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東海汽船、25年ぶりの国内製造ジェットフォイル「セブンアイランド結」公開
2020年7月9日 18:58
- 2020年7月9日 公開
東海汽船は7月9日、7月13日の就航を予定するジェットフォイル「セブンアイランド結」を報道公開した。6月30日に川崎重工業 神戸工場で竣工。東海汽船に引き渡されたもの。
1995年以来、25年ぶりに建造された船で、東海汽船では「セブンアイランド虹」の代替船として運航する。船名の「結」やカラーリングは美術家の野老朝雄氏が手がけた。船名は、船の速度を表わす「ノット(Knot)」という言葉に「結ぶ」という意味があることや、本土と島を結ぶ役割を持つ船であることに由来。
船体には「結」の古代文字をアレンジしたマークや、船にとって不可欠なロープの“結”び目をイメージしたエンブレムをレイアウト。島の海に映える藍色「TOKYOアイランドブルー」を基調としたカラーリングは、一足先に就航した3代目「さるびあ丸」と統一感を持たせている(関連記事「東海汽船、3代目『さるびあ丸』を公開。小池百合子都知事もバリアフリー対応の新しいハイテク船を視察」)。
ジェットフォイルは、米ボーイングが開発したジェットエンジンを用いた水中翼船。ジェットエンジンでウォータージェット推進器を回して海水を噴射し、水中翼の揚力で船体を浮き上がらせて航行。セブンアイランド結はジェットエンジンにロールスロイス製「501-KF」型のガスタービンエンジン2基と、ウォータージェット推進器として「川崎パワージェット20」を2基搭載し、最高43ノット(約80km/h)で航行できる。
現在は川崎重工が販売と製造の権利を継承。1989年から1995年まで15隻が建造されたが、以後、新造船の建造が止まっていた。東海汽船 代表取締役社長 山崎潤一氏は「万感胸に迫る思い」と新造船の就航への思いを述べる。置き換えられるセブンアイランド虹が船齢35年を超えることによる安全性確保の点や、川崎重工での技術の伝承といった点を新造の理由として挙げた。
旅客定員は241名。2階に80席、1階に161席を備える。1階、2階それぞれに手荷物置き場を備え、1階には自販機も用意。船内でWi-Fiインターネットサービスも提供する。
ジェットフォイルでは初となるバリアフリー設計となっており、船内外の出入りに用いる2階には、車椅子でも利用できるサイズの多機能トイレを備えるほか、車椅子利用者でも展開しやすいよう広めのスペースを取った座席を用意。さらに、1階と2階をつなぐ階段には昇降式チェアも装備している。
東海汽船では同船を大島~利島~新島~式根島~神津島航路で運航。第1便は東京・竹芝8時50分発の1270便での運航を予定している。
山﨑氏は、新型コロナ禍からの回復期にある現状について、「5月は対前年で6%、6月が26%まで落ち込んだが、7月の4連休は前年の半分ほどになっている。まだ動きは若干よくない印象だが、最近は直前に予約が入ることも多いので期待している。(来島自粛が解けてからは)島の方だけでなく、仕事や観光の利用があり、自転車などアウトドアでの来島ニーズが動き始めた」と説明。
新型コロナ対策としては、船内で並び席を間隔を空けて利用するよう案内しているが、「船内の換気能力は高いので安心」と呼びかけた。
また、例年2月~3月にはジェットフォイルを使って東京~館山~大島航路などの千葉県・館山を経由した便も運航している。7月9日の報道公開には、たてやま・ポートシスターズの江川舞さんも訪れ、就航を祝う花束を山﨑氏にプレゼントした。
館山航路について山﨑氏は、「東京~館山の陸路は鉄道の便が減り、バスも渋滞があることから、東京~館山間だけを利用されるお客さまも多かった。東京~館山間は75分で、バスと比べて時間も料金もあまり変わらない。もっと深掘りできるのではないかと思っている」と同航路のポテンシャルに期待を寄せ、「既存の航路だけでなく、新たなチャレンジをして変化していかないといけない」と語った。