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タイ、最新の入国プロセスをケース別に紹介。ワクチン接種済みなら検査なしで自由に観光できる「タイランド・パス」登録方法とは?
「Free to Go」の受け入れ継続
2022年6月17日 07:00
- 2022年6月16日 実施
タイ国政府観光庁は6月16日、現地の最新情報を業界向けに発信する「タイランドアップデート」を実施した。説明を行なったのは、タイ国政府観光庁 本部 日本市場担当の鹿野健太郎氏。
タイ政府 COVID-19 対策本部の発表によると、現在タイ国内の新型コロナウイルス新規感染者数は1日あたり2000人前後、死亡者数は10~20人台で推移しており、日によって多少の増減はありつつも直近1週間の平均値でみると緩やかな減少傾向にあるという。またワクチン接種についても約42%が3回目の接種を完了し、約76%が2回目の接種を済ませている。特に「バンコクなどの都市部では、企業や機関に所属している人を中心に4回、もしくは5回接種している人が大半を占めている」と鹿野氏は説明した(約1か月前に行なった報告では1日あたりの新規感染者数3000~5000人、死亡者数は30~50人台で推移し、3回目のワクチン接種率は約39%であった)。
これまでの推移を振り返ると、2月ころから急激に拡大したオミクロン株の感染の波は徐々に収束へ向かいつつある。国内ではすでにバーなどのナイトスポットも営業再開をはじめており、朝夕の渋滞もコロナ禍前の80%ほどまでには戻っている様子が見受けられるという。
続いてタイの入国者数について状況を明かした。前回の記事(「タイ、ワクチン接種済みなら渡航前後の検査不要に。最新の入国プロセスをケース別に紹介」)でも取り上げたように、2021年7月~2022年4月までの入国者受入方針であった「Sand box」や「Test&Go」はいずれも廃止され、現在は検査や隔離検疫なしで自由にタイを旅行できる「Free to Go」が導入されいる。
こうした取り組みのなかで、観光客数も回復基調にあるという。特に「Free to Go」によって入国後の検査と隔離検疫がともに免除された5月からは入国者が急増し、ここ1か月のあいだに47万人を超える旅行者がタイを訪れた。今後は「航空便が復便し、飛行機の座席制限や各国政府による入国者制限が緩和されていくにつれて近いうちに1か月あたり100万人を超える渡航者をお迎えできるのではないか」と期待感を示した。
次に鹿野氏は、タイ入国方法について最新のプロセスを解説した。現在タイへ入国する際は渡航予定日までに「タイランド・パス」に登録する必要がある。現在この「タイランド・パス」審査にはAIが導入され、迅速化が実現している。これまで最長48時間かかったものが、登録を完了すると即時もしくは遅くとも2時間以内にQRコードが発行される。このQRコードは空港のチェックインカウンターやタイの入国審査時に提示が求められる。
実は7月~8月にこの「タイランド・パス」そのものを廃止するという案が今国内で提起されているそう。しかしタイ政府が国内外の感染状況を慎重に見極め判断し、正式な発表を行なうまでは、このパスが渡航者の安全性を担保する唯一の手段。そのためこれからタイへ渡航する際には確実に事前登録をしていただきたいという。
タイの最新入国プロセス(2022年6月~)
この「タイランド・パス」登録専用Webサイトは、タイ語と英語のみで案内されているため注意が必要。また、各自治体の発行するワクチン接種証明書と1万ドル以上の治療費を保障する旅行保険の英文表記された証書の画像をアップロードする必要があり、多少の手間がかかるのも否めない。しかしながら、登録は代理申請も可能なので、旅行会社の代行サービスなどをうまく活用してほしいという。
なお「タイランド・パス」登録時は、申請者の満たす条件によって手続きが異なるとのこと。下記に代表的なケースを6つ挙げていく。
