プロジェクトは、女性ならではの視点による意見や提案などを自由に語ってもらうことで、首都高への認知や好感度アップ、さらには今後の施策への反映などを目指す取り組み。2015年8月に50名の予定で募集が行なわれ、応募があった130名あまりがメンバーとして登録された。同会のイベントはこれまでにワークショップおよび交通管制施設見学会が実施されており、今回で3回目となる。

 横浜環状北線は第三京浜・港北IC(インターチェンジ)と、首都高速 神奈川1号線・生麦JCT(ジャンクション)を接続する全長約8.2km、往復4車線、設計速度60km/hの自動車専用道路。全長の7割強にあたる約5.9kmがトンネル、残りはほぼ高架橋となる。シールドマシンを使ったトンネル掘削および高架橋の建設はほぼ終了しており、平成28年度内(2016年)の開通を目指して工事が進められている。

見学会のベースとなった横浜環状北線 インフォプラザ
イラストや航空写真を使ったパネルが用意されていた
インフォプラザからは新横浜換気所の換気塔が望める
見学前に首都高速道路 神奈川建設局 建設管理課 課長 波津久毅彦氏による概要説明が行なわれた
首都高速道路 神奈川建設局 神建女子チーム4名も見学会をサポート。総務経理課、用地管理課など所属はさまざま

 見学会の現場となったのはトンネル区間と高架橋区間が入れ替わる新横浜IC周辺。当日はあいにくの雨模様となったが、記者が同行した午前の部には22名が出席した。午後の部にも30名が出席予定となっているとのことで、工場萌えならぬ道路萌え(?)な女子の意欲の高さにも驚いた。

 見学は横浜環状北線のインフォプラザをスタートし、シールドマシンを下ろした立坑からトンネルに入り生麦方面へ。換気所を経て避難用滑り台から避難路を港北方面へ逆戻り。高架橋区間を少し歩いて大熊川にかかるトラス橋を見学してからスタート地点に戻るルート。要所での説明や避難用滑り台体験などを含め、全行程は1時間半ほどだったが、普段なかなか見ることのできない作業現場や、開通後は歩くことができない場所など、貴重な体験に参加者は楽しんでいた様子だった。

見学ルート
横浜環状北線および港北ICから東名高速 横浜青葉ICを結ぶ横浜環状北西線の説明パネル
トンネル内の模型も展示されていた

 施設見学の後は質疑応答の時間が設けられた。参加者からは「防災施設でドライバーに初期消火をお願いしたいとの説明を受けたが、どの程度の火災までドライバーが自分で消火活動を行なうべき?」といったものから、「危険予知に関して現場に啓蒙するような表示が見られなかったが」といった専門的な質問まで飛び出した。

 前者は「まずは命を守っていただくのが最優先。その上で可能であれば、または(訓練を受けている)プロドライバーにお願いしたい」、後者については「始業前やその日作業を行なう現場で行なっている」との答えだった。

 また、「避難用滑り台は長さが分からないので心理的に怖い」といった、まさに女性ならではの意見も。確かに現場を知っている人間にとっては見落としがちな部分で、担当者からは「表示や音声案内などなんらかの方法を検討したい」との回答が示された。

 首都高女子50人会プロジェクトでは、今後も「首都高夜景ツアー」や「首都高ドライブ講座」「アドバイザー講演会」などが予定されており、最終的にはパンフレットを作成。2016年6月頃にパーキングエリアなどで配布されるという。

9時40分にインフォプラザを出発
立坑のある建屋へ
低い入り口をくぐって建屋内へ
建屋内は大型クレーンや鉄骨むき出しの柱が並ぶ別世界
シールドマシンが搬入された立坑。圧倒的な質量とスケール感だ
階段を使って本線上へ
港北JCT側の眺め
生麦JCT側がシールドトンネルになる
トンネル長は5.5㎞
換気塔の直下。転回できる構造になっている
移動用の自転車がずらり
途中までは路盤がむき出しだが一部は完成状態がイメージできるようになっている
非常口では職員による説明があった。ちなみに非常口は250m置きに用意されている
熱心に説明を聞く女子50人会メンバー
トンネルの外壁にあるセグメントは1周9枚を使用。1枚あたり最大9トンもの重量がある
照明はLED。ライフサイクルコストを20年で47%削減できることから首都高速全体で置き換えが進められているという
泡消火器と泡消火栓を備えた消火設備は約50m間隔で設置されている。奥に見えている非常電話は約100mおき
泡消火栓のドアを開けたところ
メンバーもノズルを体験
非常口は路盤の下に設けられた通路につながるため特殊な構造。上下線で合計76カ所ある
非常口を開けるためのボタン
非常口の跳ね上げドアは錘の重量で開く仕組み。火災や停電などを考慮し電気を使わず物理的に作動するようになっているワケ
滑り台には煙の侵入を防ぐため自動的に閉まる中扉が設置されている
中扉を開けると滑り台が見える
ちょっと態勢がキツイ
滑り台は高低差が約3.2m、長さが約6mなのであっという間に非常通路に到着
途中でカーブしているため道路方向は見えない
シールドトンネルの下部に位置する非常通路。天井高は低めだが幅はゆったりした空間
滑り台は通路に少し張り出す格好
途中に道路に上がる階段の入口がある
階段で道路へ出ることが可能
避難通路はトンネル出口まで続いており災害の状況によってはこちらも使える
トンネル内には頭上にある市営地下鉄や橋の案内が貼られていた
トンネルの出口付近
消火設備などの設置スペースが用意されていた
出口にはカーブを描いた意匠が施されている
外回り(生麦方面行)から港北JCT方面の眺め
内回り(港北方面行)から港北JCT方面の眺め
内回り(港北方面行)から生麦方面の眺め
まだ大型のクレーンが使われている
高架部分は上下2層構造になる。内回りが下層を走ることになる
大熊川かかるトラス橋
トラス橋から後ろを振り返ると新横浜のビル群と日産スタジアムが見える
思い思いに写真を撮るメンバー
職員もお手伝い
見学後の質疑応答では専門的な質問も

(安田 剛)