ニュース

富士急ハイランドのロケーションゲーム「巨大遊園地からの逃走」を体験してみた

映画「リアル鬼ごっこ」とコラボレーション

2015年8月~9月の土日、8月10日~14日、9月21日~23日

参加費:1000円(別途要入園料)

富士急ハイランドが園内で開催するゲームイベント「巨大遊園地からの逃走」。記者も参加し撮影していたところ、鬼に遭遇し大ダメージを喰らった瞬間

 富士急ハイランドが園内で開催するゲームイベント「巨大遊園地からの逃走」が8月~9月の土日、8月10日~14日、9月21日~23日に開催されている。映画「リアル鬼ごっこ」とのコラボレーションゲームとなっており、60分の制限時間内に鬼から逃げつつ、スマートフォンに届く指令とロケーション情報を頼りに謎解きを進めるゲームイベントだ。実際に体験してきたので、ここにお届けする。

 映画「リアル鬼ごっこ」とコラボしているため、鬼から逃げるのが主体と思われがちだが、逃げるのが主目的ではない。スマートフォンの地図上に表示されるヒントのある場所を巡り60分以内に4つの謎解きをするゲームとなっている。このため、鬼はあくまでプレイヤーの行動を邪魔し、制限時間内のクリアーを難しくさせる存在となっている。

 もちろんゲームであるため、鬼に発見されても映画の作中のようにプレイヤーに直接的な害があるわけではなく、専用アプリ上のライフが減っていくという仕掛けだ。また、プレイヤーをサポートするアイテムなども用意されており、Googleのロケーションゲーム「イングレス」のような面白さがあるゲームだと記者は感じた。なお、富士急ハイランドといえば、「絶望要塞」に代表されるような難関な体験ゲームを多数送り出している。この「巨大遊園地からの逃走」もクリアーできるのは、各回1、2組あるかないかとのこと。

映画「リアル鬼ごっこ」とコラボしており、受付付近には映画の出演者が使われたポスターが掲示されている
ゲームに登場するガスマスクのようなものを被り、黒ずくめ格好をした“鬼”
アトラクション「マッド・マウス」の近くにあるゲームの受付

 ゲームに参加するには、開始時刻前に園内のアトラクション「マッド・マウス」の近くにある「巨大遊園地からの逃走」用のテントで受け付けを行なう。参加費は1000円。富士急ハイランドの園内で行なわれるため、園内に入るための入園料が別途必要となる。プリーパスと参加チケット、入園券と参加チケットがセットになったプランも用意されている。

 ゲームのプレイ時間は、8月は12時~13時30分、15時~16時30分、18時~19時30分の3回、9月は14時~15時30分、17時~18時30分の2回となっている。各回の参加人数は300人までで、各開始時刻の1時間前より受け付けが行なわれている。年齢制限はないものの、15歳以上を推奨。15歳未満の場合は15歳以上の付き添いが必要となる。

 ゲームをプレイするためには、対応するスマートフォンが必要となっており、iOS 7.0以上の「iPhone 4S、5、5S、5C、6、6 Plus」もしくは、Android 4.3以上のAndroid端末となっている。Androidで動作確認が取れているのは、「Nexus 5、Nexus 6、Galaxy S4、Galaxy S5、Galaxy S6、Xperia Z2 SO-03F、Xperia Z3 SO-01G」の7機種。他の端末でも、インターネットへの通信と位置情報(GPS)、Bluetoothのビーコン機能が使えれば、動作する可能性は高いが、できれば推奨端末を使うのがベストだ。また、ゲームのプレイ前に専用のアプリをダウンロードするのも忘れないようにしたい。

 アプリで事前に動作環境のチェックも可能だ。アプリをダウンロードし「鬼ごっこを開始する」のボタンを押せば、端末の設定確認の画面になるため「ビーコン」以外の項目が“OK”になっている状態で受付をしよう。さらに、ゲーム中はずっとアプリの画面を出してビーコン受信が可能な状態にしなければならないため、バッテリーの消費が普段より激しくなる。記者は「Xperia Z3」で参加したが、ゲーム開始時には70%あったバッテリー残量がゲーム終了時には42%まで減少した。事前に外部バッテリーなどで、スマートフォンをフル充電しておくのがお勧めだ。

ゲームに参加する前にアプリをダウンロードしておこう
アプリを立ち上げた画面。「鬼ごっこを開始する」から動作環境のチェックができる
“ビーコン”以外がOKになっているのを確認する
Bluetoothの設定はAndroidの場合は「無線とネットワーク」の項目からONにすれば完了

