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首都高、平成31年3月期(2018年度)決算会見。営業収益は13.4%減の3862億円

利用台数が増えるも短距離利用の増加で料金収入減

2019年6月6日 開催

首都高速道路株式会社 CS推進部 財務部担当執行役員 森祐二郎氏

 首都高(首都高速道路)は6月7日、東京・霞が関の本社で会見を開き、CS推進部 財務部担当執行役員の森祐二郎氏が第14期(平成31年3月期・2018年度)決算について説明した。

 首都高のグループ連結決算は、営業収益は前年度比13.4%減の3862億円、営業費用は14.2%減の3823億円となった。主な要因は、前期で晴海線 晴海~豊洲間、板橋・熊野町JCT(ジャンクション)間改良工事などが完成し、高速道路機構(独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構)への引き渡しがあったため。

 また、親会社株主に帰属する当期純利益は71.9%減の29億円となっている。これは前期に特別利益として厚生年金基金代行返上益の計上があったことによるもの。仮に厚生年金基金代行返上益にかかわる影響を除いた場合、親会社株主に帰属する当期純利益は28億円増となる。

首都高の第14期(平成31年3月期・2018年度)グループ連結決算概要

 高速道路事業の損益状況については、営業収益のうち料金収入は、首都圏ネットワーク整備の進捗に伴う利用形態の変化などの影響により前期比0.5%減の2686億円。なお、交通量は対前期比1.4%増の101.4万台/日。台数が増えて減収という現象は、短距離利用が増えたためとのこと。

 高速道路機構への道路資産の売上高である道路資産完成高は、建設事業、改築事業および修繕事業等の引渡しを実施し、前期比48.0%減の748億円。これは営業費用で同額の道路資産完成原価を計上しており、損益に影響はない。

 営業費用では、道路資産賃借料は変動貸付料制の適用はなく、賃借料3.2%増の1937億円を計上。前期に料金徴収施設更新にかかる固定資産除却損があったこと、点検・補修の強化を実施したこと、当期は雪凍対策費が減少したことにより、管理費用等は前期比13.3%減の724億円。上記の結果、高速道路事業の営業利益は26億円となった。

グループ連結の高速道路事業の損益状況

 連結の関連事業の損益状況は、駐車場事業は、主に5か所の都市計画駐車場事業と59か所の高架下等駐車場事業を運営しており、営業収益は前期比1.5%増の32億円とほぼ前期並み。

 国や地方公共団体から道路建設などを請け負う受託事業では、横浜環状北西線(北西線)のシールドトンネル工事などが進捗したことにより、営業収益は38.2%増の359億円、営業費用は38.5%増の359億円となった。

 そのほかの事業は、休憩所施設や高架下賃貸施設の運営・管理などを行なっており、営業収益は26.3%増の38億円。以上により、関連事業全体の営業利益は4.6%減の12億円となった。

グループ連結の関連事業の損益状況

 グループ連結財政状態は、資産の部は、高速道路の建設などに要した費用を計上する仕掛道路資産について、北西線、東品川桟橋 鮫洲埋立部更新など、特定更新等工事などの進捗により1122億円増加した一方、特定更新事業、修繕事業などの道路資産748億円を高速道路機構へ引き渡したことにより、残高は2335億円となった。その結果、総資産残高は200億円増の4507億円となった。

 負債の部は、新規路線建設の資金調達により1261億円増加した一方、高速道路機構への債務引渡しにより939億円減少し、道路建設関係社債残高は1300億円、道路建設関係長期借入金残高は1287億円となり、負債残高は3854億円となった。

 純資産の部は、前期に計上した厚生年金基金代行返上益の高速道路事業分142億円を安全対策・サービス高度化を目的に積立金として計上し、純資産残高は652億円となった。

グループ連結財政状態

 第15期(令和2年3月期・2019年度)の連結業績見通しは、営業収益は高速道路事業の料金収入が2678億円、道路資産完成高が2376億円、これに駐車場事業・受託事業などの関連事業397億円を合わせた、5451億円を見込んでいる。

 その結果、営業利益は11億円、経常利益は10億円、親会社株主に帰属する当期純利益は4億円を見込んでいる。

第15期(令和2年3月期・2019年度)の連結業績見通し

 主な施策として、3号渋谷線下りの渋谷入口、小松川JCT、横浜北線の馬場出入口などの新設工事を進めており、2019年度内の開通を予定している。

 北西線の進捗は、4月時点で高架部の桁架設工が完了。床版工や料金所工事、トンネル部の内部構築工事などを実施しており、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会までに開通する予定となっている。

 安全・安心・快適への取り組みも紹介した。橋梁・トンネル・付属物での省令にもとづく接近点検が完了。接近点検では高所作業車や特殊高所技術を活用し、損傷の見落としを防いでいる。施設管制室では24時間・365日、不測の事態に速やかに対応できるよう最新設備での監視を実施。このような点検や監視により発見した損傷は、計画的な維持・補修により安全・安心を確保しているという。

号渋谷線下りの渋谷入口、小松川JCT、横浜北線の馬場出入口などの新設工事を進めており、2019年度内の開通を予定
北西線は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会までに開通する予定
首都高の安全・安心・快適への取り組み