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ピーチ、国内線を全便運航再開。成田路線の拡大見据え10月にターミナル移転。国際線は10月以降の再開目指す

2020年7月22日 実施

ピーチが、7月22日に国内線全便の運航を再開。4月にCEOに就任した森健明氏らが鹿児島行き便を見送った

 ピーチ(Peach Aviation)は7月22日、国内線の運航を全便再開した。6月19日に全路線の運航を再開したのに続き、4連休を目前に控えるタイミングでの全便運航再開となった。

 4月に代表取締役CEOに就任した森健明氏は、国内線の全便運航再開にあたり、「成田空港第3ターミナルがお客さまであふれている。4月、5月は厳しい状況だったが、全便運航再開できることの喜びを感じるとともに、感染症対策を徹底しなければならないと気が引き締まる思い」とコメント。成田空港の第3ターミナルで鹿児島便を見送った。

 7月の4連休は60%程度の予約率になっているほか、「8月もかなり予約をいただいている」との状況にあるという。

7月22日にMM557便(成田空港発~鹿児島行き)を森健明CEOや富永有一機長、CA(客室乗務員)がお見送り
全便運航再開の告知とともに、旅客にも感染対策の徹底を呼びかけ

 新型コロナ感染対策については、「公共交通機関として予防の徹底はもちろん、お客さま、旅先の方と協力して、みんなで感染症対策を徹底していくことが重要だと考えている」と、利用者への協力呼びかけについて、新たな施策を打ち出した。

 新たな感染症対策の取り組みとして、「旅をもっと安全に楽しむための10のこと」として、旅客に協力を呼びかける内容をイラスト付きでまとめたパネルを用意。

 チェックインカウンターや搭乗口で、パネルや、チェックイン機のディスプレイを利用したデジタルサイネージとして提示するほか、予約者に送信するメールに画像付きで案内。また、チェックイン後に発行される紙の搭乗券に、同内容をまとめたWebサイトへリンクするQRコードも印字する。

 森氏は「コロナウイルスとの戦いは1年単位の長期戦。移動を前提とした感染予防・対策の徹底を強化し、家を出てから帰るまで、あらゆる行程で対策を徹底していくことに取り組んでいく」と話すとともに、「ピーチは安全運航と幹線対策を徹底し、お客さまと旅先の架け橋として、お客さまにも旅先での対策をお願いしながら、一緒に新しい旅のスタイルを築き、日本経済活性化にも寄与したい」との意気込みを示した。

感染症対策として旅客に協力を呼びかける「旅をもっと安全に楽しむための10のこと」のパネルを掲示

 今後の運航計画について、ピーチでは8月1日に成田~釧路線、成田~宮崎線に就航することを発表しているか、成田空港におけるさらなる事業規模拡大の意向を表明。それに向けて、使用ターミナルを航空冬期スケジュールが始める10月25日から、現在の第3ターミナルから第1ターミナルへ移転することを発表した。

 ピーチは元々第1ターミナルを利用していたが、バニラエアとの統合に際して第3ターミナルへ移転した経緯がある。10月の第1ターミナル移転後は、国内線チェックインカウンターは以前使っていた北ウイング1階を再び使用するのに加え、少し離れた場所にも自動チェックイン機を配置し、旅客誘導も工夫をして規模拡大に対応していくという。国際線チェックインカウンターの場所は決まり次第、案内するとしている。

Peach Aviation株式会社 代表取締役CEO 森健明氏

 また、「成田空港からの国内線について、新規路線開設の準備をしている」とし、「元々、新型コロナウイルス禍以前に策定した3か年計画で国際線に軸味を置いていたものを、国内線に軸足を移そうと思っていたところで、新型コロナが発生した」と、その背景を紹介。8月に開設する成田~釧路線、成田~宮崎線もそうしたなかで、新規就航を想定よりも前倒しして開設するものだという。

 現時点では、具体的な就航地などは明かされなかったが、「年単位のスパンではない」とのスケジュール感での新規就航を計画しているという。

 国際線についても、「各国の入国制限や検疫体制などを踏まえて、10月以降の再開を目指して準備を進めている」と国際線再開の意向について表明。条件がクリアできれば冬期スケジュールなどの節目にはこだわらず「いち早く」再開したいとした。

 ただ、「国際線の主なお客さまは海外からのインバウンドの旅行者。気軽に、自由に海外力に出かける、来てもらうには、おそらく1年単位の時間が必要。(再開後すぐに)かつてのような規模感は難しいと思っている」とし、2020年度の下半期はおおむね国内線と国際線が9:1ほどの割合の事業規模になることや、2021年度の国際線が当初計画の半分程度の運航規模になるとの、現時点での見通しを語った。

 さらに、国内線の事業規模拡大は機材の稼働率を向上させることも目的にあるとし、「昼間に飛ぶボリュームを少しでも増やして平均的な稼働率を上げる」とする。森氏は、国際線を夜間に運航できないため、従前の稼働率に戻すことは難しいとするが、24時間空港を利用した国内線の深夜運航の可能性は「否定はしない」としている。

ピーチでは後方(16列目以降)窓側→全乗客、前方窓側→全乗客の4段階で搭乗を案内。MM557便の搭乗では旅客も間隔を空けての整列に協力していた

 このほか、4連休を前に新型コロナ感染再拡大という課題が出てきているが、「大手航空会社と比べて運航規模も大きくなく、地方路線も1日1往復程度なので、需要が大幅に低下する要素が発生するなら考えなければいけないが、いますぐの減便は考えていない」と運航を維持する方針。

 4連休に合わせてスタートするGO TO トラベルキャンペーンに対しては、「旅行需要の底上げになることは間違いない。8月のお盆時期から9月、10月は観光シーズンでもあり、足下の感染状況を見ながら、キャンペーンがさらに整備されることに期待している」とコメントした。

7月22日のMM557便には63名が搭乗。15時07分に163番スポットを離れ、鹿児島へ出発した