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5月導入の三田線新型車両6500形を見てきた! 直線的なボディデザイン、シートは6人がけに

2022年2月16日 公開

都営三田線に5月14日より導入される新型車両「6500形」

 東京都交通局は、5月14日から三田線に導入する新型車両「6500形」の報道公開を志村車両検修場(東京都板橋区)にて行なった。

 公開した「6500形」は1993年から導入された6300形車両の初期の編成が製造から30年近くが経過し、置き換えの時期を迎えている状況を踏まえ開発された車両で、従来6両編成で運行されていた三田線は新型導入により8両編成となる。

 車両の基本デザインのコンセプトに掲げられたのは「スマート+コンフォート」。車両部門以外の部署を中心とした検討チームを立ち上げ策定した構想を軸に、車両部門と車両メーカーのデザイン部が仕上げたのが今回公開した「6500形」だ。

 特徴的な直線的でプレーンなデザインの車体は、大型押出形材を熱によるひずみの少ないレーザー・MIGハイブリッド溶接で組み立てたアルミニウム合金製ダブルスキン構造で、この工法により高い構体強度とシャープなデザインを実現している。

新型6500形が走る都市の一部としての存在感を表現しているというスマートでムダのないデザイン
車体は直線的で、溶接の跡などが見当たらずすっきりしている
先頭車両は引き締まったブラックに都営三田線のラインカラーが囲むデザイン
スカートも直線的なデザイン
シングルアームパンタグラフ
尾灯は行先表示器の両脇に配される
前面行先表示器はフルカラーLED式
側面行先表示器もフルカラーLED式

 車内に目を移すと、こちらも外観同様シンプルなデザインだ。都営三田線のラインカラーであるブルーのシート、乗降扉、そして乗降口前のイエローの床が目に入る。乗降口両脇のスペースは人ひとりが立てるくらいに拡大されており、ラッシュ時などにスムーズな乗降ができるよう配慮されている。

 また、シートは従来の7人がけから6人がけに変更しており、1人分のスペースが拡大している。この人数変更に伴い、シート前の縦手すりは2本になり座ったすべての乗客が手すりを利用できるようになった。なお、側窓には熱暑感を軽減するIRカットグリーンガラスが採用されている。

新型6500形の車内
乗降口両脇のスペースが拡大された
シートは6人がけで、縦手すりにより2人×2人×2人に区切られる
この縦手すりの配置によって座った乗客すべての人が手すりを利用できるようになった
抗ウイルスコーティングを施工した手すり

 ユニバーサルデザインの考え方を取り入れたという車内は、縦手すりを増やしたほかにも、吊手の高さに変化をつけ利便性を図っている。

 すべての車両に設置しているフリースペースは車椅子やベビーカーの利用者はもちろん、スーツケースなど大きな手荷物のある乗客にも便利で、従来の車両より高さを15cm程度下げた荷物棚と合わせて、幅広い乗客にとって利用しやすい配慮がなされている。

 また、ガラスを使った貫通扉や大型化された座席両端の袖仕切りなどにより、室内空間は明るく圧迫感が感じられない。なお、一見蛍光灯に見える室内灯はLED照明だ。

高さの違う吊手
高さの違う吊手(優先席)
従来より低い荷物棚
大きなガラス製の貫通扉
大型化された袖仕切も圧迫感を感じない
室内灯はLED照明
フリースペースはすべての車両に設置されている

 車内での情報提供は、各乗降扉の上の液晶ディスプレイで行なう。都営地下鉄初の3面タイプで左側のパネルは広告などのスペース、残り2面で日本語、英語、中国語、韓国語の行先案内表示が行なわれる。

 表示パターンはさまざまだが、2面のうちどちらかに必ず漢字、もしくはひらがなの日本語を表示するようになっている。また、ディスプレイ脇には車内のいたずらや迷惑行為、犯罪行為の未然防止、テロ対策などに向けたセキュリティ強化として、1両あたり4台の監視用ハイビジョンカメラを設置している。4台のカメラで車内すべて(床面ベース)をカバーしているとのこと。

3画面タイプの液晶ディスプレイ
左のパネルは広告などのスペース
行先 日本語(漢字)/駅名 英語+中国語
行先 日本語(ひらがな)/駅名 漢字+韓国語
行先 中国語+英語メッセージ
行先 韓国語/駅名 英語+中国語
液晶ディスプレイの横に設置された車内監視用ハイビジョンカメラ

 6300形の後継としてこれからの都営三田線の運行を担う新型6500形は、消費電力の少ないLEDを使用した室内照明や前照灯、行先表示器や、減速時の回生ブレーキ特性を向上させるSiC(炭化ケイ素)素子を使ったVVVF制御装置を採用するなど、これからの時代に合わせた環境負荷の低減を図っている。また、走行中の車両各装置の動作情報を車両基地に伝送できる車両情報管理装置も搭載する予定だ。

大型のLCDパネルを装備した運転席
低損失なSiC(炭化ケイ素)素子を使ったVVVF制御装置

 5月14日から運行を開始し、2022年度末までに順次13編成を導入する予定の新型6500形は、1人あたりの座席幅や乗降口両脇のスペースの拡大、フリースペースの設置などで、快適性や利便性を高めながらも6両から8両になることで、1編成あたりの定員が862人から1172人へと輸送力も強化している。

 新型車両の導入に伴い、現在西高島平駅から三田駅まで全24駅のホームドアを更新しており、列車近接表示器や非常停止ボタンを戸袋上部に備え、開閉部分の一部にガラスを用い視認性を向上させたタイプに変更する。