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ANA、第1四半期は10四半期ぶりの黒字に転換。第7波の影響はあるが、通期黒字化の業績予想は変更なし

2022年8月1日 発表

ANAが2023年3月期 第1四半期決算を発表した

 ANAホールディングスは8月1日、2023年3月期 第1四半期決算を発表した。説明を担当したのは、ANAHD 上席執行役員 グループCFOの中堀公博氏。

 この第1四半期は、国際線・国内線の旅客需要が順調に回復したのと貨物需要が好調に推移したことから、10四半期ぶりに黒字に転換した。航空需要は国内線を中心に回復基調にあることから旅客収入が増加。加えて、貨物需要も引き続き好調に推移している。また、固定費削減に取り組んでいる効果もあり、売上増に対する費用の抑制効果が表われていることなどから、今回の発表となった。

連結経営成績

 事業別に見ると、国際線は各国がウィズコロナ路線にシフトしつつあり、入国規制の緩和などによる需要回復を受け、座席利用率がコロナ前の水準に迫る70.7%まで回復。駐在員の一時帰国需要や日本発のビジネス需要が回復し始めたことに加え、大きく増加した北米~アジア間の乗り継ぎによる接続需要を取り込んだことなどにより、旅客数は前年から421.3%増の68万4000人となり、これを受けて旅客収入は622億円と前年同期比で379.9%増のプラスになっている。なお、乗り継ぎ需要は国際線の半分を占めているとのことだ。

 一方、国内線においては、第1四半期としては3年ぶりに緊急事態宣言の発令やまん延防止など重点措置の適用がない環境下においてレジャー需要が着実に増加。加えてビジネス需要についても徐々に回復していることなどから、旅客数は前年比105.3%増の656万9000人を計上。この結果、旅客収入は103.3%増の1020億円と前年同期を大幅に上回り、コロナ禍において四半期ベースでは最高値を記録した。

国際線旅客
国内線旅客

 コロナ禍にあっても好調な国際貨物であったが、ウクライナ情勢の影響により欧州路線の一部で運休が続いたほか、自動車部品などの需要が減少したことから輸送重量は21万5000トンと前年同期から7.4%下回る結果となっている。その一方で、海上輸送混雑の影響が継続していること、収益性の高い北米路線の運航規模拡大や大型特殊商材などの高単価貨物の取り込みに注力した結果、国際線貨物の重量単価は前年の1.5倍となり、国際線貨物収入は同43.5%増(287億円増)の947億円を計上した。

 ピーチ(Peach Aviation)のLCC事業は、ANAからの移管便も含めたネットワークを活用し、国内線のレジャーや帰省需要をターゲットにしたプロモーションの強化に努めたことにより、旅客数は前年同期から241.8%増の170万2000人と大幅に増加。旅客収入は同291.1%増(116億円増)の155億円。

貨物
LCC事業

 以上から、グループ連結売上は3504億円、営業損失は13億円(632億円の改善)、純損益は10億円(521億円の改善)となっている。財務面では営業キャッシュフローは1589億円増の1189億円を確保し、コロナ禍前の水準に近い数字を計上している。

 第2四半期の見通しについては、目下オミクロン株(BA5)の急速な拡大により国内線の予約に鈍化傾向が見られるので若干の下振れを予想しているが、国際線は想定以上に推移すると見ている。また、国際線貨物は重量面は想定どおりであるが、収益は予想を上回るであろうとのこと。このことから、第2四半期の見通しについては、通期業績予想どおりで変更はないとし、今期は黒字化を達成する計画であると説明した。

連結財政状態・キャッシュフロー
通期見通し