 8月と9月は気温の高い日が続くことが予想される。本ゲームは制限時間内に園内を回る必要があるので、ゲーム中はどうしても休憩を取りにくい。また、ゲームに熱中するあまり、水分補給が疎かになる場合がある。そのため、事前に水分補給や身体の冷却など熱中症対策を十分に行なっておこう。スマホのチェックもさることながら、高温多湿のなか1時間近く歩き回る準備が重要だ。もちろん、園内には飲料の自動販売機や休憩場所なども各所にある。ゲーム中に体調がわるくなった場合はリタイアすることもできるので、無理をせず参加してほしい。

 受付では、番号が書かれたゼッケンと説明書が渡され、参加登録用のビーコンをスタッフがスマホに当てることで、参加登録を行なう画面に進める。この画面でゼッケンの番号とプレイヤー名、説明書にあるアクティブコードを入力すると参加登録が完了する。なお、プレイヤー名は、ランキングなどの発表に使われるため、公開されても問題ないものにしておこう。

受付では最初に番号が書かれたゼッケンが渡される
参加登録用のビーコンをスマホに当ててもらうと、登録画面へ行ける
自分の名前と、渡される説明書にあるアクティブコードを入力すると参加登録が完了
参加登録が完了すると注意事項が表示される。このままゲーム開始まで待つ

 受け付けが完了したら、参加者はゼッケンを着け、ステージの前でゲームの開始時刻まで待つ。開始時刻になるとゲームの事前説明が行なわれ、ゲームが始まり、スマートフォンにオープニングムービーが流れる。ゲームの設定としては、クーデターで富士急ハイランドが占拠され、プレイヤーは捕虜となっている。クーデターの首謀者である“国王”は自らの王国の建国を宣言し「俺は強いやつしか国民とは認めない。『鬼ごっこ』だ。国民になりたいやつは逃げ切って見せろ」とメッセージを放つ。これに対しプレイヤーは、協力者「ありさ」のサポートを受けながら、鬼から逃げ切りつつ脱出を目指すというストーリーだ。

ゲーム開始を待つ参加者たち。1ゲームの最大参加人数は300人まで
最初にゲームの説明が行なわれる。この日は、本ゲームのシステムを開発したDAS株式会社 代表取締役/CEO 小川真輔氏が語った
説明が終わると鬼が登場。少なくとも6人を確認できた
開始前にマナーモードを解除し、音量を最大に上げておこう。鬼が接近するとアラートで知らせてくれる。逆に音量が小さいと、背後から来た鬼の発見が遅れる
ゲーム開始直前の画面

 ゲームが始まるとマップ画面に切り替わる。マップは、富士急ハイランド園内の地形と施設の形が概略で示されている。なお、園内の中でも子供向けの施設である「トーマスランド」は立ち入り禁止となっており、入るとペナルティとなる。そのため、「トーマスランド」は赤い線で囲まれている。

 マップを見ても園内に詳しくないと、最初はどこに何があるのか、どこが通れる場所なのか分からない。また、地図はある程度ズームイン・ズームアウトでき、地図のスクロールもできるので、マーカーポイントの把握はできるが、ナビゲーションアプリと異なり自分の進む方向に向かってマップが回転するという機能もないため、どの方向に移動すれば地図上のどの方向へ移動するのかが掴みにくい。とはいえ、移動していれば、自然に園内の施設と地図上の線の形が頭の中でマッチングし、移動する方向も分かってくる。

 このゲームを真剣に攻略しようと思うなら、園内の地形と施設の形を事前に歩いて把握しておいた方がよい。特にトーマスランドの方角を常に意識してマップを見ると、現在位置を掴みやすくなる。実際にゲームをクリアーした富士急の広報の方は、富士急ハイランドの地形を熟知していたため、クリアーできたという。どのような戦いでも地の利がある方が有利なのだ。

ゲームが開始されると、スマホの画面が地図に切り替わる。プレイヤーが目指すべきは「Q」の文字が書かれたマーカーだ。黄色い点が自分の現在位置
赤く点線で囲まれた領域は立ち入り禁止区域となっているトーマスランド。逆にトーマスランドの方角を頭に入れて移動すると、地図と園内の地形のマッチングがうまくできるようになる
禁止区域となっているトーマスランドに入るとペナルティとなる

