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JAL、航空需要の回復で業績は改善傾向に。伸長の見込めるLCC事業にも注力し、23年3月期末での復配を目指す

2022年8月1日 発表

JALが2023年3月期 第1四半期決算を発表した

 JALは8月1日、2023年3月期 第1四半期決算を発表した。説明を担当したのは、代表取締役専務執行役員 財務・経理本部長の菊山英樹氏と、常務執行役員 総務本部長の青木紀将氏。

 売上を事業別に見ると、国際線は各国の入国規制緩和や撤廃による需要の回復、国内線は緊急事態宣言やまん延防止など重点措置の行動制限が全面解除されたことで首都圏発を中心に航空需要が回復した。その結果、フルサービスキャリアの国際線は前年同期比で457%増(512億円増)の624億円。国内旅客は、同131.4%増(499億円増)の880億円を計上した。

 コロナ禍で好調の続く貨物事業は、ロシア・ウクライナ情勢の影響などはあるものの海上輸送の混乱から単価はさらに上昇しており、前年同期比で37.1%増(176億円増)の653億円を計上し、引き続き堅調に推移している。

 このほか、LCC事業(ZIPAIR、スプリング・ジャパン)の売上が今期から加えられて33億円を計上。マイル・ライフ・インフラなどの事業は前年同期比で33.5%増(117億円増)の470億円となっている。

 以上から、売上高は前年同期比で102.1%増(1358億円増)の2688億円となり、航空需要の回復を背景に数字は改善されつつある。EBIT(利払前税引前利益。以前の指標でいう営業利益)は275億円の損失。前年同期の826億円の損失から大きく改善している。純損失は195億円で、前年同期からは384億円改善している。

連結経営成績

 グループの連結財政状況は、有利子負債が9211億円、うち1年以内の返済額は995億円で、総資産は2兆4449億円。自己資本比率は32%(ハイブリッドファイナンスを加味した格付け上の数字は39.2%)となっている。また、航空需要が回復基調に推移したことから、フリーキャッシュフローはコロナ禍以降初のプラスとなる463億円になっている。

 オミクロン株(BA5)の拡大、欧州の地政学リスク、燃油価格や原材料の高騰など不透明な状況が続くものの、航空需要は着実に回復を見せており、2023年3月期通期の連結業績予想に変更はないと説明。今後も売上の伸長が見込めるLCC事業(ZIPAIR、スプリング・ジャパン、ジェットスター・ジャパン)、「楽天ポイント」とのマイルの相互交換を開始したマイル・ライフ・インフラ事業も軌道に乗りつつあるとのことで、フルサービスキャリア以外の事業分野にも引き続き注力していく。業績やキャッシュフローの状況は回復しつつあるものの、当第1四半期のEBITは▲275億円と依然損失を計上している上、今後の業績を見きわめる必要があることから今期の中間配当は無配となるが、2023年3月期末での復配を目指すと説明した。

主要営業費用項目
連結財政状態・キャッシュフロー