ワクチン未接種(未完了)の場合
ワクチン接種を1回も受けていない、もしくは必要回数を満たしていない人については、渡航予定日の72時間以内にPCR検査または医療機関での抗原検査(ATK)の陰性証明のどちらかが必要となる。この検査後に陰性証明書を「タイランド・パス」に添付して登録すれば、ワクチン接種を完了した人と同じように自由な旅行ができる。なお、6月1日以降、PCR検査を受けていない場合のAQ指定ホテルでの隔離検疫付きの入国制度は廃止されている。
18歳未満で保護者同伴の場合
18歳未満の子供が保護者同伴で渡航する場合は、ワクチン接種証明書を提示する必要はない。保護者と同じ条件を満たしたものとして入国できる。ただし旅行保険への個人の加入は引き続き求められる。
5歳~17歳が単独で行動する場合
5歳~17歳の子供が保護者なしで行動する場合、ワクチンを少なくとも1回以上接種していれば接種を完了した大人同様とみなされ、単独で渡航することができる。ただし、ワクチンを1回も接種していない子供の場合はワクチン接種を完了していない大人と同様に渡航前72時間以内のPCR検査、もしくは医療機関での抗原検査(ATK)で陰性証明書を取得したうえで「タイランド・パス」に登録する必要がある。
感染歴がある場合(感染後3か月以内の渡航)
感染が判明した日から14日以内の渡航は許可されていない。そのうえで、感染後3か月以内にタイへ渡航する場合は、医療機関発行の医師の直筆サインが入った英文の治癒証明書と健康診断書を用意する必要がある。
なお一般的に感染後は症状が治まってもPCR検査の陽性反応が数か月持続する可能性がある。そのため渡航後にタイ国内で検査を受けて万が一陽性となった場合は、この用意した書類が療養期間をすでに終えていることの証明になる。したがって渡航後は常に手元に用意しておくのがベター。また、旅行中に陽性となった場合に関しては、治癒証明書と健康診断書、およびその時点の本人の症状を踏まえた総合的な判断で、タイの医療機関や疾病管理局側が措置を取ることになっている。
感染歴がある場合(感染後3か月以上経過してからの渡航)
感染前にすでにワクチン接種を完了していれば条件を満たしたものみなされる。また感染前にワクチン接種を受けていなくても、感染後に少なくとも1回以上受けていれば接種は完了したものとみなされる。
以上が、詳しい受け入れ条件だ。タイ入国に関する最新情報は引き続き、タイ国政府観光庁の本庁ニュースサイトに随時掲載していくとのこと。
なお、航空会社によっては搭乗条件としてPCR検査等が必要になる場合もあるので、念のため利用する航空会社に事前確認をお勧めする。また、タイから日本へ帰国する際に求められる日本国側の入国条件(たとえばPCR検査が必要かどうか、日本政府が指定してるワクチン接種証明書ものはどのようなものかなど)についても、あらかじめ確認しておきたい。
タイの入国者数について世界の主要国別にみてみると、インド、シンガポール、マレーシアからの観光客数が回復傾向にあると見受けられる。次いでアメリカ、イギリス、オーストラリアからの観光客も比較的高い数字で推移しているという。一方で、日本人の入国者数は1か月あたり約1万1000人程度に留まっている。これは日本帰国時にPCR検査で陰性証明することが必須条件であり、さらに日本の受入者数1日2万人という制限が設けられていることによって、航空便の復航に歯止めがかかっている状況が理由として挙げられる。
こうしたなか、タイ国政府観光庁では2022年内に30万人、そして2023年には約120万人の日本人観光客受け入れを目標に掲げ、観光誘客への取り組みを行なっているという。鹿野氏は「国の事情や政府の判断を尊重しているものの、本音のところでは今後日本側の各種規制が緩和されていくことを大きく期待している」と話し、「これから夏休みに向けて日本でのリアルイベントも徐々に再開するなどしてアピールを図っていきたい」と前向きな姿勢を示した。