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タイ、ワクチン接種済みなら渡航前後の検査不要に。最新の入国プロセスをケース別に紹介
5月から「Free to Go」導入で自由な観光始まる
2022年5月23日 11:30
- 2022年5月19日 実施
タイ国政府観光庁は5月19日、現地の最新情報を業界向けに発信する「タイランドアップデート」を開催した。説明を行なったのは、タイ国政府観光庁 本部 日本市場担当の鹿野健太郎氏。
タイ政府 COVID-19対策本部の統計によれば、タイ国内の新型コロナウイルス感染状況は、全国1日あたりの新規感染者が3000~5000人、死亡者数は30~50人台で推移しており、いずれも減少傾向にあるという。またワクチン接種についても約39%が3回目の接種を完了しており、約75%が2回目の接種を済ませている。これによって重症者・死亡者が一定数に抑えられているのではないかと説明した。
これまでの推移を振り返ると、2月ころから急激に拡大したオミクロン株の感染の波はすでに峠を越えたと言える状況であり、国内では今後いかに“With コロナ”の日常生活を取り戻すかという課題への取り組みが進んでいるという。
鹿野氏は、タイの観光客受け入れ再開についてこれまでの経緯を改めて振り返った。まず2021年7月から、プーケットなど一部のリゾート地で「Sand box」と称して試験的に観光客受け入れを再開した。続く11月からは「Test&Go」などを導入し、ワクチン接種と出国前および到着時のPCR検査陰性を条件に、隔離を免除した観光客の受け入れを開始した。そしてこの5月からは、これまでの「Sand box」や「Test&Go」はすべて廃止され、ワクチン接種者については検査なしで自由にタイを旅行できる「Free to Go」を導入している。
こうした取り組みのもと、観光客数も順調に伸び始めているという。特に、検査・隔離ともに免除された5月からは入国者数が急増しており、最初の10日間(5月1日~10日)のみですでに13万人以上におよぶ人がタイを訪れた。5月中には、ここから約3倍の40万人を超える入国者数が見込めるのではないかと推測している(※2019年の外国人入国者数は過去最高で、1か月あたり約330万人だった)。
これを示すように、タイの玄関口であるバンコク・スワンナプーム国際空港でも5月から多くの利用客が戻り始めているという。
次に鹿野氏は、今後のタイ入国ついて詳しいプロセスを解説した。現在タイへ入国する際は、渡航予定日の48時間前までに「タイランド・パス」に登録する必要がある。そして、登録完了後に発行されるQRコードは、空港のチェックインカウンターや入国審査時に提示が求められる。
タイの最新入国プロセス(2022年5月~)
この「タイランド・パス」登録専用Webサイトは、タイ語と英語のみで案内されているため注意が必要。また、各自治体の発行するワクチン接種証明書と、1万ドル以上の治療費を保障する旅行保険の英文表記された証書の画像をアップロードする必要があり、多少の手間がかかるのも否めない。しかしながら、登録は代理申請も可能なので、旅行会社の代行サービスなどをうまく活用してほしいという。
なお、「タイランド・パス」登録時は、申請者の満たす条件によって隔離検疫の有無が決定するとのこと。下記に代表的なケースを挙げていく。
ワクチン接種を完了している場合
渡航日の14日前までにワクチン接種を必要回数受けていて、接種証明書も持っている人は、渡航前・渡航後のPCR検査がすべて免除となる。事前の宿泊予約確認証も必要ない。ただし、航空会社によっては搭乗の条件としてPCR検査が必要になる場合もあるので、念のため利用する航空会社に事前確認をおすすめする。
ワクチン未接種(未完了)で、PCR検査が陰性の場合
ワクチン接種を必要回数受けていない、もしくは1度もワクチンを接種していない人についても、ワクチン接種完了者と同様に隔離検疫なしの旅行が可能となる。渡航予定日前の72時間以内にPCR検査陰性の証明ができ、なおかつ検査後に「タイランド・パス」への登録が必要。
ワクチン未接種(未完了)で、PCR検査をも受けていない場合
