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サイクルモード東京2023に行ってみた(その1)。一生モノのオーダーメイドや110年前のヴィンテージ自転車に出会う!

2023年4月15日~16日 実施

日本最大級のスポーツ自転車フェスティバル「CYCLE MODE TOKYO 2023」が東京ビッグサイトで開催された

 日本最大級のスポーツ自転車フェスティバル「CYCLE MODE TOKYO 2023」が、東京ビッグサイトで4月15日~16日に開催された。

 自転車に最低限の荷物だけを積んで行くアウトドアを感じられるエリアや、スポーツタイプの電動アシスト自転車にフォーカスした「e-BIKE EXPO」ゾーン、メーカーの独自技術を盛り込んだ自転車や周辺装備などが展開される。

ハンドメイド&ヴィンテージバイシクル

 今回、なかでも目を引いたのは、「ハンドメイドバイシクルコレクション」「ヴィンテージBIKEマーケット」と、いずれも特別感を覚える2つのコーナーだった。長年ロードバイクを愛用してきたサイクリストは、最終的に「自分だけの自転車」へと行き着くのかもしれない。各メーカーのブースに、担当者とこだわりの自転車について語り合っている来場者の姿があった。

ヴィンテージBIKEマーケット

 葉山自轉車市場にあったこちらのバイクは、110年前のヴィンテージロードレーサーで、ツール・ド・フランスを走ったもの。チェーンリングにライオンが配されるなど、1910年代を感じる意匠が凝らされている。フレームなどはそのまま、タイヤをつけ替えることで現代まで受け継がれてきた。

110年前のヴィンテージロードレーサー
チェーンリングをライオンが走る

 当時、自転車競技では変速機の使用が禁止されており、認められたのは1937年からだ。選手は工房を訪れて希望を伝え、オーダーや修理の依頼を行なっていた。大量生産されたモデルは誰もが乗りやすいし、自転車業界全体の技術力の高さによりこの上ないモデルが次々と誕生している。これに対し、オーダーメイドの自転車は、ユーザー1人1人の感覚をヒントに、職人とともに作り上げていく一生ものになる。

 ハンドメイドバイクメーカー「ケルビム」は、各個人に合わせたフレームを作るため、フィッティングするための採寸機も開発したそうだ。まず足のつく高さを調整し、どれだけ前傾姿勢がとれるのかを確認しつつ、ハンドルとサドル間などの距離感を決めていく。数値という先入観にとらわれないよう、図面にするまで顧客には目盛りを見せず感覚だけで決めてもらう。

ケルビム「racer」
採寸機

 代表劇なモデルである「racer」は、毎年20台限定で生産される。すべてハンドメイドのため、職人が作業できる数にも限りがある。異なるパーツの間をしっかりと埋め込んだり、ヘッドチューブを湾曲したデザインとしつつも上部と下部の径を同じにしたりと、手作業ならではの作り込みだ。ケルビムのハンドメイドバイクでは、クロモリやチタン、ステンレスといった素材も職人と相談して決めていける。

ヘッドチューブは湾曲しつつも上部と下部の径は同じ
パーツ間をしっかりと埋め込む

「選手以上に、個人の顧客からはこだわりのあるあらゆる要望を投げかけてもらえることが多い」とのこと。たしかに、仕事道具としての一眼レフは、性能や使い方の変化によって新機の導入を検討する。しかし、一生に一度と思って買うフィルムカメラや家族と使うものには相当のこだわりがあるし、その特別な1つに思い出を詰め込んでいきたい。

ほかにもオーダーメイドバイクメーカーの自転車がたくさんあった

自分自身も大切な自転車もしっかり守る周辺装備

4月1日から自転車用ヘルメットの着用が努力義務に

 4月1日から着用が努力義務化されたヘルメットのコーナーは、やはり賑わいを見せていた。ヘルメットや周辺部品を展開する「OGK KABUTO」も出店していたが、改正道路交通法の施行により生産を上回る注文が続いており、納期が数か月かかるものもあるという。

 同ブランドのヘルメットには、スポーツタイプから帽子タイプ、通勤・通学に適したものまで、さまざまなラインアップがある。帽子タイプと一括りにいっても、アウトドアテイストのハットやカジュアルなキャップタイプなど、その日のファッションに合わせて選びたくなるような種類やカラーが豊富だ。公式Webサイトには、自転車用ヘルメットの安全基準認証品リストも掲載されているので、デザインと安全性を両立したい人にお勧めだ。

OGK KABUTO
日常生活で使いやすいデザインのヘルメットが豊富

 頑丈な自転車の装備といえば、サイクリストにとっては鍵の問題も重要だ。特にドイツのセキュリティブランド「ABUS」が、破壊されないサイクルロックを追求していることで知られている。

 会場には、ABUS製品として最高のセキュリティレベルを誇るUロックを、ワイヤーカッターで切断するチャレンジがあった。通常のケーブルロックがあっという間に切れてしまうのに対し、ABUSのUロックは比較的力を加えやすい状況でもまったく動じない。男性担当者にも実演してもらったが、表面に切れ込みのような筋が入るだけで内部まで食い込ませるのは不可能だった。筆者の自転車にもこのUロックをマウントしているのだが、都内の路地裏の駐輪場でも1日程度なら安心して置いておけることが多い。

ABUSのUロック
ワイヤーカッターで力を込めてもまったく動じない
筋が入る程度
かなりの重量だが自転車にマウントしておける

 自転車の鍵には、Uロックやチェーンロック、ケーブルロックなどさまざまな種類がある。それぞれかけやすさや持ち運びやすさが異なり、強さだけを基準に選べるわけではない。ABUSでは、正しいロックの掛け方や駐輪場の選び方も積極的に紹介している。

 また、折りたたみ式のフォールディングロックやアーマードロックを含むあらゆる鍵に「盗難見舞金制度」を提供している。鍵やバイクを購入してから3年間が対象で、ABUSが各製品に設定しているセキュリティレベルごとに金額が異なり、盗難に遭った際は最大12万円を受け取ることが可能だ。ABUSの覚悟と盗難に屈しない姿勢に信頼を寄せているユーザーも多い。

頑丈さが売りのABUSはヘルメットも展開している