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フランスから観光ミッション団来日。美食の地・ブルゴーニュの名産ワインやコンテチーズ、手ごろな宿泊料金をアピール

2022年11月10日 実施

ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地域圏から観光ミッション団が来日し、日本向けに誘客をPR

 11月10日、フランスからブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地域圏の観光ミッション団が来日し、都内でセミナーと旅行誌向けの合同インタビューを開催した。新型コロナ流行後に同地方の観光ミッション団がフランス国外に出るのは今回が初めて。

ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地域圏 議長のマリー=ギット・デュフェ氏

 ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地域圏 議長のマリー=ギット・デュフェ氏は「先陣を切って日本にプロモーションに来た」と語り、日本との関係の重要性を強調。観光業界に加え経済界とも協力し、日本市場の開発に取り組む姿勢を示した。

 ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地域圏はフランス北東部にある、ブルゴーニュ、ジュラ山脈、ヴォージュ山脈という3つのディスティネーションから成り立つ地域圏。域内には8か所の世界遺産に登録されたスポットがあるほか、ミシュランの星付きレストランが38軒、ワイン街道が6本あり、美食の地方としても名高い。

フランス北東部にあるブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地域圏

 デュフェ氏は「我々は日本人の好みにぴったり合い、日本人が希望することを叶えられる地方であると確信している」とアピール。テーマとして「美食(ガストロノミー)」をあげ、ブルゴーニュワインやジュラワイン、コンテチーズ、ブレス鶏、マスタードといった名産品や、ワイナリーやチーズ工房などの見学、フランス料理の巨匠である故ベルナール・ロワゾーから受け継がれた美食を味わえるホテル「ルレ・ベルナール・ロワゾー」などの魅力を訴えた。

 また同氏は、サイクリングルートとグリーンルートが延べ1350kmあり、トレッキングルートは2万kmにおよぶことを説明。「ハイキングやスキー、サイクリングなど、年間を通じて自然をゆったりと楽しむアクティビティを楽しんでもらいたい」と語るとともに「日本人は広々とした自然が好き。アクティビティを楽しむにはブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地域圏が最適」とアピールした。

ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地方観光局 局長のソフィー・オリエ=ドマ氏

 続いてブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地方観光局 局長のソフィー・オリエ=ドマ氏は「日本はアジアのなかでも重要な市場。日本人には昔から年間を通じて訪問していただいており、コロナ後はまず日本に来て我々の魅力を伝えたかった」と語った。

 2019年の日本人訪問数は1万6000人で、コロナ前はリピーターを中心に徐々に増加傾向にあったという。同氏は「最初はパリからの日帰りだが、我々の地方を気に入った方に宿泊してもらえるようになり、次にアクティビティを楽しんでもらえるようになる」と語り、引き続きリピーターの獲得に取り組む方針を説明。語学留学需要も視野に入れて旅行会社と協力し、同地方を訪れる商品の増加を目指す考えを示した。

 このほかセミナーでは、フランス観光開発機構 広報担当の増田真由美氏が地方内の名所をツアー形式で紹介。ヴェズレーのバシリカ大聖堂(サント=マドレーヌ大聖堂)やフォントネー修道院、アル・ケ・スナン王立製塩所、ブザンソンの城塞といった世界遺産のほか、同地方で楽しめる美食をアピールした。

ヴェズレーのバシリカ大聖堂やブザンソンの城塞など観光スポットが点在

 ベルナール・ロワゾーから受け継ぐ料理を楽しめる美食スポットとしては、ホテル「ルレ・ベルナール・ロワゾー」やグループが運営するレストランがあり、2023年にはブザンソンの町内にビストロの「ロワゾー・デュ・タン」が開業することを紹介。

 またブルゴーニュ公国の首都として栄えたディジョンは「美食の渓谷観光ルートの玄関口」であるとし、マスタード作り体験や周辺のワイナリー巡り、2022年6月に開業したばかりの「ディジョン美食・ワイン国際博物館」があるとアピールした。

 博物館は年間100万人が訪れる見込みで、2023年中には周辺に国際ブランドのホテルが3軒開業する予定という。

巨匠の味を受け継ぐホテル「ルレ・ベルナール・ロワゾー」とレストラン
2023年には新店舗のビストロ「ロワゾー・デュ・タン」もオープン
旧ブルゴーニュ公国の首都ディジョンでは、2022年6月に「ディジョン美食・ワイン国際博物館」が開業。マスタード作り体験やワイナリー見学できる施設も

 ワインの楽しみ方としては、ブルゴーニュワイン街道やジュラワイン街道、グランクリュ街道でのワインツアーを提案。350以上のワイナリーが試飲を受け入れてくれるといい、クルマでの移動に加え徒歩や自転車、運河クルーズなども可能という。このほか、2023年春には「ワインとクリマ博物館」として、ボーヌとシャブリ、マコンに3つの博物館が開業する予定だ。

世界随一のワイン産地として知られるブルゴーニュ。ジュラワイン街道やグランクリュ街道などを有する

 増田氏はさらに、生化学・細菌学者のルイ・パスツール生誕地のドールやジュラ山脈一帯の名産コンテチーズで知られるポリニー、2021年にリニューアルオープンした「コンテ博物館」なども紹介した。

ジュラ山脈一帯の名産であるコンテチーズ

 インタビューに応じたドマ氏は、世界的な物価高で宿泊料金が値上がりする傾向にあるなか、ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地域圏として宿泊料金を値上げしないよう各施設に呼びかけていることを説明。現状は2019年と比べると宿泊料金にはほぼ変わりがない状態という。

 また今後フランスでは、2023年にラグビーワールドカップ、2024年夏にパリオリンピックが控えているが、こうしたイベント需要の際にも宿泊料金が値上がりしないよう取り組む考え。「(宿泊料金を保つことは)新規顧客を獲得できるというメリットがある。強制はできないが、値上げについてはホテルと相談していきたい」と説明した。値上がりしたとしても、宿泊料金の高騰が予想されるパリよりは安くなる見通しだという。

インタビューの様子

 さらにドマ氏は、ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地域圏のアクセシビリティについてもアピール。例えばパリのリヨン駅からディジョンまではTGVで1時間30分強で、シャルルドゴール空港からの直通TGVも1日5~6本が運行中。「我々の地方はパリ郊外よりも治安面でアドバンテージを持っている」と強調し、イベントに伴う新規顧客の取り込みを目指すため、宿泊費を値上げせずキープしたい考えを改めて説明した。

インタビュー後のフォトセッション。ミシュラン星付きシェフのロミュアル・ファスネ氏らとコンテチーズの実物大模型を紹介