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ANA、第3四半期も収益面は黒字計上。旅客需要が回復し純利益は200億円増の600億円に上方修正
2023年2月3日 12:12
- 2023年2月2日 発表
ANAホールディングスは2月2日、2023年3月期 第3四半期決算を発表した。説明を担当したのは、ANAHD 上席執行役員 グループCFOの中堀公博氏、執行役員 広報・コーポレートブランド推進部長の高柳直明氏、グループ経理・財務室財務企画・IR部 決算チーム リーダーの森本浩平氏。
この第3四半期は、国際線・国内線の旅客需要が順調に回復し、売上高の伸びに伴う営業費用は35.8%増に抑えたことにより、第3四半期決算としては営業利益、経常利益、四半期純利益のすべてにおいて前期に続く黒字となった。
売上高は前年同期比70.5%増の1兆2586億円、営業利益は1158億円の赤字から989億円のプラスに転じ、四半期純利益は626億円のプラスとなった。
この結果について中堀氏は「旅客需要の回復が順調だったことが一番大きな要因ではあるが、公租公課の減免措置やジェット燃料の補助金など政府からのサポートを下支えに、全グループ社員が一丸となって増収、コスト削減に努めた結果だと考えている」とコメント。
事業別に見ると、国際線は各国の入国制限の緩和により大きく増加した北米~アジア間の接続需要や日本発のビジネス需要が堅調に推移。
日本においても9月に水際対策が緩和され、10月以降は訪日需要が回復し始めたことなどから、旅客数は前年同期の約5倍である281万人となった。これを受けて旅客収入は2903億円と前年同期比で501.9%増のプラスになっている。
路線ネットワークにおいては、成田発着の北米、アジア路線の増便、羽田発着路線の運航規模の拡大を実施し、日本発の需要や訪日需要を取り込んだ。欧州路線については、ウクライナ情勢の影響を受けるなかでも運航規模を徐々に回復させている。中国路線については、ゼロコロナ政策が続いたことなどから復便が遅れている。
一方、国内線においては、感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けた動きが進み、新型コロナウイルス第8波の影響も限定的に推移するなか需要は着実に増加。10月以降は全国旅行支援によりレジャー需要が喚起されたこともあり、旅客数は88.4%増の2千487万人を計上。この結果、旅客収入は89.9%増の3921億円となり、旅客数・収入ともに前年同期の約1.9倍を計上した。
路線ネットワークにおいては、エンジン改修を終えたボーイング 777型機が全面的に運航可能となったこともあり、週末や連休を中心に機材の大型化や臨時便の設定などを積極的に行なった。また10月からは航空会社の系列を越えて、天草エアラインおよび日本エアコミューターと、福岡~天草線、鹿児島~種子島線などの離島生活路線でコードシェアを開始している。
好調だった国際線貨物は、第2四半期に続き旅客需要の回復に伴う旅客便の復員で貨物専用便が減少。これに加え自動車関連部品の需要減少や海上貨物の混雑緩和が影響し、輸送重量は62万2000トンと前年同期から16.3%下回る結果となっている。
その一方で、大型特殊商材などの高単価貨物や三国間貨物を積極的に取り込んだことから、国際線貨物収入は同7.7%増(184億円増)の2561億円を計上した。
ピーチ(Peach Aviation)のLCC事業は、国内の行動制限や各国の水際対策の緩和に伴い需要が大きく増加。その結果、旅客数は前年同期から92.1%増の561万3000人と大幅に増加し、旅客収入は同152.5%増(375億円増)の620億円となった。
以上から、グループ連結売上は1兆2586億円、営業利益は989億円(2147億円の改善)、純利益は626億円(1654億円の改善)となっている。財務面では営業キャッシュフローは税引前四半期純利益の増加に加えて航空券の販売が増加したことにより3392億円を確保。設備投資の抑制を続けていることから実質フリーキャッシュフローは前年より3668億円増加し、2578億円となっている。
通期業績予想については、第3四半期の利益実績が予想を上回ったことから、第2四半期に発表した修正内容からさらに上方修正している。売上高は前回計画の1兆7000億円から1兆7100億円とし、営業利益は300億円増の950億円、当期純利益は200億円増の600億円を見込んでいる。
今後の旅客需要については「中国路線が制約が残っていることから以前と比べると運航便数は1割にも満たない状況下が続いている」といい、需要が回復したら速やかに増便したい考え。燃油市況も以前より高い水準で推移しているが、そのような状況下でも体制を整えて回復する旅客需要を確実に獲得したい旨を説明した。
2月15日には次期中期経営戦略を発表予定。航空需要の回復が鮮明になりつつあるが、依然として地政学リスクなどは残っている状況。そのなかでも人的資本や航空機への投資、コロナ禍で増加した有利子負債の返済を含めた財務基盤の復元が盛り込まれた内容になるとしている。