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そらとぶピカチュウ初便に乗ってみた。全部で何体見つけられる?
スカイマーク特別塗装機「ピカチュウジェット BC」
2021年6月24日 07:00
- 2021年6月21日 就航
スカイマークは6月21日、同社初の全面特別塗装機「ピカチュウジェット BC」の運航を開始した。初便は15時35分羽田発・那覇行きのSKY519便で、運航前には羽田の格納庫で発表会を行なった。
「ピカチュウジェット BC」は長期にわたり外出が制限されるなか、大きな影響を受けている観光・航空事業への貢献を目指し、株式会社ポケモンが提唱した「そらとぶピカチュウプロジェクト」にスカイマークが賛同して実現したものだ。
羽田~那覇の初便に搭乗。外も中もピカチュウづくしの機体
「ピカチュウジェット BC」はスカイマークのボーイング 737-800型機(登録記号:JA73AB)を使用し、機体には風船で空を飛ぶ大きなピカチュウを10体描いた。ほかにも、機内から見えるエンジンの内側や、飛行中以外は見えにくい機体下部など、機体全体に散りばめられている。今回使用されたポケモンのキャラクターは無償で提供され、塗装費用も株式会社ポケモンが負担している。塗装は台湾で行ない、作業は16~17日間かかったという。
機内に目を移すと、キャビンは曲線を多用した柔らかいデザインのBSI(ボーイングスカイインテリア)仕様。全席にコンセントを装備したアイボリーの明るいシートには、ピカチュウを描いたヘッドレストカバーが用意されていて、フォワードシートのみ色違いのカバーとなっている。
また25列目、25A~25Hのシートはピカチュウのステッカーで差別化している。「25」はポケットモンスターにおけるピカチュウのナンバーだ。もちろんシート自体や機内サービスに差はないものの、ピカチュウジェット BCにおいて座席番号25は特別な場所なのだそうだ。
発表会のお披露目が終わったピカチュウジェット BCは、15時35分羽田発那覇行きのSKY519便として羽田空港第1ターミナルへ移動。146名(+幼児1名)の乗客は、初便搭乗の記念品とピカチュウが描かれたマスクを受け取り機内へ。ピカチュウ仕様のエプロン姿のCA(客室乗務員)のサービスを受けながら、那覇までの空の旅を楽しんだ。
飲み物はピカチュウのイラスト入りカップで提供され、ピカチュウのイラストの入ったキットカットを配布。また、機内BGMやアナウンスもピカチュウジェット BCならではの仕様になっており、随所に特別感の強いフライトだと感じることができる。
羽田離陸から那覇着陸までは予定より少々短めの2時間19分のフライトで、定刻より少し早い18時5分に到着した。那覇空港では手荷物受取所のターンテーブルの上でもシーサーとともにピカチュウがお出迎えし、沖縄が今回のプロジェクトの目的地であることを改めて知らされる。那覇空港は空の旅のゴールでありながら、これからポケモンと沖縄県が用意したさまざまなポケモンワールドを楽しむスタート地点でもあるのだ。
なお、3階にあるスカイマークのチェックインカウンターでは、自動チェックイン機や有人カウンターなどすべてにピカチュウのラッピングが施され、明るく楽しげな雰囲気が印象深い。
スカイマーク 洞氏「旅を通して人々を笑顔にする」に賛同
出発前に行なった発表会では、株式会社ポケモン 代表取締役社長の石原恒和氏、スカイマーク 代表取締役社長執行役員の洞駿氏が登壇し、プロジェクトの内容や想い、そして今後の展開を語った。
石原氏は、冒険する楽しさや、旅をして新しい出会いが生まれる喜びを伝えてきたポケモンが、これからも人と地域をつなげ社会に貢献し続けていくために生まれたプロジェクトが「そらとぶピカチュウプロジェクト」であり、その第1弾として実現したスカイマークのピカチュウジェット BCは、このプロジェクトの1つの成果であり、シンボルでもあると語った。なお、株式会社ポケモンにとって、社内の有志によってスタートしたこの活動は、同社のCSRの一環と位置付けているとのこと。
スカイマークの洞氏は、コロナ禍が長引くなかでもプロジェクトをスタートできた喜びを語った。また、今回のプロジェクトが目指す「旅を通して人々を笑顔にする」というコンセプトは同社の社会的存在意義の1つとして強く共感し、その想いが参画の決め手であったと経緯を語った。
今回スカイマークとの連携でスタートした「そらとぶピカチュウプロジェクト」第1弾の旅の目的地は沖縄県で、県内70もの企業や自治体、団体によって展開され、交通機関、土産品、観光施設と順次取り組みを開始していく。会場にはこのプロジェクトから生まれたさまざまなグッズなどが展示されていた。
この取り組みは海外での展開も予定されており、シンガポール航空グループのLCC、スクートの参画がすでに決定しているとのこと。発表会ではスクートのCEOキャンベル・ウィルソン氏のメッセージムービーも披露された。
会場では、このプロジェクトのために書き下ろされたテーマソング「空色」も発表、10体のピカチュウが曲に合わせて見事なダンスも披露した。楽曲を担当したのは、沖縄県うるま市出身のアーティスト「HY」だ。
制限解除後にゆっくり参加できる長期の取り組み
ポケモン、スカイマーク、沖縄県が一体となって進める今回のプロジェクトは、5年間という長期計画で腰を据えて取り組んでいくという。
5年前に日本でリリースされた「Pokemon GO」の記念日とも言える7月22日からは、沖縄の県産品であるかりゆしウェアを身にまとったピカチュウ(かりゆしピカチュウ)が1年以上長期にわたって出現したり、プロジェクトに参加する沖縄県内のさまざまな施設がこれから新たなポケストップになったりと、計画は多岐にわたる。さまざまな制限が解除され、自由に移動できるようになってから、ゆっくりと参加できるのも特徴の1つだ。
ポケモンの石原氏、スカイマークの洞氏ともに、ピカチュウジェット BCの就航とともに「そらとぶピカチュウプロジェクト」の幕開けを宣言しながらも、プロジェクトが長期にわたることを強調し、「焦らなくても大丈夫、これからの状況を見ながら自由に楽しく移動ができるようになった日がきたら、ぜひ楽しんでください」と、すぐに参加しないよう促す異例の発表となった。
先の読めない状況のなか、大きな影響を受け続けている観光・航空事業がアフターコロナの起爆剤として生み出した長期プロジェクトに期待したい。
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