ニュース

海外で新型コロナ陽性になったらどうする? 帰国困難状態を解消する「領事レター」取得手続きまでの道のりを紹介

2022年8月 現在

ハワイでPCR検査が陽性になったら無症状でも領事館へ連絡を

 今、日本でも猛威を振るっている新型コロナウイルスのオミクロン株(BA.5)。新聞やテレビでも伝えられているとおり感染力が強く、思い当たる節がなくてもいつの間にか感染しているケースは非常に多い。

 筆者も先日初めて新型コロナに感染してしまった。しかし症状はまったくなく、それが判明したのは取材先のハワイ島。帰国するために行なったPCR検査で判明したものだからさぁ大変! そこで以前本誌で掲載された「海外でコロナ陽性に。でも旅行保険とHISの現地サポートで安心・前向きに過ごせた!」の記事を参考に、ホテルでの隔離生活をすることに。

 もしハワイで新型コロナに感染し、無症状でも陽性が続く場合はどう対応するべきか。本稿ではそのような状況における、帰国までの体験談をお伝えする。

渡航前の検査キットによるテストでは陰性。しかし帰国前のPCR検査では陽性判定に。陽性を宣告されるとかなり焦って落ち込むが、帰国に向けてやるべきことは多い。症状がなければ、早々に手を打っておきたい

 アメリカでは6月12日、今まで入国する際に義務付けていた「陰性証明書の提示」をCDC(アメリカ疾病対策センター)が撤廃することを発表。そのおかけで、ハワイなどへの渡航は以前よりもハードルが下がっている。とはいえ8月現在、日本へ帰国する際は「72時間以内の検査結果による陰性証明書の提示」は依然必要とされているため、現地で検査を受けることになるわけだ。

 ちなみにハワイでは現在、症状の有無に関係なく陽性が確認されたらホテルなどで5日間隔離するよう指示される。筆者の場合はPCR検査を受けた施設から「直ちにホテルで隔離してください」と連絡が入り、陽性証明書とともに隔離期間を明示された。

 ここでポイントになるのが「領事レター」の発行を視野に入れることだ。オミクロン株は体内にとどまる傾向が強く、無症状で隔離期間が明けて他人に感染させる危険性が低くなったとしても、陽性反応が出ることが多いそうだ。

 そうなると「陰性証明書が取得できない」→「飛行機に乗れない」→「陰性になるまで帰国できない」という、非情な展開が待ち受けることになる。このような絶望の淵に叩き込まれた渡航者を救済するのが「領事レター」。簡潔にいうと「陽性者だけど、この人は飛行機に乗せて帰国させても大丈夫だよ」という領事のお墨付き。もちろん、発行してもらうためにはいくつかの段取りがあるので、筆者が体験した流れを紹介しよう。

「領事レター」を念頭に領事館にも連絡を入れる

 旅行代理店への連絡、ホテルに延泊の連絡、保険会社への連絡などと同じように、在ホノルル日本国総領事館にも電話で連絡する。「帰国前のPCR検査で陽性が出て、領事レターについて聞きたい」と伝えれば担当者に代わってくれる。

 担当者からは、名前と宿泊先のホテル、陽性認定された日などを聞かれるので答える。そしてメールアドレスを聞かれるので、しっかりと伝えよう。折り返しこちらに領事レターについての申請方法がメールで届く手はずだ。

 そして届いたメールには「隔離明け後の検査証明書(要・厚生労働省フォーマット)」「医師の回復証明書」「パスポートのコピー」「フライトインフォメーション(eチケット、フライト日、出発空港、会社名、便名など)」の4つの資料と情報を添えて、専用のメールアドレス宛に申請してくださいと記載されているので、それらを集めることになる。

 検査証明書は厚生労働省フォーマットが必要である点も重要だ。注意したいのは、領事館の窓口は平日9時~11時/13時~15時ということ。そして、申請後「2営業日以内に発行」と限られていることだ。

 筆者は、無症状で再度陽性が出た際には申請後の次の日のフライトで帰国したい旨を伝えたが、「現在は旅行者が増えて申請が多くなっており、申請書類に不備がなくスムーズにいった場合でも申請の次の日のフライトまでに間に合うかは確約できません」との返答。帰国のフライトを予約する際も注意が必要だ。

在ホノルル日本国総領事館のWebサイトに詳細が記載されている

領事レターはプリントしておく

 隔離明け後、筆者は幸運なことにまったくの無症状だった(ストレスによる精神の不調は別として)。しかし再度のPCR検査にチャレンジするも、クリニックスタッフの予想とおりでまたもや陽性判定が下る。

 落ち込んでもいられないので、すぐさま前述の陽性証明書、回復証明書、パスポートをデジカメで撮影し(スマホでもOK)、合計10MBを超えないように画像ファイルを用意する。帰国便のフライトインフォメーションを添えて、領事館の担当者にメールで申請した。

 その後、書類に不備がなく、領事館で承認されるとメールで「領事レター」がPDFファイルで送られてくる。メールには「PDFを印刷して航空会社の窓口で提示してください」とあるのでホテルの受付で頼むか、併設されていればビジネスセンターで印刷して用意しておく。

 利用する航空会社へはフライト前に領事館から連絡が行くので、申請後に変更した場合は、再度領事館にその旨を伝える必要がある。

 そして帰国するために必要となる、厚生労働省・入国者健康確認センターの「MySOSアプリ」(もしくは「MySOS Web」)を使ったファストトラックに情報を入力していくが、「出国前72時間以内の検査証明書」については「無」で登録する。ワクチンは3回接種しているが、出国前72時間以内の検査証明書がないので画面は「黄色」で表示される。

領事館から領事レターが届いたら印刷しておく
筆者はホテルのPCとプリンターが設置されたビジネスセンターを利用
「MySOSアプリ」は黄色画面で登録された

到着後の検疫では、領事レターと回復証明書をすぐ出せるように

 帰国便搭乗の際は、チェックインカウンターで取得した「領事レター」を見せて、搭乗手続きを行なう。スタッフが領事レターを確認し、あとは通常のチェックインと同じで時間もかからずに終わった。

 空港に到着したら、スタッフの指示通りに「MySOS」の画面を提示。筆者は黄色なので、緑と同様に検疫検査を受けずに済む「青色のカード」が渡される。検疫官にはMySOSの「QRコード」が表示された画面を提示。すると出国前72時間以内の検査証明書の提示を求められるので、領事レターを代わりに提出する。一緒に「回復証明書」の提示も求められたので、こちらもすぐさま取り出せるように事前に準備しておくのがよい。

 以上の確認が終われば、入国審査、手荷物の受け取り、税関手続きを経て、無事帰国だ。

ワクチンを3回接種しているので青色カードを渡される
無事に成田空港に到着!

 このように、渡航先で感染が発覚してしまった場合はすぐに領事レターの発行手続きを申請できるようにしておきたい。不幸中の幸いでもし症状が出なくても、隔離明け後に陽性判定が出ることは多々ある。むしろ、陰性になる場合のほうが少ないという。

 陽性になれば連絡を受けたときのショックは大きいが、すぐさま帰国に向けた行動ができるよう、この経験が少しでも参考になれば幸いだ。