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NEXCOのドクターイエロー? 「ROAD TESTER」は何を調べている?
(2015/6/23 16:42)
6月4日に掲載した記事「国交省とNEXCO東日本、6月7日17時に開通する圏央道 神崎IC~大栄JCT間を事前公開」の取材の際、当時開通を控えていた下総IC(インターチェンジ)で、NEXCO東日本の人をして「ちょっと珍しいクルマ」と話す車両が駐まっていた。それがNEXCO総研(高速道路総合技術研究所)の「ROAD TESTER」だ。この車両を簡単に解説する。
車両側面に「ROAD TESTER」と書かれたこのクルマは、正しくは「大型すべり試験車」という。その名のとおり、高速道路のすべり摩擦の確認を行なうのが主な使途で、この日は新たに建設された道路の舗装の仕上がりを検査しに訪れていたとみられる。
この大型すべり試験機は、NEXCO総研が2台所有。下総ICに駐められていたのは、2002年(当時は日本道路公団)に導入された1号機で、ボディサイズは10.80×2.49×3.21m(全長×全幅×全高)。重量は19.88tとされている。ちなみに、翌2003年に2号機も導入されており、重量が若干異なる以外は、ほぼ同仕様となっている。いずれも、5kLの水を積載できるタンクが収められている。
すべり試験というのは、要するに路面の摩擦係数を調べるもので、そのために通常の車輪とは別に測定用の“試験輪”を備えている。試験輪は165-SR-13のスチールラジアルタイヤが本体左側中央部分に取り付けられている。走行中、これを約3.9kN(395kgf)の荷重をかけて設置させ、試験車と同速度で回転させる。
試験輪の前方1mの位置には、幅約20cmの散水ノズルが付いており、ここから330L/mのペースで水を吐出する。これにより、0.5~1mmの水膜を形成し、試験輪に取り付けられたブレーキで、測定ポイントで約3秒間試験輪をロック、ブレーキに取り付けられたセンサーですべり摩擦係数を検出する。
測定は通常、走行車線左側(路肩側)のわだち部分を、80km/hで走行した1km区間で5点の平均を調べる。そして、50ms周期でサンプリングされた検出データから、前後0.5秒間のデータをカットした2秒間の平均を算出して評価値として用いている。
鉄道では試験車をそのボディの色から「ドクターイエロー」と呼ぶが、高速道路にも同じように黄色い試験車が配備されている。こうした車両が、安全に走れる道路を維持するために日々活動しているわけだ。全国に2台ということで、見かける機会は少ないと思うが、もし出会えたら、ぜひ、本稿で紹介したような仕事をしているということを思い出してみてほしい。
【お詫びと訂正】初出時、タンク容量の数字に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。