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JR岡山支社初、本物の車両を使ったリアル運転士体験。“鉄道の聖地”盛り上げる「おか鉄フェス2022」7月開幕

観光列車「SAKU美SAKU楽」デビューも

2022年7月1日~9月30日 実施

「おか鉄フェス2022」ロゴ。JR西日本 岡山支社の公式キャラ「くまなく・たびにゃん」がイベントをアピール

 JR西日本 岡山支社は6月10日、県と地元企業およびJR6社が連携して7月1日~9月30日に実施する「岡山デスティネーションキャンペーン(岡山DC)」に合わせた鉄道イベント「おか鉄フェス2022」についてオンライン会見を開いた。説明を行なったのは、岡山支社 副社長の須々木淳氏。

「おか鉄フェス2022」は、岡山と備後(現在の広島県東部)を中心に鉄道の魅力を楽しむさまざまな企画を展開する同支社主導のイベント。かつてこの地が交通の要衝として栄えた国鉄時代の岡山鉄道管理局、通称「岡鉄局」に由来して“おか鉄”と名付けられた。2022年は岡山DCの開催のみならず、「山陽新幹線岡山開業50周年」や「特急やくも伯備線運行開始50周年」などメモリアルな1年となっている。これらの記念も含め、岡山・備後エリアを“鉄道の聖地にしたい”という想いで現在準備を進めているとのこと。

 なかでも、国鉄型リバイバル列車の運行や、本イベントの目玉企画という和気訓練線での運転士・車掌体験など、新たに加わった企画についても全容を明らかにした。

JR西日本 岡山支社の副社長 須々木淳氏
JR西日本 岡山支社がオンライン会見を実施

特別運行について

 岡山・備後は、国鉄型の車両が今なお現役で走行している全国でも稀な地域。こうした強みを活かし、本イベントではかつての車両をイメージした団体臨時列車を運行するという。そのほか観光列車やイベント列車など、現在時点で発表されている9つの特別運行は以下のとおり。

「SAKU美SAKU楽(さくびさくら)」

 本イベントよりデビューとなる観光列車。運行は7月1日~。金~日曜は臨時列車として1両で、月曜は定期列車「快速ことぶき」に連結して岡山駅~津山駅間をそれぞれ1日2往復ずつ運行する。

岡山県北が誇る桜をイメージした淡いピンク色の車体
ホテルグランヴィア岡山監修「岡山美作かえし寿司」の食事付き
地元の人気店・STYLEが手掛けるスイーツセットのサービス
こだわりの特産品が入った「福渡のいいもの詰め合わせ」も提供

急行「砂丘」リバイバル編成による団体臨時列車

 往年の国鉄型車両である急行「砂丘」をイメージした列車で、岡山駅~智頭駅間を8月11日に運行。キハ47系2両、ノスタルジー編成での運行となる。併せて急行「鷲羽」をリバイバルした団臨も運行予定(詳細は決まり次第発表)。

かつて岡山駅~津山駅~鳥取駅間を結んでいた急行「砂丘」と、大阪駅~岡山駅~宇野駅間で運行していた急行「鷲羽」(写真提供:京都鉄道博物館)

約3年ぶりの運行「みまさかスローライフ列車」

 因美線の全線開通から90年を記念し、7月23日~24日の2日間、因美線の津山駅~那岐駅間を運行(那岐駅~智頭駅間は別途臨時列車として運行)。キハ40・47系ノスタルジー車両を使用する。

国鉄一般色編成のみだったころに運行された「みまさかスローライフ列車」

特急「やくも」381系の国鉄色化リバイバル編成

 特急「やくも」で使用している381系1編成の塗装を懐かしの国鉄色に変更して3月19日より運行している。対象となる列車は特急「やくも」8・9・24・25号。

381系1編成の塗装を懐かしい国鉄色を施して運行

1夜限りの特別運行「Bar Train ~Night ラ・マル~」

 8月27日の夕刻~夜間に、観光列車「La Malle de Bois」を運行。往路は岡山駅(16時57分)発~尾道駅(18時20分)着、復路は尾道駅(20時03分)発~岡山駅(21時12分)着。「ホテルグランヴィア岡山」のバーテンダーが同乗し、目の前で作るカクテルを提供。生演奏などの車内イベントも楽しめる。

初の夜行運転でホテルのバーさながらの情景を再現

岡山観光プラン付き「WEST EXPRESS 銀河」

 岡山DCを記念して、長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」を京阪神から岡山エリアに向けて運行。停車駅でのおもてなしに加え、岡山エリアの観光もセットになった特別プランとなっている(詳細は決まり次第発表)。

岡山観光付きの特別プランで鉄道旅を楽しめる

「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」で行く“瑞風デイトリップ”

