南紀白浜空港、保安検査場でAIによる危険物の自動検知。日立との協業で実証実験

南紀白浜空港で、保安検査へのAI導入実証実験を開始

　南紀白浜エアポートと日立製作所は8月27日、南紀白浜空港で、保安検査を支援するAI技術の実用化に向けた実証実験に関する覚書を締結。2022年3月末まで実証実験を実施することで合意した。

　今回の実証実験は、手荷物検査を行なう保安検査場において、既存のX線装置はそのままに、AIを活用して手荷物検査の高度化・効率化を支援するもの。従来の検査員による「目視」に加え、AIが二重確認。AIはX線の画像を分析して、検知した物品名を表示し、危険物が検知された場合には赤い外枠で表示して注意を促す。

　システムには、日立ソリューションズのX線検査判定支援ソフトウェアを使用。AIは日々更新され、新たな危険物の情報や熟練検査員のノウハウを学習して進化することで、高いセキュリティレベルと業務効率向上が図られる。

　空港の保安検査場においては、検査装置を通過する手荷物にX線を照射し、画像処理で鮮明化された画像をもとに、保安検査員が目視で危険物検知をしている。保安検査員は見逃しが許されないなど極めて高いストレスのなかで業務を行なっているほか、労働人口が減少するなかで熟練の検査員がノウハウを継承した人材の育成が容易ではなく、経験の浅い検査員は検知に時間を要するという課題がある。

　AIの導入は保安検査員のストレス軽減と、手荷物検査の安全性向上を目指すもので、今回の実証実験で実際の手荷物検査にAIを導入し、その運用性や導入効果を検証する。

南紀白浜エアポートと日立製作所の役割分担