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JR東日本、地震発生時に新幹線をさらに早く緊急停止。早期地震検知システム改良

2023年12月5日 発表

JR東日本は新幹線早期地震検知システムを導入する

 JR東日本は、新幹線の安全運行のために「新幹線早期地震検知システム」を導入し、地震を速やかに検知して列車を緊急停止させる仕組みを構築している。

 今回、鉄道総合技術研究所の研究成果に基づき、地震検知後に地震規模を推定するプロセスを改良。JR東日本研究開発センターによる検証の結果、これまでよりも早く緊急停止することが可能になった。すべての新幹線地震計(計135台)を回収し、2024年3月からの使用開始を予定している。

 新幹線早期地震検知システムは、各地震計で観測された地震動にもとづき、地震計から変電所へ送電を停止させて新幹線を緊急停止するもの。同システムでは、観測される初期微動(P波)と主要動(S波)のそれぞれを用いることにより、緊急停止の早期化と多重化を図っている。

 S波検知ではS波の振幅から列車を緊急停止させる仕組みとしているが、S波よりも早く伝播するP波による検知方法は、観測したP波から地震諸元(震央距離、震央方位、地震規模)を推定し、推定したマグニチュードに応じた緊急停止範囲の新幹線をS波到達前に緊急停止させる。

P波検知の仕組み

 マグニチュードはP波の振幅の大きさに比例することが知られているが、P波全体でもその振幅は時々刻々と変化するため、1秒ごとにマグニチュードを推定。P波の振幅は時間とともに大きくなるのが一般的だが、これまで推定式の係数は時間に関係なく一定としていた。

 今回、推定式の係数を1秒ごとの時間とともに変化させることにより、P波検知1秒後から4秒後の推定精度が今までよりも改善し、実際のマグニチュードにより近い値をより早く推定することが可能となった。

P波によるマグニチュード推定方法の見直し

 2022年3月16日に発生した福島県沖自信を受けて今後の地震対策を検討するなかで、過去3年間のP波検知により緊急停止した13地震において検証した結果、P波検知から送電停止までに要する時間が現行式で平均3.9秒なのに対し、改良式は1.3秒。平均2.6秒短縮できることが分かった。

推定式改良による導入効果