 まずプレイヤーが目指すべきは「Q」の文字が書かれたマーカーだ。マーカーの地点に到着するとヒントが表示される。このヒントをすべて巡って集めると、解答を入力する地点のマーカーが表示され、その場所に行って解答を入力する。解答はキーボードから特定の文字列を入力し、それに正解しないと先に進めないためヒントから正確に謎を解く必要がある。この解答を4つ正解すると脱出成功ということでムービーが流れゲームがクリアーとなる。従って60分以内にかなりの数のマーカーポイントを巡る必要があるため、ゲームをクリアーするには、ポイント間をできるだけ最短で移動しながら、謎解きもする必要がある。時間の余裕はほぼ皆無といっていいだろう。なお、園内は一般客も大勢いるため、安全のため走るのは禁止されている。走らなくてもゲームができるのは、運動不足で走るとすぐにバテる記者にとっては逆に有り難い。

鬼はプレイヤーに直接触れてきたり、走って追いかけてくるなどはない。あくまで歩いて追いかけてくるのだが、それでもかなり手強い

 ここで問題となるのが“鬼”の存在だ。鬼はプレイヤーに直接触れてきたり、走って追いかけてくるなどはない。あくまで歩いて追いかけてくるのだが、それでもかなり手強い。プレイヤーには、ライフのパラメータが設定されており、ライフが0になると、回復ポイントに行かなければヒントの収集などの行動ができなくなる。これはかなりの時間ロスとなる。鬼はプレイヤーを発見すると近寄ってくる。鬼が接近しプレイヤーのビーコンの範囲内に入ると、ライフが減ってしまう。ライフを減らさないためには、鬼を避けるか遭遇した場合でも速やかに鬼の視界から待避する必要がある。また、鬼はガスマスクのようなものを被った黒ずくめの姿をしているが、プレイヤー同じゼッケンをつけた“隠れ鬼”がいる。この隠れ鬼に遭遇してもライフが減るので、不審な動きをするプレイヤーにも注意が必要だ。

 オープニングのムービーが終了しゲームが開始されると、プレイヤー達はスタート地点から各々ヒントのあるマーカーを目指して出発した。記者も近隣のマーカーへと移動。最初のマーカーには難なく到達し、最初のヒントを得た。内容は“全角カタカナで答えよ。MAKURA”とのことだが、何を意味するのか分からない。もちろん、そのまま“マクラ”と入力しても不正解だ。次のマーカーポイントに向かおうとしたところ、悲鳴とともに赤いゼッケンをつけた参加者たちが逃げてきた。鬼が来るというのは想像できたのだが、実際に目の前に迫ってくると少し怖い。仕方ないので、鬼を避けたルートを進んだが、ここでも鬼に遭遇。なかなか次のマーカーポイントに進ませてくれない。

赤いゼッケンをつけたプレイヤー達はスタート地点から各々ヒントのあるマーカーを目指して出発
最初のヒントは“全角カタカナで答えよ。MAKURA”とのことだが、何を意味するのか分からない。4カ所を回ってようやく正解が解ける仕組み
悲鳴とともに赤いゼッケンをつけた参加者たちが逃げてきた。鬼が来るというのは想像できたのだが、実際に目の前に迫ってくると少し怖い

 鬼はゲームによって数が変動し、記者が体験したときには少なくとも6人いたため、かなりの高確率で鬼に遭遇した。また、鬼がいてもダメージ覚悟で横をすり抜けて移動するのもできなくはないが、ライフを大きく減らす鬼がいるため、リスクが高い。実際に記者は向かってくる鬼の写真を撮りたくて意図的に鬼に近づいたが、大ダメージを食ってしまった。さらに、鬼は1カ所に留まることはなく巡回するように移動しているが、プレイヤーが来るであろうヒントを得られるマーカー地点の付近でプレイヤーを待ち構えているような動きをしているため、なかなかヒントの収集が思うようにいかない。さらに、鬼同士がプレイヤーを挟撃するような動きをしていることもあり、鬼を避けようと別なルートに行っても別な鬼に遭遇するなど、一筋縄ではいかない。

望遠レンズで鬼の様子を観察してみた。鬼もスマートフォンでプレイヤーたちの動きを見ながら動いているのがわかる
正面から鬼が来たので、草の影から撮影していると・・・・・・
アラートが鳴り響いて、背後から鬼に挟撃されてしまった。とっさに撮影したのだが、あまりに至近だったので、スマートフォンのブレが記者の動揺を表しているのがお分かり頂けるだろう
鬼がビーコンの範囲に入るとアラート音と共にスマートフォンにダメージが表示され、ライフが減っていく

 なんとか4つのマーカーを巡ると、協力者「ありさ」からのムービーが流れ、解答ポイントのマーカーが登場。鬼の襲来に悩まされつつも、解答ポイントに到達。1回目の解答は謎は解いたものの、入力ミスで不正解。不正解になると60秒間何もできなくなるペナルティとなる。2回目の解答でようやく正解となると、“ごほうび”ポイントが得られる。この“ごほうび”ポイントは、ライフの回復や“どうぐや”でアイテムを購入する際に使用できる。記者は、ライフの3分の2を減らしていたので、ライフの回復に使ってしまったが、あとでアイテムを買えない事実に気づき、後悔することになる。

