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東急歌舞伎町タワー、2023年4月開業。シネコン、劇場、ライブホール、2つのホテルを楽しむ48階建て。木村室長「好きを極める場に」

2022年4月26日 発表

2023年4月開業予定

2023年4月に開業を予定するホテル+エンタテイメント複合施設「東急歌舞伎町タワー」

 東急および東急レクリエーションは、2023年4月に開業予定の「東急歌舞伎町タワー」の記者発表会を行ない、各施設名称やロゴを公開した。

「東急歌舞伎町タワー」は、「新宿TOKYU MILANO」と「ホテルグリーンプラザ新宿」跡地を中心とした「歌舞伎町一丁目地区開発計画(新宿TOKYU MILANO再開発計画)」として工事が進む、映画館・劇場・ライブホールなどのエンタテイメント施設、ホテルなどからなる高層複合施設。

 所在地は東京都新宿区歌舞伎町一丁目29番1、同番3(地名地番)。敷地面積は4603.74m2、建築面積は約3600m2、延床面積約8万7400m2。西部新宿線 西部新宿駅横に位置し、歌舞伎町一番街の奥のシネシティ広場とも隣接する。シネシティ広場周辺には、コマ劇場跡地に開業した新宿東宝ビルやアパホテル新宿歌舞伎町タワーがある。

「東急歌舞伎町タワー」前のシネシティ広場前でのイベント開催イメージ
東急歌舞伎町タワー
東急歌舞伎町タワー完成イメージ
1月27日時点でのシネシティ広場から見る工事中の東急歌舞伎町タワー

 発表会では、プロジェクト全体の責任者となる東急新宿プロジェクト企画開発室室長 兼 TSTエンタテイメント 代表取締役社長の木村知郎氏が登壇。「地上48階、地下5階で高さ225mのホテルとエンタテイメントの複合施設として国内最大級。コロナ禍を経て、リアルとオンラインを癒合させた楽しみ方や感動を提案していきたい。今は自分の“好き”なコトに関しては衰えることなく、より深める傾向にあって、それが消費に向かっている。

 ここでは、配信や仮想空間などを使った新しい共有、各施設とのコラボレーションをしたり、“好き”を極める人たちのコミュニティ作りなど“好きを極める場”を提供していきたい。世界中の皆さんに、最高で魅力的なエンタテイメントを提供していくことを約束します。おのおの自身の方法で“好き”を極めて欲しい。江戸時代から歌舞伎町に流れる大衆文化の流れを受け、未来に向けて進めていきたい」と、概要やコンセプトを説明した。

建築計画概要
東急歌舞伎町タワーのブランドロゴ
17階テラスからの眺望
45階からの眺望。国立競技場方面

 17~47階に東急ホテルズが運営するホテル&レストランの「BELLUSTAR TOKYO」(39~47階)と「HOTEL GROOVE SHINJUKU」(18~38階)が、9~10階に東急レクリエーションの運営する映画館「109シネマズプレミアム新宿」が、6~8階にTSTエンタテイメントが運営する劇場「THEATER MILANO-Za」が、1~4階にTSTエンタテイメントが運営するライブホール「Zepp Shinjuku(TOKYO)」が、地下1階に羽田空港と成田空港直通のリムジンバス乗降場がある。

 例えば、世界的なアーティストのライブやショーを見るために、上階ホテルの世界観の感じられるコラボレーションルームに宿泊。部屋ではアーティストから特別なメッセージが贈られ限定商品が購入でき、テレビではアーカイブを鑑賞できる。レストランやバーではアーティストや作品を感じられるメニューを楽しむ。最上階のレストランやスパを堪能する、などといった体験を考えているそうだ。

 外装デザインは、ルイ・ヴィトン京都大丸店などを手がけた永山祐子建築設計が担当し、地域の歴史的文脈の「水」をモチーフに「噴水」をイメージしたデザインになっている。建物全体が透明な水や白い水飛沫が多層に重なりあう優雅なデザインが施され、水の文様「青海波」モチーフが、窓や低層部分の外壁のデザインに取り入れられている。同様にブランドロゴも噴水をデザインエレメントとし、音響調整機器のグラフィックイコライザーやピアノの鍵盤も連想させ、音楽などのエンタテイメント性を感じさせるデザインになっている。

シネシティ広場と連動した映画イベントのイメージ
1月27日時点でのシネシティ広場から見た正面ファサード
1960年ごろの新宿東急文化会館

ライブホール「Zepp Shinjuku(TOKYO)」と劇場「THEATER MILANO-Za」

 ライブホール「Zepp Shinjuku(TOKYO)」は、JR新宿駅から徒歩7分という好立地が魅力となる。首都圏にある大規模なスタンディングのライブ会場は湾岸エリアに多く、新宿駅から近いことは平日夜開催のライブでも来場しやすい。スタンディングで1500名とややコンパクトだが、ステージとの距離が近く臨場感がある。ステージには6×10mの大型スクリーン、観客背後も含め周囲360度がLEDビジョンで、囲まれ感のある光の演出が楽しめる。アプローチもデザインにこだわり、非日常感を演出する。

 Zeppはソニーミュージックエンターテインメントのグループ会社Zeppホールネットワークが運営するブランド。コンサートホールのスケール感とスタンディングによるライブハウスのようなライブでの一体感が安全に得られるホール運営コンセプトとなっている。

「ホテルや飲食のコラボメニューなど、タワー間で連携して、好みのアーティストの“好きを極める”ことができる空間にしたい。近隣ライブハウスと連携したイベントも行ない、歌舞伎町をエンタテイメントで盛り上げていきたい」と、TSTエンタテイメント運営事業本部長 萩原要氏は説明していた。

