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ANAがラウンジに防音個室ブース設置。コロナ禍のWeb会議ニーズに応える
2021年10月11日 07:00
- 2021年10月11日 開始
ANA(全日本空輸)は10月11日、羽田空港国内線のラウンジに防音個室ブースを設置するトライアルを開始した。
本トライアルは、ブイキューブが手がけた防音個室ブース「テレキューブ」3台を約3か月間設置して、空港ラウンジでZoomのような映像/音声を伴うリモート会議を行ないたいというニーズに応えるもの。
設置したのは、第2ターミナル本館南側(62番ゲート付近)4階のANA SUITE LOUNGE受付エリア付近。対象ユーザーもダイヤモンド会員などANA SUITE LOUNGEの利用者のみとなっているが、これは3階(ANA LOUNGE)には扉の閉まる電話ブースがある一方、4階には同様の設備がない、という点が前提にある。
本誌でも既報のとおり、テレキューブは鉄道各社が駅ナカなどへの設置を積極的に行なっており、利用者はWebサイトから予約して、到着したらスマートフォンなどで扉を解錠、時間あたりの料金を払って利用する、という仕組みになっている。
しかし、ANAのラウンジに今回設置したのは「オフィス向け」と呼ばれる仕様で、事前予約はできず(当日空いていれば使える)、受付で鍵を受け取って自分で解錠し、利用時間は最大1時間まで。料金は発生しない。Wi-Fiもテレキューブ側には備えておらず、ラウンジのアクセスポイントを利用する。
ブース内の設備は、テーブルにソファ、スイッチ付きの照明、換気ファン、コンセント、有線LANポートで、中に入って照明を付けるとファンが回り出す(30~40秒ごとに空気が入れ替わる)。テーブルは抗菌・抗ウイルス仕様、ソファは耐薬仕様になっており、1回の利用が終わるごとにスタッフが消毒作業を行なう。
駅に置いてあるテレキューブともう1つ異なる点としては、扉がシースルーで、視線を遮る作りになっていないことが挙げられる。駅のテレキューブの扉はすりガラスのような作りで、利用者の顔や手元(PCの画面)が外から見えないようになっているが、ANAのラウンジのテレキューブはオフィス向け仕様なのでこうした処理を施していない。ただ、設置箇所自体がそもそも人通りの多い場所ではないので、そこまで外からの目が気になるということもないはず。
実際に中に入ってみると、しっかり扉が閉まって密閉感があり、仕事に集中しやすそうな落ち着きがある。広さはカラオケ店の1人カラオケブースのような印象で、扉を閉めた瞬間にすっと騒音が消えるのを体感できる。それでいて人間ドックで入る聴力検査ブースほど消音されているわけではなく、適度に環境音も聞こえてほどよい案配だと感じた。
今回のトライアルを担当するANA CX推進室 商品企画部 地上商品企画チームの山田菜木氏によると、コロナ禍にあってWeb会議ニーズが急増しており、ラウンジでもWeb会議をしたいという声が上がる一方、ラウンジでは静かに過ごしたいという利用者が多いため、独立したブース型で遮音性や居住性に優れ、換気能力の高いテレキューブが候補に上がったという。
ブースのなかにはQRコードが用意してあり、任意でアンケートの回収を行なう。3か月のトライアル終了後、アンケートの結果やスタッフの意見を交えて、好評なら設置を継続する可能性もあるとのこと。