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ANA、第2四半期は3年ぶりの黒字転換。航空需要の回復で通期予想は400億円増の売上高1兆7000億円に
2022年11月1日 13:01
- 2022年10月31日 発表
ANAホールディングスは10月31日、2023年3月期 第2四半期決算を発表した。説明を担当したのは、ANAHD 代表取締役社長の芝田浩二氏と上席執行役員 グループCFOの中堀公博氏。
この第2四半期は、引き続き国際線・国内線の旅客需要が順調に回復し、売上高の伸びに伴う営業費用は38.8%増に抑えたことで、第2四半期決算としては営業利益、経常利益、四半期純利益のすべてにおいて2019年度以来となる3年ぶりの黒字となった。
売上高は前年同期比83.4%増の7907億円、営業利益は1160億円の赤字から314億円のプラスに転じ、四半期純利益も195億円のプラスとなった。この結果について芝田社長は「日頃ご愛顧いただいているお客さま、ご支援いただいているホルダーの皆さま、日夜業務に励んでくれている社員のおかげだと思っております。本当に感謝したいところです」と謝辞を述べた。
事業別に見ると、国際線は各国の入国制限の緩和により大きく増加した北米~アジア間の接続需要を取り込み、日本においても9月から水際対策が緩和されたことにより日本発のビジネス需要や駐在員の一時帰国需要の回復基調が一層強まったことから旅客数は前年同期の約5.1倍である166万人となった。これを受けて旅客収入は1614億円と前年同期比で430.9%増のプラスになっている。
一方、国内線においては、行動制限のない環境のもとゴールデンウイークや夏休み期間を中心にレジャー需要が着実に増加。加えてビジネス需要も徐々に回復していることから、旅客数は112.2%増の1515万人。この結果、旅客収入は117%増の2428億円となり、コロナ禍における半期ベースでは過去最高となった。
路線ネットワークにおいては週末や連休分を中心に臨時便を設定するなど、航空需要に合わせた運航規模の調整を実施。6月からはエンジン改修を終えたボーイング 777型機を段階的に運航再開させるなど、需要の取り込みを図った。
好調だった国際線貨物は、旅客需要の回復に伴う旅客便の復便で貨物専用便が減少したのに加え、自動車関連部品の需要減少、海上貨物の混雑緩和が影響し、輸送重量は42万4000 トンと前年同期から10.8%下回る結果となっている。その一方で、大型特殊商材などの高単価貨物を積極的に取り込んだことや収益性の高い北米路線の運航規模拡大に努めたことから、国際線貨物収入は同32.6%増(452億円増)の1835億円を計上した。
ピーチ(Peach Aviation)のLCC事業は、行動制限のない環境下において国内線のレジャーや帰省需要をターゲットにしたプロモーション強化に努めたことにより、旅客数は前年同期から137%増の368万4000人と大幅に増加。旅客収入は同211.7%増(278億円増)の408億円となった。
以上から、グループ連結売上は7907億円、営業利益は314億円(1474億円の改善)、純利益は195億円(1183億円の改善)となっている。 財務面では営業キャッシュフローは税引前四半期純利益の増加に加えて10月以降の予約発券数が順調に推移していることから1909億円を確保。設備投資の抑制を徹底したことなどから実質フリーキャッシュフローは前年より2760億円増加し、1502億円となっている。
通期業績予想については、第2四半期の利益実績が予想を上回ったことから上方修正している。売上高は当初計画の1兆6600億円から1兆7000億円とし、営業利益は150億円増の650億円、当期純利益は190億円増の400億円を見込んでいる。
今後の旅客需要の見通しについては、国内線は第7波の影響はあったものの、10月から始まった全国旅行支援が好評であること、行動制限のない年末年始の需要が見込めることなどから、年度末にはコロナ禍前の水準に戻ると予想している。国際線については、水際対策の緩和により徐々にインバウンドの回復傾向が見られることから、年度末にはコロナ禍前の60%に回復すると見ている。芝田社長は「2023年末には国際線もコロナ禍前に戻ると期待しています」と述べ、「G7はワクチン2回接種か無条件で入国が可能ですので、日本も同様に緩和していただければインバウンドの促進につながると思います」とコメントした。
年度内には次期中期経営戦略を策定して発表する見込みであることも説明した。方向性としては、2023年度から2025年度の短期間でコロナ禍前の水準に戻し、2026年度から成長軌道へ回帰させる。そのため、3年間で収益性の向上と財務基盤の復元を同時に追求して足元を固めるとしている。