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国交省とNEXCO東日本、6月7日17時に開通する圏央道 神崎IC~大栄JCT間を事前公開

逆走対策を徹底した下総ICも同時開通

2015年6月2日 実施

 国土交通省とNEXCO東日本(東日本高速道路)は、既報の通り、6月7日17時に圏央道 神崎IC(こうざきインターチェンジ)~大栄JCT(たいえいジャンクション)間を開通する。6月2日、開通に先立って、報道関係者に同区間が公開された。

今回の開通区間

 今回開通するのは、千葉県内を走る圏央道の一部となる、神崎IC~大栄JCT間の9.7kmだ。開通済みの神崎ICから南へ延び、新設の下総ICを経て、大栄JCTで東関東自動車道と接続する。この区間の茨城県側は、つくば中央IC~神崎ICまでが開通済みで、途中にはつくばJCTが常磐自動車道と接続しており、今回の開通で、東関道~常磐道が圏央道で接続されることになる。

 これによって、特に茨城県から成田空港へのアクセスが飛躍的に向上することが期待されている。これまでに開通していた常磐道方面から神崎ICまでの区間は、茨城県から利根川を越えて千葉県まで接続していたが、その先にある交通、物流の拠点である成田空港へのアクセスは、国道408号または国道51号へ迂回するか、数本の細い県道が通っているだけだった。神崎ICまでのアクセスは改善したが、そこから先の成田空港へアクセスしようとすると、その区間の道路事情がお世辞にもよいとは言えない状態だったわけだ。

 今回の神崎IC~大栄JCTの開通により東関道まで繋がったことで、成田空港へのアクセスが劇的に改善する。ソーラー発電施設を除いた企業立地面積、県外企業立地件数ともに日本一の茨城県から成田空港への物流が改善することによるグローバル競争力の強化に期待がかかっている。また、観光の面でも茨城県の水戸や足利、そして北関東方面と成田空港間の移動時間短縮が実現されるほか、従来の常磐道ルートでは都心近郊を経由する必要があった千葉県のベイエリアや南房総と、茨城県とのアクセスが改善し、新たな観光需要喚起も期待されている。

 このように、常磐道と東関道が接続されたことによる効果が期待される今回の開通区間について、報道関係者向けの事前公開が行なわれた。その模様をセクションごとに紹介していく。

国土交通省 関東地方整備局 常総国道事務所 事務所長の牧角 修氏(角は異字体)
東日本高速道路株式会社 関東支社 水戸工事事務所 所長の鈴木雄吾氏

下総IC

 神崎IC~大栄JCT間に新設される新ICが下総(しもふさ)ICだ。県道63号に接続しており、周辺の工場や、近隣のゴルフ場、「成田ゆめ牧場」へのアクセスに便利なICとなる。

県道63号を神崎から成田方面へ走行中に見える圏央道の今回開通区間
IC手前の案内標識。まだシールで覆われているが、左折が下総IC入り口
IC前の交差点
交差点を曲がるとICの入り口が見える
ICの入り口
下総ICのゲートをくぐってからルートを直進すると成田(大栄JCT)方面、左斜め方向がつくば(神崎IC)方面となる
これは神崎IC方面へ進んだ本線への合流ポイント
大栄JCT側から進んで下総ICへ降りた様子
出口側から見た下総IC料金所
料金所を過ぎたところにある案内標識

 下総ICの料金所は1カ所で、平面交差のあるY字型の構造となっている。ここでは、さまざまな逆走対策が行なわれているのも特徴だ。4月28日に掲載したニュース(http://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/20150428_700138.html)でもアナウンスされていた内容が盛り込まれているので、併せての参照をお勧めする。

 まず、神崎IC側から走行して下総ICへ降りた場合と、下総ICから大栄JCT方面へ向かう場合に、つまり外回り側本線への出入りで平面交差が発生するため、正しいルートを色分けして表示している。具体的には、本線から降りた場合を青色、下総ICから本線へ上がる場合をオレンジで色分けしている。このレーンは、ガラスビーズが埋め込まれているほか、照明も設置されているので、夜間でも判別できるようになっているという。

 さらに各レーンからの逆走を防ぐラバーポールや、出口を分かりやすく示す看板の設置なども逆走対策の一環だ。

 また、本線との合流部分からUターンして逆走する例もあるとして、合流部分のゼブラ全域にラバーポールを設置。さらにガードレール側にも高輝度の矢印板を設置したほか、路面にも大型の矢印を記している。路面の大型矢印標識については、管内の一部ICでも採用されており、目にしたことがある人も多いだろう。

