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麻布台ヒルズに「チームラボボーダレス」2月9日オープン。初公開含む約50作品、摩訶不思議なデジタルアートの世界を先行体験してきた

2024年2月9日 オープン

オープン間近の「チームラボボーダレス」を先行体験してきた。写真はエントランス

 森ビルとチームラボは、「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」(以下、チームラボボーダレス)を2月9日、麻布台ヒルズ内にオープンする。

“境界のないアート群”を鑑賞できる体感型ミュージアムとして2018年6月に東京・お台場にオープンし、麻布台ヒルズへ移転するため2022年8月に閉館した「チームラボボーダレス」。今回、世界初公開を含む約50作品を引っ提げ、進化した「東京・日本のデスティネーション」となって再始動する。

緑あふれる都心の新しい街「麻布台ヒルズ」
チームラボボーダレスは、アート集団「チームラボ」が手掛けるデジタルアートミュージアム

 オープン間近の2月5日には、報道関係者向けに全館内覧会が行なわれた。チームラボボーダレスの特徴は、順路や見方が定められていない「地図のないミュージアム」であるということ。

 部屋から部屋へ、鑑賞者はまるで「境界なく連続する1つの世界」を彷徨うように館内を散策し、光・音・香りなどと連動して“絶え間なく動き続けるアートたち”を自由に楽しめる。

 例えば、高低差のある空間に悠久の里山の風景を描いた「地形の記憶」、季節ごとに移ろい、輪廻する「花と共に生きる動物たち」、光の線とスモークのなかで身体が包み込まれるような「靄の彫刻」など。

 これらのアートは、それ自体が流れるように動き、ほかのアートと複雑に関係したり、ときには混ざり合ったりする。壁も床も天井も境目なく、刻々と変容し続けるため、写真や動画で一場面を切り取っても、再び“同じ見え方”には出会えない。

光と音と香りが目の前に迫りくるような、没入感あふれるデジタルアートを楽しめる
流れ出ていく光によって巨大な彫刻が生まれる「ライトスカルプチャー -Flow」
「ライトスカルプチャー -Flow」は複数の異なる作品群で構成される
花や蝶々など、生誕と死滅を繰り返す生き物や自然をモチーフにした作品たち
部屋から部屋へ、作品の境目がなく、アート自体が絶え間なく動き続ける
同じ場所に立っていても、刻一刻とその見え方が変わっていく
天井を見上げたり、鏡の床をのぞき込んだり、視点を変えると無限に続くような異空間が広がる

 また花鳥風月のさまざまなモチーフは、触れると失われたり増殖したり、歩くとあとをついてくるように渦を描いたりと、鑑賞者が起こすアクションによって反応が変わる仕掛けも多様だ。

「人々のための岩に憑依する滝」
触れたり歩いたり、鑑賞者のアクションによってアートたちはおもしろい動きを見せる

 50以上ある作品のなかでも特に注目したいのは、世界でここでしか鑑賞できないという「Bubble Universe」と「Megalith Crystal Formation」の2作品。

「Bubble Universe」は、展示空間が無数の球体群によって埋め尽くされた作品。それぞれの球体のなかに異なる光の現象が入り混じる様子は、“認知と存在(現象が環境との連続的な関係性の中に存在すること)”を表わすという。

世界初公開「Bubble Universe」
部屋じゅう埋め尽くされた球体のなかに、異なる光の現象が入り混じる

「Megalith Crystal Formation」のほうは、チームラボボーダレスのさまざまな作品群が流れ込んでくる空間になっている。

 そのうちの1つ「花と人 - Megalith Crystal Formation(work in progress)」では、花びらが鑑賞者の動きに反応して誕生と死滅を繰り返す光景に没入できる。

チームラボボーダレスを構成するさまざまな作品群が入り込んでくるという、世界初公開「Megalith Crystal Formation」

 ほかにも、自分で描いた絵が壁一面の水槽のなかで泳ぎだし、作品の一部に加わる「スケッチオーシャン」(世界とつながったお絵描き水族館)では、デジタルアートを鑑賞するだけでなく、生み出す楽しさを遊びながら体験できる。

 作品になった自分の絵は、缶バッチやTシャツなどのオリジナルグッズにして持ち帰ることも。

世界とつながったお絵描き水族館「スケッチオーシャン」
自分で描いた絵が壁一面の水槽のなかで泳ぎだし、作品の一部に加わる
併設の「チームラボ スケッチファクトリー byチームラボボーダレス」でオリジナルグッズを制作・お持ち帰りできる

 また、鑑賞の合間にひと休みできる「ティーハウス」では、メニューの水出し緑茶やアイスクリームまでもがアート。

 お茶の注がれた器のなかにまるで小さな宇宙があるかのように、咲いては散ってを繰り返す花々が投影され、抹茶アイスが盛られたお皿からは、枝葉が伸びて芽吹いていくといった、食とデジタルアートの融合を楽しめる。

鑑賞の合間にひと休みできる「ティーハウス」
お茶が注がれた器のなかに花が浮かぶ。抹茶アイスからは枝葉が伸び、芽吹き始める

 施設を案内してくれたチームラボボーダレス スタッフの大木絵美氏によると、「写真のようにレンズを通して境界線を作ってしまうのではなく、あるいは映画のように身体を固定して決められた視点から観るのではなく、自由に歩きまわりながら、自分の意思を失わずにアートの世界を体感していく場所」。

 交じり合う作品と作品、絶えては生まれる動植物、鑑賞者のアクションによって変容を繰り返す現象。そういった“連続するものの美しさ”をアートで感じてほしいという。

チームラボボーダレス 大木絵美氏
チームラボボーダレスは、“境界のない=連続するもの”の美しさがテーマ

チームラボボーダレス

所在地: 麻布台ヒルズ ガーデンプラザB 地下1階(東京都港区麻布台1-2-4
開館時間: 10時~21時(最終入館は閉館1時間前)
休館日: 第1・3火曜
チケット価格: 大人3800円~、中学・高校生2800円、子供1500円、3歳以下無料
※公式サイトで事前日時指定予約制(現地でチケット購入の場合+200円)
※開館時間・休館日は変更の場合あり