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JAL、第2四半期単独で2019年度第3四半期以来の黒字。期末での復配目指す
450億円の業績予想は変更なし
2022年11月2日 15:33
- 2022年11月1日 発表
JALは11月1日、2023年度3月期の第2四半期のグループ連結決算を発表した。説明したのは、代表取締役専務執行役員 財務・経理本部長の菊山英樹氏と、常務執行役員 総務本部長の青木紀将氏。
売上を事業別に見ると、国際線は各国の入国規制緩和や撤廃による需要の回復や北米~アジア方面における通過需要が堅調に推移。国内線はゴールデンウイークや夏休みを中心に力強い回復傾向が見られたが、第7波の影響もあり、回復のスピードは一時的に鈍化した。その結果、フルサービスキャリアの国際線旅客収入は前年同期比で460.3%増(1341億円増)の1632億円。国内線旅客収入は、同132.5%増(1189億円増)の2086億円を計上した。
コロナ禍においても好調な貨物事業は、日本発の取扱量に減少傾向が見られるもののブランド力で健闘しているとし、利益率は高い水準を維持していることから、前年同期比で28.3%増(278億円増)の1262億円を計上し、好調であることに変わりはない。
このほか、LCC事業(ZIPAIR、スプリング・ジャパン)については、中長距離路線を担うZIPAIRは想定以上に売上を伸ばしており、菊山氏は「日本で唯一の中長距離LCCというビジネスモデルについては、成功への確信を深めている」と説明。
一方、ゼロコロナ政策が続く中国方面への運休・減便が続くスプリング・ジャパンについては厳しい状況が続いている。その結果、LCC事業の収入は115億円となっている。マイル・ライフ・インフラなどの事業は前年同期比で43%増(303億円増)の1010億円を計上している。
以上から、売上高は前年同期比で112.8%増(3278億円増)の6185億円となり、航空需要の回復を背景に数字はコロナ禍前の水準に近づきつつある。EBIT(利払前税引前利益。以前の指標でいう営業利益)は3億円とプラスに転じた。純損失は21億円で、前年同期からは1028億円改善している。第2四半期単独ではEBITは279億円、純利益は174億円となり、2019年度第3四半期以来の四半期ベースで黒字となった。
営業費用の主要項目については、ウクライナ情勢や円安によって燃油費は大幅に上昇しているとし、1548億円を計上している。一方、運航規模や旅客数などによる変動的要素や事業構造改革に伴う一時的な費用を除いた実質固定費は、通期で5000億円という規模に収まるようコストマネジメントに努めた結果、2446億円にとどめているという。
グループの連結財政状況は、有利子負債が9238億円、うち1年以内の返済額は1081億円で、総資産は2兆4485億円。自己資本比率は31.9%(ハイブリッドファイナンスを加味した格付け上の数字は39%)となっている。また、航空需要が回復基調にあることから、フリーキャッシュフローは677億円になっている。
2023年3月期通期の連結業績予想については、EBITは800億円、純利益は450億円と発表している数値から変更はないものの、燃油価格の高騰や円安の影響からそれ以外の項目については見直しをしている。
燃油価格については期初予想のシンガポール・ケロシンを1バレル120ドルから125ドルで想定し、為替については期初予想の1ドル120円を145円として計画を修正。旅客需要については、好調な国際線は上振れを予想し、第7波の影響があった国内線については第2四半期の落ち込みを織り込んでいる。しかし、全国旅行支援の効果もあり、10月からの予約状況は好調に推移しているとのこと。
配当については期末の実施に向けて最大限の努力を継続し、菊山氏は「今後の経営環境を見極めたうえで状況がより見通せるようになった段階ですみやかに発表させていただきたい」と説明した。