下総ICの逆走対策
下総ICへ降りるレーンと、上がるレーンを色分けすることで逆走を防止。各レーンの周囲にはラバーポールを立てることで誤ったルートへの侵入を防いでいる
ネット越しで見にくいが、神崎IC方面から下総ICへ降りてきた場合、出口方向を示す大型看板。青い色のレーンを通るべきことが分かるようにもしている
逆に入り口側はオレンジのレーンを通るので、看板の案内もオレンジのルートを示している
合流地点からの逆走を防ぐため、ゼブラ全域にラバーポールを設置。路面の大型矢印標識やガードレールの高輝度矢印板などを設置して対策している
無人料金徴収機を設置
こちらはETCレーン

大栄JCT

 大栄JCTは、東関道の50~51KP(キロポスト)付近で接続している。東京方面から東関道下り線を進んだ場合は、成田IC/JCTを過ぎて、大栄PA(パーキングエリア)を目前に控えたあたりの位置となる。上り線の場合は、逆に大栄PAを過ぎた直後となる。

 なお、現在は東関道から今回の開通区間へと接続するのみだが、今後、圏央道が大栄JCTから南へ延伸する予定となっており、そのための工事も一部進んでいる。

今回開通した大栄JCTの概要
圏央道延伸後の大栄JCTの形
成田/東京方面の眺望
東関道下り線から大栄JCTへの分岐部分
鹿嶋方面の眺望
大栄JCTから東関道下り線への合流部分。ここにも逆走対策で大きな矢印が描かれている
圏央道 下総IC方面から大栄JCTへのアプローチ
分岐部分。直進/右方向が東関道上り線、左方向へ進むと東関道下り線へ繋がる
将来の圏央道南進に向けた工事も進められており、盛り土、建設中の橋脚などがある

本線

 最後に本線を写真で紹介していく。環状道路である圏央道は上り/下りという表現ではなく、内回り/外回りという表現を採る。今回の開通区間で言えば、大栄JCTから神崎IC方面へ進む側が内回りとなる。

 今回はバスに乗っての見学だったため自分の手で運転はしていないが、9.7kmという短い区間ながら微妙な起伏が多く、走行中の速度には特に注意を払う必要がありそうな印象を受ける道だ。

内回り:大栄JCTから神崎ICへ

大栄JCTの東関道上り線側車線を走行中。左側が東関道下り線からの合流
大栄JCTから圏央道へ入ると、まもなく下総ICまで5km、神崎ICまで9kmの案内標識が見えてくる
緩やかな下り坂の先に右への大きなカーブ。このカーブを抜けた少し先、下総ICの手前約2kmの地点から、約3kmに渡る片側2車線区間が始まる
片側2車線区間の途中に下総IC
下総ICから神崎ICまでは3km強。1kmほど進むと片側2車線区間が終わり、片側1車線の対面通行区間となる。合流地点付近は対面通行に関する注意のほか、動物注意や神崎ICまでの案内標識、191KP標識と、妙ににぎやかな場所になっている
片側1車線区間となったあと、S字状のゆるやかなカーブを過ぎると神崎ICは目前
神崎ICの目前に街頭のようなポールが複数本立っている。これは上空を通る高圧線(6万6000V)からの静電誘導防止対策で、高さ1m地点の電界強度を法令で定められた基準値内に抑えるためにアルミニウム製のポールを立てている
神崎ICの出口。既存の外回りからの道と合流し、料金所を経由して利根川沿いの国道356号に接続する
神崎IC付近から、利根川方面の眺め。まだガードレールで通行が制限されている。奥に圏央道 利根川橋も見える

外回り:神崎ICから大栄JCTへ

神崎ICから下総IC方向へ走行する場合、案内標識に成田空港方面のルートが示される
神崎ICから1kmほど走ると片側2車線区間へ
2車線区間に入って間もなく下総ICへと到達する
下総ICの手前約1kmと、通過後約2kmほどが片側2車線区間となる
左車線へ合流し、片側1車線の対面通行区間となる
対面通行区間となってから左へ大きくカーブし、その後で登り坂が続く
坂の途中から大栄JCTの案内標識が出始める。坂を越えたら間もなく大栄JCTにさしかかる

編集部:多和田新也