ニュース

JALエンジニアリング、“リケジョ”が活躍する企業を考える社内フォーラムを実施

2015年11月16日 実施

会場にはJALEC社員をはじめ100名あまりが詰めかけた

 JALエンジニアリング(JALEC)は11月16日、「他社に学ぶ、多様な人材の活躍に向けて」と題した講演会および社員対話会を実施。同社社員を中心に100名あまりが参加した。

 同会は「フラットな思想・仕組みで、性別に関わらず多様な人材の活躍を実践するPratt & Whitney(P&W)の制度や風土を学び、社員の士気改革に繋げる」「“女性活躍”、“家庭と仕事の両立”のモデルと触れ合うことで社員自身の啓発に繋げる」ことを目的に“リケジョの未来を考える”というもの。Pratt & Whitneyからマリー・エレン・ジョーンズ氏(Marry Ellen S.Jones Vice President, Sales - Asia Pacific and Chaina)を招いて行なわれた。

 講演会に先立って挨拶を行なったJALエンジニアリング 代表取締役社長 赤坂祐二氏は「企業の成長にとって女性の活躍は重要な要素である」とし、JAL、JALエンジニアリングとしても取り組んでいることを紹介。男性従業員も含めて考えなければならないことであると述べた。

 講演会ではまず同社で活躍する女性の代表としてJALエンジニアリング エンジン整備センター 企画グループ東中裕子氏が登壇。同社の取り組みを紹介した。

JALエンジニアリング 代表取締役社長 赤坂祐二氏
JALエンジニアリング エンジン整備センター 企画グループ東中裕子氏

 東中氏は最初に「データ入力のアルバイトから外注品の管理を行なう契約社員、正社員とステップアップし、いまでは企画グループの一員となって働いている」と自身の経歴を紹介。続いて「JALでは女性の管理職を2023年に20%に引き上げるという目標を立てているが、これは単に女性優遇や働きやすさだけを追い求めるものではなく、業務の即応性や満足度を高めるものであるとの意識が必要」とした。また、「女性社員は新卒から10年以内では平均80%の在職率ながら、10~20年を経ると約30%に落ち込む理由も、生活と仕事を両立するための支援やキャリアアップの取り組みにある」とし、女性の意識改革はもちろん環境整備も重要であると説いた。

 そうした前提を話したうえで同社の現状について「女性が活躍できるよう新たな仕事を割り当てたりもしているほか、女性比率は20代前半で19.4%に高まっているが、女性管理職は2名である」と活躍の場は広がっているものの、キャリアアップという点においてはまだ万全ではないと紹介。

 また、エンジン整備センターでは、人材育成に関する分科会を立ち上げて、女性が働きやすい職場作りや女性の登用を図るといった取り組みを推進。そこでのヒアリング結果をもとに、「ゆう活」(夕方以降の時間を楽しむ生活)や「フレックスタイム制」「在宅勤務」など柔軟な働き方をできる体制の構築をはじめ、出産・育児と仕事の両立支援や女性優遇ではないといった点への男性社員の理解や、女性自身も先輩が後輩を育成する意識の不足を解消する、といった環境と意識の両面で改革を進めていると締めくくった。

女性の活躍推進がテーマ
JALグループの戦略を紹介
日本航空 代表取締役社長 植木義晴氏のメッセージを紹介
ダイバーシティ推進
JALグループの多様性
企業価値としての大義が重要
環境整備と意識改革が必要
JALECの取り組み
同社代表取締役社長 赤坂祐二氏のメッセージ
エンジン整備センターの取り組み
女性社員へのヒアリング結果
より柔軟に働くことができる環境整備が必要
男女の意識改革
まとめ
Pratt & Whitney Vice President, Sales - Asia Pacific and Chaina マリー・エレン・ジョーンズ(Marry Ellen S.Jones)氏

 続いて講演を行なったマリー・エレン・ジョーンズ氏は、P&WとGEの合弁企業である「エンジンアライアンス」の社長や、フランス・トゥールーズのエアバス本社でP&Wの営業マーケティングを指揮するなど活躍。現在は旦那さんとお子さんと米国に在住している。

 ジョーンズ氏は、P&W入社後、ワシントンD.C.での政府交渉業務に携わったあと、イーストハートフォードの支社に勤務。航空会社との交渉や、さまざまな人とのネットワークを拡大するなど、ビジネスを理解するうえで非常に多くのことをここで学んだという。こうした新たな業務は「モチベーションを高め、幸せな時間であった」と話した。また、この時期にお子さんが生まれたそうだが、旦那さんの理解もあり、お互いに補い合いながら子育てをすることができたという。

 その後、トゥールーズのエアバス本社オフィスに勤務する新しいリーダーを求めているという話を聞き立候補。4歳の子供がいる女性という点で多くの人からは懐疑的な意見もあったそうだが、本人と家族にとってはよい経験になったという。

 そうしたキャリアの中で学んだことを紹介したうえで、P&Wはフレックスタイム制のほかにも、なんらかのトラブルが発生したときなどに短時間の離脱を認める制度や、1週間程度の休暇を購入する権利、従業員の教育制度、メンター制度、1年1度の聞き取り調査を約束するなど、全社的に女性が働きやすい環境が整えられているとした。

 なお、ジョーンズ氏の希望により非公開となったものの、講演後にはジョーンズ氏と参加者による対話会も開催された。

参加者はジョーンズ氏の言葉に熱心に聞き入っていた

(安田 剛)