ライブホール「Zepp Shinjuku(TOKYO)」イメージ
「Zepp Shinjuku(TOKYO)」アプローチは非日常感がある

 劇場の「THEATER MILANO-Za」は、映画館「新宿ミラノ座」の名前を継承し、演劇、音楽、映画など多種多様なエンタテイメントコンテンツを発信する。ロゴは「人」の漢字をモチーフに組み合わせ「MILANO-Za」の「M」を形作っている。歌舞伎の“隈(くま)取り”のイメージも意識している。

 劇場は1~3階まで約900席あり、舞台最前から1階席の一番最後部席までで約19mと、とても演者に近い。1階席は1席単位で取り外しができるようにもなっていて、花道などの演出も可能。ステージの奥行きも可変でき、1階の座席数を増やすこともできるなど、自由度が高い。宙づりや大量の水を使った演出にも対応する。上階客席面にはLED照明が入っていて、フルカラーの光による演出も可能な作りなっている。

「演者と観客がお互いの息遣いを感じられる距離感で一体感を感じられる劇場になっています。ストレートプレイ、ミュージカル、2.5次元系など幅広い演劇、着席スタイルの音楽ライブなどで多様なステージングに対応できます。音楽ライブに関しては、1週間~数か月のロングラン公演をしていきたい。ラスベガスではよくあるが、国内ではまだないので、上階のホテル宿泊と合わせた提案をして実現していきたい」と萩原本部長は説明していた。

劇場「THEATER MILANO-Za」イメージ
「THEATER MILANO-Za」のロゴ

映画館「109シネマズプレミアム新宿」

 映画館「109シネマズプレミアム新宿」は、全席がA席とS席のプレミアムシートとするプレミアムシネマコンプレックス。8スクリーンで総座席数は752席。9階には映画を鑑賞する人だけが入場できる、ホテルラウンジのような落ち着いた空間のメインラウンジも用意する。映画史に残るワンシーンをさりげなく感じてもらえる家具なども配置する。

 シアター内は映画鑑賞に集中できるように視覚的ノイズを排するモノトーンで構成し、壁には音響調整ためのランダムな模様を施しているのが特徴。スクリーン前にはステージも用意する。6番シアターは、「SCREEN X」という左右を加えた3面ワイドビューシアターとなっている。映画だけではなく、音楽ライブも上映する予定とのこと。

「われわれの一般的な109シネマズであれば1600席以上は計画するサイズになっていますので、752席はとても贅沢な作りの空間と言えます。料金は高めの設定にはなりますが、日本初のプレミアムシネマコンプレックスとして、ゆったりとした時間を提供していきたいと思います」と東急レクリエーション取締役常務執行役員映像事業部長 久保正則氏が説明した。

シアター内装のイメージ
3面ワイドビューシアター「SCREEN X」
メインラウンジのイメージ

ホテル「BELLUSTAR TOKYO」と「HOTEL GROOVE SHINJUKU」

 ホテルは東急ホテルズが運営する2種類が誕生する。東急ホテルズは渋谷を中心に出店してきて、新宿では初の開業となる。

「BELLUSTAR TOKYO」は“天空のラグジュアリーホテル”と銘打ったハイクラスのホテル。「BELLUSTAR」はラテン語で美しく輝く星を意味していて、ロゴには黄金螺旋があしらわれている。客室数は97室で、7mのワイドビューの窓のある部屋も用意され、東京の夜景を満喫できる。3層吹き抜けの圧倒的な眺望を持つレストランとバーに、鉄板焼、寿司コーナーもあり、スパも併設する。競合ホテルとして、2022年末に開業する「ブルガリ ホテル 東京」などを挙げ、価格帯は1室7万円以上を想定している。

「HOTEL GROOVE SHINJUKU」は、“エンターテインメント施設・まちと繋がるホテル”とし、ミレニアム世代中心に向けて、東急歌舞伎町タワー内にある各エンタテイメント施設で得た感動の余韻に浸ることができる、がコンセプト。ロゴにはアナログレコード盤がモチーフとして使われている。客室数は538室。レストラン・バーのほかに、東西の2か所にテラス・パーティルームも用意し、アーティストのパフォーマンスも開催する予定。競合ホテルとして、新宿にあるヒルトン東京などを挙げ、価格帯は2万7000円~あたりを想定している。

「BELLUSTAR TOKYOではグローバルホテルの1ブランドを使うのではなく、日本のホテルとして東急ホテルズが最上級の空間作りとおもてなしができるホテルを新たに新宿で創造していきます。HOTEL GROOVE SHINJUKUでは、エンタテイメントの力によって、お客さまや街にエネルギーを与えられるホテルにしていきます。この2つのホテルは、2023年春に同時にグランドオープンする予定です。新宿という熱い街で、スタッフも熱い思いを持って準備中です。ご期待ください」と東急ホテルズ常務執行役員新宿エリア統括 宮島芳明氏が説明し、抱負を語っていた。

「BELLUSTAR TOKYO」ロゴ
「BELLUSTAR TOKYO」ゲストルームのイメージ ©CGworks Inc.
「BELLUSTAR TOKYO」3層吹き抜けのレストラン
「HOTEL GROOVE SHINJUKU」ロゴ
「HOTEL GROOVE SHINJUKU」ゲストルームのイメージ
「HOTEL GROOVE SHINJUKU」レストランのイメージ

 最後に、工事中の内部現場写真も公開されたので、お見せしておこう。すでに施設は形が見えてきている様子が分かる。

映画館「109シネマズプレミアム新宿」の現場写真
劇場「THEATER MILANO-Za」の現場写真
ライブホール「Zepp Shinjuku(TOKYO)」の現場写真
「HOTEL GROOVE SHINJUKU」17階テラスの現場写真