ワクチン接種を必要回数受けていない、もしくは一度もワクチンを接種していない、さらにPCR検査も受けていない(または受けられない)人についても、タイ入国そのものは可能となっている。ただし、タイ政府指定のAQホテル(代替隔離施設)での5日間の隔離が求められる。
そして「タイランド・パス」登録時には、旅行保険の証書に加えてAQホテルでの5泊分の予約確認証が必要となっている。この予約確認書には、片道の空港送迎料金と入国4~5日に行なうPCR検査1回分の費用が含まれる旨が明記されている必要がある。
18歳未満の入国者や、感染歴を持っている入国者の場合
11歳以下の場合、ワクチン接種証明書を提示する必要はない。ただし保護者と一緒に渡航するという条件が設けられている。12~17歳は、ワクチンを少なくとも1回受けていれば大人と同様に接種を完了したとみなされ、保護者なしで渡航できる。ただしワクチンを一度も接種していない場合は、11歳以下の子供と同様、保護者とともに渡航する必要がある。
感染歴がある場合(感染後3か月以内の渡航)
感染が判明した日から14日以上経過していなければならない。そのうえで、感染後の3か月以内にタイに渡航する場合は、医療機関発行の医師の直筆サインが入ったの英文の治癒証明書と健康診断書を用意する必要がある。
なお感染後は症状が治まってもPCR検査の陽性反応が数か月持続する可能性もある。そのためこの証明書は、渡航後にタイ国内で検査を受けて万が一陽性となった場合に、療養期間をすでに終えていることの証明になる。また、旅行中に陽性となった場合に関しては、治癒証明書、健康診断書、およびその時点の本人の症状を踏まえた総合的な判断で、管理局が措置を取る。
感染歴のある場合 感染後3か月以上経過してからの渡航
一度もワクチン接種をしていない人が感染から3か月以上経過している場合は、感染後にワクチン接種を少なくとも1回済ませていればワクチン接種は完了したものとみなされ、入国できる。なお、感染前すでにワクチン接種を必要回数終えている人については、ワクチン接種条件を満たしているとみなされる。
以上が、詳しい受け入れ区部と入国方法だ。現在、「タイランド・パス」登録申請は最長で48時間かかるため、手続きを確実に進めるためにはPCR検査の陰性証明書を入手できたその日のうちに登録するのがベター。詳細は引き続き、タイ国政府観光庁の本庁ニュースサイトで確認できる。
また、タイから日本へ帰国する際に求められる日本国側の入国条件(たとえばPCR検査が必要かどうか、日本政府が指定してるワクチン接種証明書ものはどのようなものかなど)についても、あらかじめ確認しておきたい。
アフターコロナのタイ観光について東京事務所 藤村喜章氏は、「私たちは今年、“VISIT THAILAND YEAR 2022 ~AMAZING NEW CHAPTERS~”と題し、さまざまなプロモーションや取り組みを行なっていきます。たとえば、<五感を使った旅><大切な人との旅><自然回帰した旅>の推奨です。ほかにもガストロノミーやワーケーション、ヘルス&ウェルネスなどに着目し、“テーマのあるタイ観光”を楽しんでもらえるよう目指していきます」とコメントした。
また藤村氏は、タイへ訪れる際はぜひ「マイボトルを持って散歩やサイクリングを楽しんだり、その時期にしか食べられない旬の食材や郷土料理を味ったり、ゴミの排出やムダな消費のないエコな宿泊施設やツアー会社を選んだりと、アフターコロナの観光シーンに、“環境への配慮”を取り入れてほしい」と伝えた。
一方の日本でも、外国人観光客の受け入れ再開に向けた政策が進んでおり、感染拡大のリスクが低いアメリカ、オーストラリア、タイ、シンガポールの4か国で3回目ワクチンを接種済みの人を対象に、小規模パックツアーの実証事業が6月上旬に開始される。これに対し福岡事務所の冨松寛考氏は、「日本政府の実証事業にタイも加わったことで、タイは安全な国だということを理解してもらえるのではないか」と期待を示した。
2022年は日タイ修好135年の節目。入国規制緩和とともに、日本~タイの直行便も徐々に増えつつある。このコロナ禍の約2年、タイへ旅行できていない人たちにも改めてタイの魅力を再発見してもらえるよう、今後もさまざまなプロモーションでアピールしていくと意気込んだ。