4つのマーカーを巡ると協力者「ありさ」からのムービーが流れ、解答ポイントのマーカーが登場する
解答ポイントの“てすと”はキーボードから特定の文字列を入力する。なお、画面の答えは間違いだ
間違えた答えを入力すると60秒間、何もできなくなる

 解答に正解すると、次の解答用のヒントポイントのマーカーが出現。今度は“どうぐや”やライフ回復のポイントのマーカーもマップ内に出現している。さっそく“どうぐや”のポイントに向かってみると、黒いマスクの鬼が居ないのに、ダメージを喰らった。“隠れ鬼”に遭遇してしまったのだ。“隠れ鬼”は、参加者と同じゼッケンをつけており、ゼッケン番号を持っている。これを参加者同士で共有できる“こくはつ”機能がある。アプリの画面をよく見ると、目の前の“隠れ鬼”は番号がすでに告発されていた。“隠れ鬼”は、よく見ると、見分けるポイントに気づくのだが、ここではあえて伏せておく。無事に“どうぐや”にたどり着いたが、“ごほうび”ポイントをライフ回復に使ってしまったため、何も買えずに次のヒントポイントへ。最初よりは園内の道に慣れてきたので、難なく4カ所を巡ってヒントを集められた。しかし、解答ポイントの場所が分からない。さらに、ヒントから解答も導き出せず、かなりの時間をロス。その後、解答ポイントは特定できたものの、思いも寄らぬ場所だった。そして、解答を考えているうちにタイムリミットが来てしまい、ゲームオーバー。後で解答が判明したが、その場では園内を回って疲労が蓄積されていたのと、タイムリミットの焦りから、考えが堂々巡りになってしまい、結局答えることはできなかった。

協力者「ありさ」からのムービー
画面の上側のハートマークがライフの回復ポイント。下側の袋のようなマークは“どうぐや”。この後、“隠れ鬼”に遭遇。画面の上側にある数字は他のプレイヤーが“こくはつ”した“隠れ鬼”のゼッケン番号。目の前にこの番号の“隠れ鬼”が居た
“どうぐや”で売られているアイテム。“隠れ鬼”を発見できる「ふぁうんど」や、ライフ0をすぐに回復できる「りぼーん」、鬼からのダメージを半減できる「しぃるど」、解答をスキップできる「すきっぷ」が購入できる。2問目の解答ができなかったので「すきっぷ」を購入しておけば良かったと後悔

 タイムリミットが来るとゲームオーバーのムービーが流れてゲーム終了となる。ゲーム終了後は、最初の受付ポイントで鬼と記念撮影ができる。なお、記者が参加した回は、クリアーできたプレイヤーは1人も居なかったとのこと。ちなみに、謎解きの内容は開催する回によって異なり、それなりのパターン数が用意されているため、悔しいから2度目にチャレンジするといった場合でも、違う内容のゲームとなる(もちろん、この記事も手がかりにならない場合がある)。このため、クリアーできるプレイヤーは少なく、その反動でリピーターも続出しているという。しかも普通の大人なら「頑張ればクリアーできそう」と思える内容なので、記者も2度目を挑戦したくなった。

 なお、アプリを終了させたり、ビーコン機能をオフにするといった不正をすると、その分ライフが減る対策がしてあるので、下手なことは考えない方がいいだろう。また、アトラクション「クール・ジャッパーン」の上に掛かる橋は、コースターが来ると、かなりの水しぶきを浴びるので、iPhoneユーザーや、防滴スマホでない場合は渡る際に注意しよう。

タイムリミットが来るとゲームオーバーのムービーが流れてゲーム終了となる
アプリを終了させたり、ビーコン機能をオフにするといった不正をすると、その分ライフが減る対策がしてあるので、下手なことは考えない方がいい
アトラクション「クール・ジャッパーン」の上に掛かる橋は、コースターが来ると、かなりの水しぶきを浴びるので、iPhoneユーザーや、防滴スマホでない場合は渡る際に注意しよう

 映画「リアル鬼ごっこ」のイメージがあるため、とにかく逃げるための体力を使いそうと思うかも知れないが、走ることはないし、知力と体力をバランス良く使う面白いゲームだった。鬼という敵がスリルを与え、謎解きと制限時間という要素が面白さを感じさせてくれる。ロケーションゲーム「巨大遊園地からの逃走」は9月までの開催なので、期間内にぜひ体験してみていただきたい。

(編集部:柴田 進)