 7月2日、日中の時間帯のみ京都駅~新見駅間を運行。※乗車券は販売終了。

因美線初の観光列車「あめつち」運行

 団体旅行専用で、鳥取駅~津山駅間をキロ47系2両を用い特別運行。津山線の観光列車「SAKU美SAKU楽(さくびさくら)」と乗継できる旅行プランも用意。運行は7月31日・8月6日・8月13日の3日間。

因美線で初の運行となる観光列車「あめつち」

岡山エリア初の特別運行「ハローキティはるか」

 京都・新大阪~関西空港駅を結ぶ特急「はるか」を今回初めて伯備線で営業運転し、8月6日~7日の2日間、新大阪駅~新見駅~尾道駅間を運行。ハローキティも乗車する。

 以上が特別運行のナインアップだ。なお、各列車の運行スケジュールや乗車券の購入方法については「おか鉄フェス2022」公式ページにて確認を。

「おか鉄!ザ・鉄道体験」について

 普段は入ることのできない車両基地や駅のバックヤードに潜入してレアな体験を楽しめるイベント「おか鉄!ザ・鉄道体験」を、6エリア(和気/福山/糸崎/津山/新見/岡山)で展開するという。

 最大の見どころは「おか鉄!ザ・鉄道体験 in 和気訓練線」。213系の現役運転士が訓練を行なっている和気駅近傍の訓練用の線路を用いて鉄道業務を体験できる。対象は小4~中3で、18歳以上の大人同伴が条件となっている。

 本物の運転士指導のもと、本物の線路を1往復(片道400m)運転し、駅を想定した線路の途中で停車体験も行なう。そして本物の車掌マイクを使用して車内アナウンスを体験できるというリアル尽くしの内容。須々木氏によれば「本物の車両を用いた運転体験というのは岡山支社の発足後初の試み。400mもの長い距離を運転できるのも未だかつてない例で、大変貴重な機会です。子供と一緒に乗車して記念撮影することもできるので、ぜひ鉄道ファンのご家族で楽しんでほしい」といい、社を挙げた目玉企画をアピールした。

本物の運転士指導のもと和気訓練線を1往復(片道400m)運転できる
福山列車区では運転士用シミュレータ体験や車内の切符発行など
糸崎基地では特殊車両による作業見学や運転士用のシミュレータを体験
津山エリアでは「津山まなびの鉄道館」へ行き車両移動機による保存車両の庫出し見学や運転士用シミュレータを体験

 また本イベントへ訪れた際にぜひチェックしていただきたいというのが「因美線全線開業90周年記念入場券」。鳥取駅~津山駅間の20駅の入場券とオリジナル台紙をセットにした記念入場券のセット(3500円)で、販売期間は7月1日~12月31日。3000セットの数量限定となっている。鳥取駅・智頭駅・津山駅のみどりの窓口にて販売するとのこと。

 そのほかJR西日本が地元企業や生産者と共同開発し、岡山の旬の食材を活かしたご当地みやげ、岡山のクラフトグッズが当たるカプセルトイ「岡山おみやげコレクション」(1回500円)など、旅の思い出にぴったりの商品も目白押しとなっている。

「因美線全線開業90 周年記念入場券」のイメージ。ロゴは津山工業高校デザイン科協力のもと製作
6月28日新発売の岡山県産白桃「白鳳」ピューレを使用した「岡山育ちの白桃アイスバー」(280.80円)はJR西日本エリアの駅ナカ店舗などで販売
6月10日より販売している「岡山シャインマスカットCHU-HI」(198円)と清涼飲料水「岡山育ちの白桃」(165.24円)もJR西日本エリアの駅ナカなどで購入できる
岡山駅構内「さんすて岡山」に設置のカプセルトイ。第1弾はデニムや備前焼など全7アイテム
岡山駅新幹線改札内「せとうちBOX」にて7月1日~14日の期間限定で備前焼を販売

 農産物や伝統工芸など魅力的な要素が詰まった岡山県。そのなかでも“鉄道”にスポットを当てることで地域を繁栄させてきた産業や歴史についてより深く、楽しく体感する機会となるようだ。

 最後に、JR西日本 岡山支社 広報室長の伊藤秀真氏は「こういう鉄道体験が充実した形はこれまでの“岡山DC”にはなかったのではないでしょうか。今まで“岡山DC”といえば県と協力してセールされる食やアートといった観光素材がメインでした。それに加えて今回、岡山支社では“かなり鉄分の濃い”ラインアップをご用意して待っています。自信を持ってお勧めしたい内容です」と意気込みを語った。

 現時点で未定となっている企画詳細については、今後「ふるさとおこしプロジェクト」サイト内に特設の「おか鉄フェス2022」ページなどで随時発表するとのこと。訪れる前にはぜひチェックしていただきたい。