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首都高、定例会見で「中期経営計画 2015-2017」発表
池尻入口の位置を変更するなど各所で渋滞対策
(2015/5/21 11:00)
- 2015年5月20日開催
首都高速道路は5月20日、定例記者会見を開催し、首都高速道路 代表取締役社長の菅原秀夫氏から「中期経営計画 2015-2017」および平成27事業年度事業計画についての解説が行われた。
会社設立10周年を迎えるにあたって策定された今回の「中期経営計画 2015-2017」では、「安全・安心の追求」「快適・便利なサービスの提供」「新たな事業の展開」「技術開発の推進」「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて」「経営基盤の強化」という6項目を骨子とした。
この中期経営計画に基づき、2015年度は高速道路事業に2817億円、高速道路事業以外の事業に250億円の総額3068億円の事業費をもって道路管理やネットワークの整備を実施する。高速道路事業においては、維持・修繕として「首都高速道路310.7kmの維持・修繕」「池尻・三軒茶屋出入口付近等の大規模更新・大規模修繕」を、新設・改築として「横浜環状北線などの新設」「板橋熊野町JCT間改良、東品川桟橋・鮫洲埋立部等の大規模更新などの改築」が挙げられた。
維持・修繕のうち、多摩川に架けられる1号羽田線 高速大師橋(延長0.3km)では、これまで多摩川への影響を抑えるため支間長を長く取り、上部工を軽量化した橋梁が用いられてきたが、橋梁全体がたわみやすいため多数のき裂が発生しているという。そのため橋梁全体を架け替える予定になっており、今年度については都市計画手続きを実施する予定。
また、3号渋谷線 池尻~三軒茶屋間(延長1.5km)では、東急田園都市線と一体構造の橋脚を採用していることから、一般的な橋梁に比べ横梁張出長が長く、床版が変形しやすいことから亀甲状のひび割れが多数発生しているという。そのため地下鉄への影響を考慮し、床版の重量を増やさずに耐久性の高い床版に取り替えると同時に、ボトルネックとなっている区間に約300mの付加車線を設置して渋滞緩和も図る。この付加車線の設置について、菅原社長は「この区間は3%の上りこう配になっていて渋滞しやすい。そのため池尻入口の位置を変更するとともに、付加車線で本線に合流していただく。これによって渋滞が緩和されるのではないか」と、同区間の変更によっての渋滞緩和に期待感を寄せた。
これに加え、ネットワーク設備やボトルネック対策を引き続き実施するとし、「横浜環状北線(延長8.2km)」を2016年度に、「板橋・熊野町JCT間改良」「堀切・小菅JCT間改良」「晴海線(晴海~豊洲、延長1.2km)」「高谷JCT(連結部の一部」を2017年度に、「渋谷入口」を2018年度に、「小松川JCT」を2019年度に、「横浜環状北西線(延長7.1km)」を2021年度にそれぞれ完成させる目標が示された。
まず横浜環状北線・北西線の進捗については、北線ではすでに本線シールドの内装工などが実施されており、「高速道路建設で重要なカギになる」(菅原社長)という用地取得に関して、北西線では76%の用地取得が完了。2015年秋ごろから港北地区・青葉地区の高架部の下部工に着手する予定が報告されるとともに、「北西線は、オリンピックだけでなく地域経済の活性化という観点からも早期完成が待たれている」とし、横浜市と連携して工期短縮に向けて努力していくことが菅原社長から報告されている。
一方、3月の品川線開通により全線開通となった中央環状線は、都心環状線(C1)の通行量が減少した一方で中央環状線に負荷がかかっている状態という。そのため板橋・熊野町JCT間では基礎工事・橋脚工事を、堀切・小菅JCT間では基礎工事・橋脚補強工事を、小松川JCTでは河川部で基礎工事・橋脚工事などをそれぞれ実施している。
また、3号渋谷線では渋谷出口(上り)の向かい側に渋谷入口(下り。渋谷2丁目交差点付近)を2018年度を目途に新設する。この渋谷入口については「現在3号渋谷線の入口は池尻しかなく、交通が集中しやすい。その交通を分散させることと、中央環状線へのアクセスが容易で、例えば渋谷~羽田間が現状では35分かかっているところ20分になるなど利便性が向上する」(菅原社長)と、そのメリットなどについて語られている。