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見た目は自転車! HELLO CYCLINGが2輪座り乗り「電動サイクル」のシェアリングサービス開始。試乗会でちょっとだけ乗ってみた

2024年1月30日 開始

ペダルはあるが、あくまでも足置きの「電動サイクル」

 シェアサイクルプラットフォーム「HELLO CYCLING」を展開するOpenStreetは1月24日、自転車のように座って走行できる「電動サイクル」のシェアリングサービスを1月30日から開始すると発表し、同日報道向けに説明会を行なった。

“ペダルを漕がない”2輪座り乗りタイプのフル電動モビリティで、改正道路交通法の施行によって2023年7月に誕生した新車両区分「特定小型原動機付自転車」に分類される。都心でよく見かける電動キックボードと同じカテゴリーだ。

 15分からの利用で、料金は15分ごとに200円、12時間まで最大4000円。

電動キックボードと同じ区分の「特定小型原付」に分類される「電動サイクル」

 サービス開始当初は、千葉市やさいたま市などの一部地域で200台前後を投入する。以後、提供エリアやステーション数、車両台数を拡大して、2024年におよそ3000台を導入予定だ。

2輪座り乗りタイプの「特定小型原動機付自転車」のシェアリングサービスは国内初

 説明会には代表取締役社長 CEOの工藤智彰氏が登壇し、シェアリングサービス「HELLO CYCLING」や新車両「電動サイクル」の概要などを発表した。

 また、電動サイクルを提供開始予定の千葉市とさいたま市の担当者も来席し、それぞれの自治体での取り組みなどを発表した。

OpenStreet株式会社 代表取締役社長CEO 工藤智彰氏

 工藤社長は冒頭、「今回の発表は、電動キックボードではなく、国内初の着座タイプの特定小型原付をシェアリングするサービスであることが一番のポイント」だと述べ、なぜこの形なのか?というポイントに焦点を当てながら市場背景や車体の説明などを行った。

 また工藤社長は、今回の電動サイクルのシェアリングサービス開始にあたり、千葉市とさいたま市からの展開にした理由として、両市が自転車通行帯の整備計画や方針がしっかりしていることをなどを挙げている。

「HELLO CYCLING」のサービス開始は2016年。会員数はまもなく300万人に達する。スマホで会員登録し、ステーション検索や予約が可能
今までシェアサイクルを提供していたアプリ内で、同じスマートロックが適合している
新車体はglafit株式会社とコンセプトを合わせて共同開発した
今回キックボードではなかった理由として「秩序」と「利便性」を挙げ、電動キックボードはまだ国内の環境に適していないのでは?と考えていると工藤社長
車輪径のサイズや走行時の重心など車体の特徴を説明
千葉市 総合政策局 未来都市戦略部 国家戦略特区推進課 課長補佐 小圷毅一郎氏
京葉線と総武線の路線感の距離があるため、その間を結ぶバス待ちの列が毎朝できるという現状があるという千葉市
さいたま市 都市局 都市計画部 都市総務課 課長 山田匡志氏
市民の外出の頻度が減っているため、近い将来、街がなくなっていってしまうのではないかという危機感を抱いているというさいたま市。街なかに出るための移動手段を充実させるべきと考えていると説明

試乗会に参加して電動サイクルに乗ってみた

車体前方にもあるが、ナンバープレートの上の緑色のライトは「最高速度表示灯」。点灯していたら20km/hの車道モード、点滅していたら6km/hの歩道モード

 前述したとおり、電動サイクルは新しくできた「特定小型原付」という車両区分なので、16歳以上であれば運転免許不要で利用することができる。ヘルメット着用は努力義務だ。制限時速は、車道や自転車専用道は20km、道路標識で通行可能な歩道は6kmとなっている。

 利用前の準備として必要なのは、交通ルールテストの全問正解と年齢確認書類の提出だ。確認書類は「運転免許証」「マイナンバーカード」「在留カード」「パスポート(日本国発行のもの)」のいずれかとなり、すべて「HELLO CYCLING」アプリ上で実施する。

 試乗会が行なわれたのはクルマが走る公道ではなく、竹芝のベイエリアにある広場。実際に乗ってみると、まず走り出し時に少々戸惑ったというのが第一印象。自転車のように座って走行できると頭では分かっていても、バイク経験がほぼゼロな私は“足を置くだけ”というスタイルが新鮮なのだ。スクーターなどに乗り慣れている人なら抵抗ないのかもしれないが、なんというか、やっぱりペダルを漕ぎたくなる。

「走り出しは時速6kmの歩道可モードで」と言われ、右ハンドルのスロットルをひねると、ゆっくりと前進。時速6kmはさすがに慣れると遅いが、一旦停止して時速20km制限の車道モードにしてスロットルを操作すると、一気に寒風を感じる速さになった。ブレーキレバーの操作性はすんなり馴染めた印象。ちなみに歩道可モードと車道専用モードの切り替えは停止しているときしかできない仕様になっている。

実際にこの場所にはステーションはないのだが、この日はイメージとして仮設置

 着座式でふらつき感がなく体重を預けられる安定感は、立って乗るキックボードと比べて大きなメリットだと感じた。走り出しに少々緊張すると先述したが、慣れれば問題ないレベル。

 なおバッテリーの大容量化で航続可能距離は40kmとのこと。およそ東京駅から八王子駅までの距離だ。個人的には、鎌倉や軽井沢などの観光地で利用できたら楽しくて便利なモビリティだと感じた。

アプリで交通ルールテスト(全12問・選択式)を受けて全問正解する必要がある
ナンバープレートの下にあるのが車両番号
アプリ上で開錠する
レバーが上がって開錠された
サドルの高さは変えられる
ディスプレイがある。これは歩道可モード(6km/h)時。Mボタンを押すと車道専用モード(最高速度20km/h)に
街乗りから観光まで、さまざまなシーンで活用できる新モビリティになることを期待したい
千葉市のステーションマップ。2024年1月30日開始
さいたま市のステーションマップ。2024年2月1日~。3月中に浦和駅周辺、5月中に大宮駅周辺に拡大予定